第17話 ニシゾノ商会
あの面接から数週間が経ち、私は本格的に動いていった。
雇った人たちと協力しながら産業を発展させ、道を整備させたりした。新しくそれぞれの大臣の下につける者を雇い、それなりに王国らしくなってきただろう。
5人に爵位を与えたことで、功績を上げれば爵位をもらえるという認識が世間に広まり、町もやる気に満ちている。
今の私の趣味は領内を散歩すること。領民とお話をしたり、観光したり狩りをしたりと。領民たちから実際に町で生活していく上で不便なこととかを聞いて、国の政治に生かしたりもしている。できるだけ身近な国王でありたいと思っている。
最近は国王の仕事で忙しかったのだが、私がこの世界にきてやりたいことは領地経営ではなくて無双だ。
この国の西側、王都があるところは比較的栄えているのだが、東側はまだ手付かずの森が多く広まっている。ところどころに村があるのだが、ほかの村との行き来が厳しいためにそこまで発展はしていない。
以前7人の領主で分けてこの土地を管理していたとあったが、あまりにも辺鄙な場所すぎたためそれぞれの国で相当な力を持つ伯爵や侯爵などが飛び地として管理していたのがほとんどだったらしい。
だからあまり発展してこなかった。
そして、冒険者の人も宿もないような村を拠点として活動はしないので東側には強い魔物がわんさかいたのだ。
この国の大きな問題であった。
それをたった3日の間にすべて解決したのが国王、チナリ・ニシゾノであった。
この偉業は吟遊詩人たちによってあっという間に国内、そして国外へと広がっていき、世界にただの少女ではないということを知らしめ、認知度、支持率等を大きく向上させた。
しばらくの間はこの狩りによって入手した魔石やその他の素材等を輸出することによって収入が増えるだろう。
まあ、そんなこんなでなかなかと大変な日々を過ごしているのだが、私の心を癒してくれる存在がいる。なんならこれがなかったら私は死んでしまう。
それは、レイナである。遊んだり、お勉強をしたり、一緒に寝たり、お風呂に入ったり。もう最高です。最高。最と高の2文字で片付けられてしまうことが私は悲しい!!
実はレイナを養子として迎え入れるということを発表した際、国内では相当な批判があったものだ。
たくさんの孤児がいるのにこの子だけ優遇するのだとか、こんな幼い子に護衛が務まるのかとかいろいろだ。
いや、この子だけ優遇とか言うけどね、実際相当な腕を持っているのだから優遇するのは当たり前でしょう。もちろん護衛だって務まるわ。私の目に文句があるなら直接王城へ来い!レイナが相手してやる。
でも、たくさんの孤児がいるということは私も気にしていることなので、新しく王国管理の孤児院を設立したり、孤児院への資金提供を行ったりした。
孤児院の院長が資金を着服するなどの問題が発生したりもしたが、孤児たちの生活環境は大きく改善されて行って、後述するレイナの活躍等もあって、この国においての孤児への差別意識はなくなっていっている。
正直、レイナが批判されるというのは非常に心苦しかった。私のせいで批判されているのではないかという罪悪感を覚えることもあった。
まあ、実際このような批判はあっという間に消えていった。その原因は第1回ニシゾノ王国最強王決定戦という大会だ。
この世界には娯楽が少ないのでこういうことをやったらいいなと思って開催したのだが、それが想像以上に大盛り上がり。まあ、この大会の優勝賞品が、金貨5000枚と騎士爵位だということも大きかっただろうけど。
実際、様々な国から騎士爵位目当てで冒険者や力自慢が集まった。中には他の国の軍に所属している人がわざわざお休みを取ってやって来たということもあった。
そしてもちろん、この国の軍の人も全員参加となった。もちろんレイナもだ。
大会は4日に分けて行われたので交代交代でしっかりと軍の活動もしてくれた。相当忙しかったと思うけどよくやってくれたよ。ボーナスを出した。
まあ、文脈的にわかるだろうけど、優勝者はレイナだったのだ。
それも、2位の人を圧倒しての優勝。王国主催の大会ということもあってたくさんの人が見に来ていたので、あっという間にレイナの実力は国中へと広まっていった。
この世界の人は基本的に髪の毛の色が薄めの人が多い。
ごくまれに黒髪の人も生まれるのだが、数が非常に少ない。もちろんレイナもこの世界の人なので髪の毛の色が薄い。
でも、ほかの人とはちょっと違って、レイナは水色の髪なのだ。でねでね、レイナ髪の毛伸ばしてるんだけど、もうめちゃくちゃサラサラで可愛いの!とにかくかわいい!本当に!!
いろんなファンタジー小説を読んできたが、大体石鹸はゴワゴワしていてあまりよくない世界が多い。もちろんそれはこの世界でも例外ではなかった。
私はレイナのサラサラヘアを生かすため、本気で石鹸の開発に臨んだ。
実は、東側へ向かったのは魔物を討伐するという目的もあったものの、実際の目的はシャンプーにちょうどいい植物を探すため。
実際、ちょうどいい植物が生えていて、私の知識を総動員してシャンプーを完成させた。
実はその植物に似た植物が町の近くにわんさか生えていて、質は落ちるもののこの世界の基準では相当上質なシャンプー、そして石鹸を製造することができた。
そして、ここで異世界転生テンプレートなのだが、紹介を立ち上げそれらの商品を販売することとした。
その名も『ニシゾノ商会』だ。まあ単純な名前だけど、国の宣伝にもなるのでいいだろう。
主にシャンプーを取り扱っていて、貴族用には私たちが使っているような高級なシャンプー。もちろんぼったくり価格で。一般の人向けのシャンプーはできるだけ多くの人に手に取ってもらえるよう、安めの値段で販売することとした。いずれ値段は上げる予定だ。
そして、私はシャンプーを作ったのだからということで化粧品の開発も行った。
この世界にも乳液とかは存在していたのだが、質がそこまでよくないし、種類も豊富でない。
そのため、またもや私の知識を総動員して開発に臨んだ。安く、たくさんの量を作れるように材料を工夫して、この国の経済を回せるようにすべて国産の材料を使用している。
ファンデーションとかを若いうちに着けてしまうと肌が荒れる原因となる可能性があったので、さすがにしなかったのだが、乳液等の実験は私の肌、そしてレイナにも協力してもらった。
そうして完成した化粧水、乳液、美容液やクリーム、ファンデーションや口紅など。すべてが国産の材料を使用して大量生産に成功している。それをニシゾノ商会で売り始めた。
安い値段で美しくなれるとしてあっという間に広まっていき、この国に住む人ならだれもが持っているような製品となった。私は女性だけに広まると思っていたのだが、男性にも広まっていって、「ニシゾノ王国は美男美女が多い。」と言われるようになっていった。
今は国内のみで売っているのだが、他国からも売ってほしいという要望が届いており、近々別の国にも出店する予定だ。




