最終話
全員が目を通してサインをして弁護士に渡した。
「さあ、さあ始めるわよ。シンディがんばってね」
「はい、社長候補も何人か上がっているわ」
「分かりました、CEO候補が決まったら私の方
から連絡をして承認をいただきます」
キャシーは昨日とは別人のようにキビキビと
していた。
「はい」
「日本の商品のカタログを送りますから
扱うものを選んでください」
千沙子が言うと続いて亮が言った。
「縫製は日本製でアピールをしようと思っています」
「そんなに良いの?日本の縫製」
シンディが驚いて聞いた。
「はい、あるイタリアブランドのワイシャツは
日本で縫製しています」
「それってどこ?ゼニア?アルマーニ?」
「分かりません、タグは後でつけますから」
「あはは、そうだな」
ロイが大笑いをした。
「亮、そう言えば朝からヒーローが
テレビに出ているようだな」
「はい、これで安心して日本に帰れます」
亮はシンディに借りていた携帯電話の
電源を切って渡した。
「シンディありがとうございました」
「ううん、役に立ってよかった」
亮はみんなに別れを告げ荷物を持って
キャシーの事務所を出ると目の前に
白いロールスロイスが止まった
「飛行場まで送っていくわよ」
キャシーが窓を開けていった
「ありがとう」
亮は喜んでキャシーの車に乗った。
亮は広い車の中でキャシーをしみじみ見て言った。
「ショートカット似合いますね」
「ありがとう」
「メイクも薄くて良いです」
「ありがとう」
「パンツスーツもいい」
「ありがとう」
褒めまくる亮の言葉でキャシーはうれしくなり
抱きついてキスをした。
「これが本当の私なのかも」
「はい、そうですね。これで良い仕事できます」
「はい」
キャシーはうなずいた。
亮が11時30に飛行場に着くと美咲と
小妹と一恵と美喜が待っていた。
「美咲さんお疲れ様」
「亮、はい」
美咲は茶の封筒を亮に渡した。
「何?」
亮が封筒から取り出したのは
自分のスマートフォンだった。
「落し物で届いていたそうよ」
「ありがとう、助かりました」
亮はもっと早く見つかって欲しかった。
友子はワラントの支払いと受け取った小切手を
亮の口座に入れる仕事
千沙子と明日香はシンディと細かい部分
の打ち合わせの為に帰国を伸ばした。
亮が空港のカウンターで荷物を預けて
チェックインを済ませると
「お帰りですか?」
ニューヨーク市警のパーカー警部補が声をかけてきた
「あっ、パーカー警部補、どうしたんですか?」
「どうしてもあなたに会わせたい人が居ましてね」
「えっ?」
車椅子に乗った恰幅の良い男性が補助の男性に押されて
入り口の方からやってきた
「上院議員、こちらが」
「ああ、覚えているよ、
君が私たちを助けてくれた命の恩人だ」
「人違いでは?」
亮はとぼけていた。
「もしあなたが手当てをしなかったら、
妻は救急車の中で死んでいたそうだ。
しかも私のスタッフ全員の怪我の手当ても」
スチュアート上院議員は車椅子に座ったまま
涙を流して亮の手を握った。
「ミスター・ダン。せっかくお礼を
言っているんだ応えたらどうだ」
パーカーが亮に強く言った。
亮は仕方なしに
「スチュアート上院議員奥様が
助かって良かったですね」
「ありがとう」
「いいえ」
「何かお礼をしたいのですが」
「上院議員気にしないでください、僕はただ偶然に
通りすがった男です。もし僕以外の日本人が
居ても同じ事をしていたはずです」
「これでも私は大統領の側近だ、
なにかあったらなんでも言ってくれ」
「はい、ではヒーローは
彼と言う事にしていただけますか」
亮は空港の大きなモニターで流れている
映像を指差していった。
「ああ、分かった。約束しよう」
「では、お元気で」
亮とスチュアートは強く握手をした。
「まってくれもう一度名前を」
「アキラ・ダンです」
「アキラ・ダン一生忘れないぞ」
スチュアートは立ち去る亮の後姿を見つめていた
キャシーとスチュアート議員は知り合いらしく
話していて、亮はそれを見つめていた。
「キャシー・・・」
「あっ、ジャネット見送りに来たの?」
全てを吹っ切れたキャシーは
ジャネットに明るく声を掛けた
「うん、ブルックも一緒」
「キャホー」
後からブルックの大きな声が聞こえ
亮が後を振り返るとみんなが立っていた。
「ああ」
小妹が声を上げた
「亮、ジャネットとブルックも見送りに来たみたい」
美咲が亮の肩を叩いた。
「亮」
ジャネットが亮に抱きついた。
「亮、私必ずスターになるからね」
「はい、がんばってください」
「うん」
次にジャネットが一恵と話をしていると
ブルックが亮にハグをして囁いた。
「亮、あなたは私だけ抱かなかったね。私の事嫌い?」
「いいえ、好きです」
「私、必ず日本に行くからその時に・・・ね」
「はい、喉を大切にしてください」
亮の頭にはブルックに合うのど飴の
レシピが浮かんでいた。
「うん」
そして、出国口へ消える亮たち四人の姿をキャシーたちは
いつまでも手を振っていた。
四人が飛行機に搭乗して
キャビンアテンダントが案内した席は
ファーストクラスだった
「ど、どうしたんですか?」
「スチュアート様がよろしくと言う事でした」
「はあ、席を代えられませんよね」
「はい、今日は満席でございます」
「亮、仕方が無いよ」
小妹が言うと亮は渋々席に座った。
「團さま、上着をお預かりします」
そう言って上着を預かったキャビンアテンダントは
にっこりと笑った。
終り
NEWグッド・ジョブ媚薬 3部
終
NEWグッド・ジョブ媚薬4部に続く




