防音装置
ただごとではないその様子に
私はリュカを室内に招き入れ
椅子に座るように促した。
『リュカまずは座って落ち着いて。
そのままでは、倒れてしまうわ。
話は、それからにしましょう。』
リュカが座るのを確認しながら
ポットに常備しているお茶を
コップに入れてリュカに渡す
『気分を落ち着つかせる
お茶だけど 飲めるかしら?
少し熱めだから気をつけて。』
リュカは頂きますと言いお茶を少しづつ飲んで
先程よりは血色が良くなった顔をこちらに向けた。
『ありがとうございます。
だいぶ気持ちが落ち着きました。
もう大丈夫です。』
『よかったわ。
それで、一体どうしたの?
いつもなら通信機のアルシャテを
通して連絡をくれるのに
直接こちらまで訪ねて来るなんて。
何かあった?』
『はい、実は...っと』
リュカが話し始めようとしたら
こちらへメモ用紙に書き込みながら
見せてきた。
“申し訳ありませんが、
こちらの部屋を防音状態にして
もらってもいいですか?
これからお話しすることは多分
盗聴されてしまう可能性があります。
まだ、上層部に気づかれている
可能性はありませんが念のために
普段通りの会話を続けながらお願いします。”
メモを読み終えリュカをみると
普段よりも緊張した面持ちで
こちらを見ていた。
この事がかなり重要な案件と思い
首肯しながら防音装置の近くまで行った。
『あら、リュカもしかして
こないだのデータの話?
そうよね、重要案件だし他の部所に
漏れるのも嫌だから防音にしましょう。
じゃないと、また成果が盗まれちゃうもの
嫌になっちゃうわよね。
そんなに、ここの壁って薄かったかしら。』
わざと笑い声を出しながら防音装置をオンの状態にしリュカの元へ戻った。
椅子に座りながらリュカへ
大丈夫だと合図を出すと経緯を話始めた。