第47話 王子様?
「ひ~!ひ~!」
早朝の王宮、静かな王宮の中に不気味な声が響く。
その声の出どころは、国王執務室。
「あああ!!!仕事が終わらない!!!」
そう、チナリである。
最近チナリはとにかく忙しかった。
その主な原因は学院なのだが、その学院の仕事をやっていたり、入学式に出席したり、儀式をしたりしていたために、国に関する書類がたまりにたまっていたのだ。
基本的に、書類に関しては他の大臣がやってくれるのだが、以前、書類の見落としによって悪事の発見が遅れてしまったことなどを踏まえ、ほぼすべての書類を国王である私がチェックするというふうになったのだ。
「いや、いくら何でも多すぎでしょ……。」
書類をチェックして、印を押す。
ただその作業だけなのに、途方もないように感じる。
その書類の内容が、よくわからない専門用語でまみれたものや、数字など。あたまおかしなるよ。
「あぁ!ねぇレイナちゃ~ん、手伝ってよぉ……。」
「駄目ですよねね様、頑張ってください。」
「レイナちゃんってさぁ、言ってしまえば王女なわけじゃん。手伝ってぇ!」
「無理ですよ。私は成人したら公爵の位を頂いて王家から離れるのですから。」
そうか、そうかぁ。
レイナちゃんいつまでも私のところにいるってわけじゃないんだよねぇ……。
そう思うと、寂しくなってきた。
「って!ねね様!どうしたのですか!!」
「レイナぁ。」
チナリは、そのことが心にずしりときたようで、泣き出してしまった。
ちなみに今日のチナリは徹夜だ。今の時刻は午前5時である。
あ、レイナちゃんは昨日早く寝て、4時ごろ起床してきました。
「もう、公爵の位与えるのやめる。王女になってよぉ。」
「えぇ!ちょ、ねね様ほんとにどうしたのですか!」
チナリの以前からの習性として、徹夜などにより極限状態に達すると、涙もろくなって思考能力が低下するというものがある。
今のチナリは、この終わらない膨大な職務と常に襲い続ける眠気により、極限状態に達しているのであった。
「ねね様、今日はもう寝ましょう。」
「運んで。」
「はい?」
「運んで!!私を寝室まで連れて行って!!」
「は、はぁ……。」
レイナはあきれたようにそう返事をすると、私を軽々持ち上げて寝室へと連れて行った。
チナリはベッドに着くなり、あっという間に眠りについてしまったとか。
「ねね様……。」
従者による話なのだが、チナリを連れて戻って来たレイナは、私の寝ているベッドに軽く腰を掛け、私の顔を眺めていたらしい。
その光景はまるでおとぎ話に出てくるお姫様と王子様のようで、とても美しかったとか何とか。
(あああ!やってしまった最悪だ!!)
その日のお昼ごろ、目が覚めて朝のことを思い出したチナリは自身の行動に対する後悔、レイナに対する恥ずかしさで、今にも叫びたいような気分だった。
レイナが私を抱えて廊下を歩くシーンを、王宮内に勤めるたくさんの人に目撃されており、今ではその話で持ち切りだとか。
チナリ様可愛い!とか、レイナ様かっこいい!とか。
最悪だ。
これからはしっかりと仕事を毎日消化して、眠かったらすぐに寝ます。
「ねね様、かわいかったですよ!」
「ああああああああああ!!やめでぐれぇ!!死ぬッ!死ぬッ!」
それからしばらく、レイナは楽しそうな顔で私のことを煽って来たとか。
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