第37話 地方裁判所
周りがどんどん年を取っていく中、1人だけ年を取らず、親しかった者がただなくなっていく生活というのは正直考えたくもないほどつらいことだろう。
きっと神様に言ったら死なせてくれるのだろうが、生きれるなら生きていたいと思う。自分勝手なのだろうが。
「まあ今はそんなこと気にしてもしょうがないか。とりあえずできることをやらないと。」
領土が広くなったことで国民の数も一気に増加した。国民の数が増えるということは悲しことに犯罪の発生件数も増えるわけだ。
正直王都中央裁判所だけでは裁き切れなくなってきている。アンジェリカがひーひーいいながら働いているのを見たら罪悪感で胸が痛くなる。それに、わざわざ犯罪者をここまで運んでくるというのも大変だ。輸送費だってタダではないのだ。
そこで、各領の領都やそこそこ人口の居る町などに地方裁判所を作ることにした。
実は、アンジェリカだけで裁判所を回すのが厳しくなってきており、去年の秋ごろからアンジェリカは部下というより弟子を取っていた。その弟子が地方裁判所の裁判官となるのだ。
アンジェリカナイス!!
裁判はこれから地方裁判所で行うこととなるだろう。しかし、地方裁判所で判断が難しいとなった場合、こちらの王都中央裁判所へ回ってくる。
王都中央裁判所はその名の通り王都にあるし、裁判においては最も強い権限を持つ、アンジェリカが裁判官として判決を下す。場合によっては私に連絡が回ってくることもある。
より正しく、効率よく判決を下すことができるようになるだろう。
また、裁判所を増やすにあたって、真偽判定官の導入を進めた。真偽判定官は数が少なく、なかなか集まらなかったのだが、神様の力も駆使してとりあえずは裁判所の数と同じだけ集めることができた。
アンジェリカは真偽判定を行うことができるため、王都中央裁判所には真偽判定官は配置しない。
実はフィヨルナンド王国には裁判というものが存在しなかった。犯罪を犯しても小さな犯罪であれば大抵見逃されていたし、大きな犯罪であっても裁判所がないからお金を払って解決とかそういうことが多かったらしい。
そのせいかわからないが、フィヨルナンド王国は周辺諸国に比べて盗賊の数が多かった。その盗賊はフィヨルナンドがニシゾノ王国に組み込まれてからは目立った活動を行わないようにはなっているのだが、正直いつ奴らが動き出すかはわからない。
一刻も早く対処することが大事だ。
目立った活動はないとは言っても、活動自体が止んでいるわけではない。
盗賊による被害も確認されているし、逮捕者も続々と出てきている。裁判所が圧迫されている大きな理由の一つに盗賊は存在する。
一度盗賊を殲滅しようとして軍隊を出したことがあるのだが、盗賊はそのようなことがあると農民や商人に変装してやり過ごすことが多い。
そのためあまり意味はなかった。
「やはり、おとり捜査か。」
こういうのはおとり捜査が最もいいのだ。
「よし!レイナちゃんいくよ!」
「うん!」
さすがに騎士団の人たちとかにおとり捜査をさせるわけにはいかないので、私とレイナが行うこととした。
正直王宮内のすべての人が反対したのだが、たまには私も戦いたいし体を動かしたいわけで、それらの意見はねじ伏せた。
私たちは山に遊びに来た姉妹を演じることにした。
以前からニシゾノ王国になっているところには盗賊は少ない。
そのため、私たちは新しく組み込まれた土地へと向かうことにした。
フェインハイム伯爵領の領都で、フィヨルナンド王国の首都であったパラットラ―と王都を結んでいる道、その道が最も盗賊被害が多く確認されている。
パラットラ―は正直に言って王都であるフェッペルゲンよりも栄えている。もともとフィヨルナンド王国の王都だったのだからそりゃそうだろう。
とはいってもフェッペルゲンも相当栄えている。
栄えている都市と栄えている都市をつないでいる道なのだから、当然人通りも多く、荷物を持っている人が多い。
私たちはちょうど中間らへん、道を逸れて森の中へ入っていった。
おもむろに歩いていても怪しまれてしまうので、少し逸れたところで木の実を集めることにした。
さあ、盗賊たちよかかってこい!




