研究室
研究室の机の上に資料が所狭しと
並べられている。
違う机の上には蒸気を漂わせながらコポコポと音たてフラスコの中で淡緑の液体が沸騰しながら段々と濃い緑色へと煮出されていく。薬草をこれ以上抽出すると薬効が失くなってしまうので、そろそろいいかと火からフラスコを離しフラスコ台に乗せた。
『今回の試薬とこないだの試薬データを
比較して少しでも変化があれば
彼等に投与できる。
だけど、彼等のこの間の適性検査の
検査結果は芳しくなかった。
だからと言って時間はもう限られてるし。
うーん。どうするかな。』
ぶつぶつと目の前の試薬を視ながら
比較データを視ているこの人は
ルネ・C・雨宮。
この、研究室の職員である。
試薬データを録るために
少し冷めた試薬を検査機に少量入れ
検査結果を待つ。
このデータがでるのは3時間後だから結果が出るまで一休みがてら昼食を取るべく、実験で使った器具を
片付けながら、午後からの予定を組み立てる。
『この、試薬データが上手くいけば
午後からは被験者に投与する前に
データプラント遺伝で成果がでて
鑑査観察してからね。』
これからのことを決めて器具を洗い終え部屋から出ようとするとココンと、扉を叩かれた音が聞こえた。
『雨宮さん、いらっしゃいますか?
リュカです。申し訳ありませんが
緊急連絡なのでここを開けて頂けませんか?』
訪ねてきたのは、ここの職員である
リュカ・A・綿貫だった。
かなり焦っているような声がした。
『どうしました。リュカ。
緊急連絡なんて。』
急いで返事をしながら扉を開けたら
リュカが青白い顔でこちらを見ていた。