第48話 王宮執務室内の出来事
フィネメイゼは、冬が明け、アルキメデス侯爵領の運営をがある程度安定してきたとのことで、王宮の方へと戻ってきていた。
戻ってきてからしばらくは、ほかの貴族や大臣との打ち合わせなどが多く入っているために、普段私たちが仕事をしている、執務室での仕事はなかった。
が!その作業もついに終了し、今日からフィネメイゼはまた以前のように、執務室で働くこととなるのだ!
「やあ!フィー久しぶり!」
「ご無沙汰しております。陛下、レイナ。とはいっても、入学式や豊作祈願の儀ではお見掛けいたしましたが。」
「そうだね!で、なんだいその話し方は?」
「いえ、何でもございません。あまり気になさらないでください。」
もっと以前はフランクに話してくれていたのに……、と少し寂しい気分になる。
そう落ち込んでいたら、レイナが私に非常に意地悪な顔をしながらその理由を教えてくれた。
「ねね様、フィーはどうやら反乱の際のねね様の働きぶりを見て、ねね様のことを以前よりももっと尊敬するようになったようですよ。」
「なッ!?レイナ!!言わないでって言ったでしょ!」
「えっへーん!忘れちゃったそんなの~!」
「キー―――!もう!私がいない間にそんなに生意気になっちゃって!」
フィネメイゼは逃げ回るレイナを追いかけながらぷんすかと怒っている。
フィネメイゼはどうやら私を尊敬していることを私には知られたくなかったようだ。きっとからかわれるとでも思ったのでしょう。
もう、からかうにきまってるじゃん。
「へー、フィー私のことを尊敬しているんだぁ~!」
私は口元に手を添えて、ふふふと笑いながらそういう。
すると、開き直ったかのようにフィネメイゼはこっちを向いて早口目にこういった。
「美しく、仕事もテキパキとこなし、そして私なんかでは到底かなわないような知識と強さを持ったあなたを、尊敬しないわけがないではないですか!」
「ッ!」
い、いざそうやって言葉にされると照れるな……。
「あ~、ねね様照れてるのぉ~?」
「ッ、ちょ!レイナ~!」
いつの間にかフィネメイゼはレイナを追いかけるのをやめ、今度は私がレイナを追いかけていた。
そんな私たちの様子を、フィネメイゼは笑いながら見ていた。
そんなかけっこもいつの間にか終わり、私たちは執務室内に設置されているソファーに腰を掛け、お菓子をあてに紅茶を飲んでいた。
「ふぅ~……、一気に疲れちゃったよ。」
「あはは、そうですねぇ。私も戻って来たばかりだというのに、いい運動ですよ。ね、レイナ?」
「うッ……、あ!そういえばこの前ねね様が――――――」
「あーーーーー!そういえばフィー、領地の運営はどうかな?」
私は楽しく雑談をしようと思っていたのに、レイナがこの前の私の黒歴史をフィネメイゼに話そうとするので、大声を出して阻止した。
レイナはちぇっ、と言わんばかりの顔をしてこっちを見てきた。
なんか、ほんとに仕事中と仕事してないときの落差がとにかく大きいよね。この子は。
「そうですね、優秀な方々に来ていただいて、領民にも恵まれて、非常に順調に進んでおります。」
そうかそうか。順調ならよかった。
「ところで、先ほどレイナが言いかけたものは――――――」
「あーーーーー!知らない知らないーーーーー!」
王宮執務室は、今日もにぎやかです。




