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第15話 実技試験(騎士)

 実技試験2日目、今日は騎士志望の人の試験を行う。

 

「まず最初に、魔導士志望の方々の試験を行います。自身の最も得意な魔法をあの的に向かって思いっきり打ってください。こんなふうに。」


 そういって私はファイヤーボールを打ったのだが……、


「あ、加減ミスった。」


どかぁぁああああん!!!!!


 試験開始前から会場は砕け散ってしまった。




「えーっと、まあちょっとアクシデントはありましたが、頑張ってくださーい、ハハッ、ハハハ……。」


 とりあえず壊してしまった会場を魔法で直したのだが……、どうやら一気に魔導士志望の方々の心が折れてしまったようだ。

 あー、やってしまった!!ほんとにやってしまった。どうするんだよほんとに!!

 まあこんなところで進行がストップしてしまってはいけない!あとが詰まっているのだから。


「はい!まあそんなこと気にしないでね!さっさと試験始めていきますよ!では最初の人お願いします!」


 とりあえず無理やり進行することにした。

 

 まあ結局そのあとは大きな問題が発生することなく終わった。

 でも思ってたよりこの世界の魔導士のレベルは低いみたいで、的を壊せない人や、まず的まで攻撃が届かない人も少なくはなかった。

 ちゃんと的を破壊できた人は10人くらいだっただろう。

 その人たちは面接次第ではあるが、採用する予定でメモをしてある。


 その中の強面のおじさんの人と少し話したのだが、彼はもともとフィヨルナンド王国の筆頭魔導士だったそうなのだ。しかし、フィヨルナンド王国は魔導士よりも剣士のほうを優遇するような国のようで、あまりいい待遇は受けられなかったらしい。

 そこに私の国の魔導士募集を見て、すぐさまフィヨルナンド王国を出て、この国に来たそうだ。

 私は魔導士と聞いて非常にワクワクするし、私も魔法を使えるということもあるからこその考えなのかもしれないが、剣より安全に強力な攻撃を長距離から打つことができるので、魔導士が冷遇されるという状況が考えられない。

 まあ何より優秀な人材がうちを受けてくれたことに感謝したい。

 本当ならここで神に感謝するのだろうが……。

(なんだ?感謝しないのか?)

 はぁ……。




 魔導士志望の方の試験が終わり、次は剣士志望の方の試験だ。

 剣士志望の方は何か特定の的を破壊してもらう、攻撃してもらうという形式ではなく、参加者と参加者でコミュニケーションを取り合って、最低5人の人と戦ってもらう。それを私が見て判断するという形にした。

 本当は私と戦ってそれで判断しようと思ったのだが、先ほどのミスの件もあったので急遽変更することとした。


 この試合では勝ち負けは気にしない。

 勝ち負けよりも技術やコミュニケーション能力を見る試験なのだ。

 自分からコミュニケーションを取りにいかないような社交性の低い人だったら、それは戦闘中に味方とうまく連携が取れなかったり、自分の調子が悪い時にそれを上司に伝えられないかもしれない。

 自分の調子が悪いのにそれを伝えずに戦場へ行く。これは自分の命を投げ捨てる行為だし、場合によっては軍隊の大きな足かせともなりえてしまうのだ。

 剣士とは、戦えればいいわけではないのだ。


 まあ偉そうに言っているが私もコミュ障なので私が言えたものではないな。




 そんなこんなで、初めのほうは聞いたこともないような試験の方法だったので、困惑している人も多かったのだが、時間がたつにつれて会場のいたるところから少しずつ戦闘の音が聞こえるようになっていった。

 私はこの日のために新しく開発した魔法、まあ簡単に言えばテレビ?ライブカメラ?みたいな魔法かな。これを使ってそれぞれの試合を見ている。


 やはり剣士志望といえば男性ばっか来るようなイメージがあったのだが、女性の参加者も結構いるようだ。

 まあこれはこの世界の男尊女卑の考えがあるからだろう。

 いくら本気で剣を練習しても、いくら地位が高くても他国では女性は騎士にはなれないのだ。

 しかし私は募集の要綱に"男性のみ"とは書いていなかった。

 ていうか女性の騎士ほしいです。さすがに私の身の回りを警護する人が全員男性だったら嫌になっちゃうわ!


 この試験で結果を残せば王国の騎士団に所属することができる。みんな本気なのだ。会場には熱気が立ち込めている。そんな会場をちょこまかと走り回りながら非常に高い戦闘スキルで他者を圧倒している者がいた。

 コミュニケーションの能力も非常に高く、自分から人に声をかけに行っている。

 しかも自身の身体的特徴を生かした素晴らしい戦闘技術は神も「おぉ……。」と声を漏らすほどだ。

 彼女の名前はレイナ。まだ7歳になったばかりの少女なのだが、彼女の実力は本物だ。私の本能も彼女は雇うべきだと言っている。


 年齢制限を設けなかったのはこういう幼い才能を潰したくなかったからだ。

 少年少女は非常に伸びしろがある。すでに高いスキルを持っていたとしてもそこから簡単に伸ばせるのだ。

 そんな子たちにこの国でのびのびと成長していってほしいな。

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