スタジオD
コリーナがロイに伝えた。
「誰だ?」
「キャシー・ランドさんです」
「通してくれ」
「ごきげんよう、みなさん」
目にアイラインとアイシャドウを濃く付け
その奥にブルーの目が見えた、ゴージャスな
ブロンドの30代風の女性が入って来た。
「あっ、ジャック・チョウと一緒にいた女だ!」
小妹がしかめ面で女をみた。
「みなさん始めましてランド不動産の
キャシー・ランドです」
「ロイ・ブラウンです」
ロイは立ち上がって握手をし
亮は自分の席をキャシーに譲った。
「キャシー・ランドさんは
ランド不動産の社長ですね」
「はい、そうよ」
ロイは確認した。
「なんですか?ランド不動産て?」
亮は隣にいたシンディに聞いた
「アメリカ最大級の不動産会社よ。
大都市にビルを何棟も持っている」
「戸建てじゃなくて良かった」
亮が下を向いて笑うと
キャシーは亮の脇に立った。
「ねえ、あなたお名前は?」
「アキラ・ダンです」
亮は立ったままお辞儀をした。
「あなたの事を気に入ったわ」
「はあ、どこで僕を?」
「ジャックがあなたを見ていたから私も一緒に」
「はい」
「あの高慢な男の鼻をへし折ったわね。うふふ」
キャシーは亮に顔を近づけた。
「キャシーさん彼はまだ鼻をへし折っていない
ブルックは小声で言い、
ジャック・チョウの報復を恐れていた。
「ううん、大丈夫彼はこの件のすべてを
諦めたわ」
「そうなんですか?」
「はい、私はそれを伝えに来ました」
「本当ですか?」
ブルックの顔が微笑んだ。
「はい、それで私は彼への投資もやめたわ」
キャシーは携帯電話を手に持って亮に渡した。
「もしもし、ダンです」
「ああ。ミスター・ダン。私はブルックの件から
一切手を引く、だから助けてくれ!」
「はい、わかりました」
「頼むぞ、約束だぞ!」
裏の状況のわからない亮はジャックの声は
悲痛な叫びがわからなかった
「ブルック。ジャックが手を引いた」
亮は呆然としてブルックに話をした。
「本当!」
「はい、助けてくれって・・・」
亮は何のことか分からずに首を傾げた
ブルックは亮のところへ行って
思い切りハグをした。
亮は小妹が持ってきた椅子に座って
シンディの脇に来た
「シンディ。昨日言っていたデザイナーになる
話は本当?」
キャシーはシンディの顔を見た
「本当です」
「ダン。スタジオⅮってどんな会社?
デザイナーは?」
「姉さん、答えて」
亮は千沙子の手を押した。
「あなたが話なさい」
「了解」
亮は日本のディーワン物産と言う会社
フラグシップショップの美宝堂
のブランドスタジオⅮとヤング向けの
ブリリアンスショー。
昨年の銀座コレクションの話をした
「スタジオⅮデザイナーは?」
「チーフデザイナーのフランス人ビクトル・アンリと
私と三人の日本人です」
「ブリリアンスショーのデザイナーは?」
「鈴木妙子と三人です」
千沙子が答えるとキャシー微笑んだ。
「何か問題でも?」
「気に入ったわ。アメリカいいえ
ニューヨークに出店しない?」
「そうしたいですね」
キャシーが言うとまだ何者か分からない
キャシーに亮が答えた。
「亮、ダメだよ。あの女!」
亮は元からアメリカ進出を考えていて
シンディと話をしていた。
「私に考えがあるわ」
ロイたちがキャシーの方を見ると手を広げた。
「まず、タイムズスクエアの私の
ビルにスタジオⅮを出店させるわ」
「えっ?」
亮の驚く顔を見るとキャシーは笑った
「そして、国内の10ヶ所に出店、香港、シンガポール、
そしてドバイゆくゆくはパリ、ロンドンにも」
「すごい」
キャシーはシンディにっこりと笑った
「そして、積極的にプロモーションを
進めて映画、TVとタイアップを
していくわ。どう?ミスター・ダン」
「はい、でも」
亮はあまりにも調子のいい話で
気の無い返事をした。
「あなた私を疑っているんでしょう」
「いいえ、まあ」
亮はキャシーが
莫大な資金をかけてまでも
スタジオⅮと組む必要があるはずがなく、
キャシーを疑っていた。
「大丈夫よ、出店場所はすべて私のビル。
マーケティングリサーチは済んでいるわ」
「すばらしいですね。キャシー」
亮はただ褒める事しかできなかった。
「ただし、条件があるの。
このプロジェクトはあなたがやるのよ。
ミスター・ダン」
「えっ?」
「アメリカのスタジオⅮはあなたがいるから
シンディがついてくるのよ」
キャシーの言葉にシンディは笑いながらうなずいた。
「わかりました、でもタイムズスクエアだと
かなり資金がかかりますが」
「家賃はお店がオープンして2か月後に
払って来ればいいから」
「わかりました、当初の計画書を
書き換える必要があります」
「では書き換えてください」
キャシーが言うと亮はシンディの方を見た。
「一つシンディにお願いがあります」
「何?」
「子供服をデザインして欲しい」
亮は真剣な顔をして言った。
「子供服なんか日本でもデザインを
出来るんじゃない」
「もちろんできるけど・・・」
千沙子が首を傾げた。
「アメリカナイズされた子供服のデザインが欲しいんです。
子供服から親へのアピールも大事ですからね」
「良いわよ、亮。私も子供が好きだから」
シンディは納得した。
「その代わり日本の可愛い服が欲しい」
「それは了解しました。早急にサンプルを作ります」
亮は至急帰国して鈴木妙子と打ち合わせする
必要があった。
「じゃあ、そちらに関しては明日10時に
うちの会社で弁護士を交えて話し合いましょう、
良いわね」
亮と千沙子、明日香、友子。
そしてシンディはうなずいた
「これで私の話は終わりよ、じゃあみなさん」
「キャシー、ちょっと待ってください。
今夜食事しませんか?」
「あら、仲間に入れていただけるのかしら?」
「はい、食事すると心が幸せになります。
刺身は食べられますか?」
亮は微笑みながら話をした。
「もちろん、狩と釣りが趣味なの」
「では今夜8時MIYABIでお待ちしています」
「楽しみにしているわ」
「ドレスコードありませんから」
キャシーは美しい後ろ姿を見せて帰っていった。
シンディと亮がハイタッチをした
「やったな!」
言うと全員が笑いながら拍手をした。




