表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

ダンジョン


 クソ女への再戦を誓ったあの日から俺とみぃちゃんは修行に明け暮れた。

 多くの敵を倒し、みぃちゃんのレベルは現在19になり、種族も猫又から【三化猫みけねこ】、そして【幻猫げんねこ】になり、現在は【朧猫おぼろねこ】になっている。


 そんな俺達は今日は修行の一環としてダンジョンに挑んでいた。


 「これがダンジョンか、何というかイメージ通りの場所だな」

 「みぃ~」


 そうだねとばかりに鳴いたみぃちゃんとこつこつと石造りの迷宮の通路を歩く。

 現れる敵を蹴散らし、そしてダンジョンの仕掛けを解いていく。


 ダンジョンの仕掛けはなかなか面白いものだった。

 プレイヤーとペットの二組で挑むことが前提のせいか、バラエティ番組のようなアスレチック的なペット用の道があったり、プレイヤーがスイッチを押している時だけペットが通れる。ペットがスイッチの上に乗っているときだけプレイヤーが通れるといった二組で起動する仕掛けなどもある。


 そんな仕掛け達をみぃちゃんと息を合わせて突破していく。

 しばらく進んでいくと宝箱を発見した。


 「宝箱だぞ。みぃちゃ……みぃ!」

 「みぃ」


 開けて開けてとせがむみぃちゃんに促され、宝箱を開ける。

 中に入っていたのは木の実だった。

 ディスプレイにその木の実に関する説明が表示される。


 <猫騙しの実:技である猫騙しを覚える。猫騙しは敵の真正面にペットがいる状況で使用すると相手を一瞬スタンさせる>


 「お、使えそうな効果だ。これは使っちゃおう。ほらみぃちゃ……みぃ」

 「みぃ」


 俺から猫騙しの実を受け取ったみぃちゃんはそれを美味しそうに食べる。

 ……一体どんな味がするのだろうか?

 俺がそんな疑問を感じている間にみぃちゃんはそれを食べ終えた。

 みぃちゃんの技欄には新しく猫騙しが追加されている。


 「みぃ!」


 先に行こうというみぃちゃんに従って俺達はダンジョンを攻略していき、ついにボス部屋の前まで辿り着いた。


 「さて何が出てくることやら。みぃちゃ……みぃ準備はいいか?」

 「みぃ」


 俺は攻略サイトなどを確認せずに修行を続けている。

 それらを見れば確実に強くなれることは理解しているが、それに頼ってあのクソ女に勝ったとしても純粋に俺達の力で勝ったと言えないような気がしたのだ。

 本当の意味で自分達の力で勝つために攻略サイトなどの情報に頼らず、このパートナーズオンラインの世界を気ままに旅してレベルアップを行っている。


 だからこそこの中に何がいるのか分からない。

 ドキドキした気持ちで扉を開けて中に入る。

 そこにいたのは三頭の頭を持つ犬――ケロベロスだった。


 「みぃー!」


 あの時から犬相手に敵愾心を持つようになったみぃちゃんがやる気満々と鳴き声を上げる。


 「よし行くぞ、みぃちゃ……高速移動だ!」

 「みぃ!」


 みぃちゃんは三化猫になった時、ぽめちゃんが使っていた高速移動を覚えていた。

 これによりみぃちゃんのヒットアンドアウェイ戦法に磨きが掛かっていた。

 高速移動したみぃちゃんは敵の動きを躱しつつ、軽く爪で一撃を入れる。


 それを見て俺も走り出した。

 みぃちゃんが技を繰り出しながら戦っている横で俺は罠を設置する。


 「沼、それとカモフラージュシート」


 沼を設置してその上に他の地面と同じに見えるようにカモフラージュ用のシートを置く。

 そしてみぃちゃんに目配せをした。

 今の俺達ならこれだけでお互いの考えを通じ合わせることが出来る。


 「みぃ!」


 みぃちゃんは技であるキャットスラッシュでケロベロスを切り裂くと、こちらに向かって走ってくる。

 みぃちゃんが罠の前に立ちくるりとケロベロスの方を向いた所で俺はみぃちゃんに命令を出す。


 「鬼火だ!」

 「みぃ!みぃみぃみぃ!」


 幾つもの炎の玉が生み出されて次々とケロベロスにぶつかっていく。

 それを無視しながらもこちらに突撃してきたケロベロスをみぃちゃんはギリギリで躱した。

 そして真っ直ぐ突き進んでいたケロベロスはカモフラージュされていた沼に落ちる。


 「かかった。筋力増強ストレングス、キャットスラッシュだ!」

 「っみぃ!」


 付与と命令が乗った渾身の技がケロベロスに激突する。

 ケロベロスは大きくダメージを受けた。

 だがまだ倒し切れていない。


 「さすがにボスは手強い。みぃちゃ……抜け出すまで続けて攻撃だ」

 「みぃ!みぃみぃみぃ!」


 次々とケロベロスを切り裂いていくみぃちゃん。

 かなりのダメージを与えることに成功したもののケロベロスは沼から抜け出す。


 「お怒りみたいだな」

 「みぃ~」


 怒り心頭といった形でこちらを睨み付けるケロベロス。

 そしてこちらに向かって飛びかかろうとしたところで――


 「猫騙し!」

 「み」


 みぃちゃんが繰り出した猫騙しによってスタンしたケロベロスは飛び出すことに失敗し、その場で転んだ。そしてその隙を逃すみぃちゃんではない。


 「もう一発とっておきを食らえ! 筋力増強ストレングス、キャットスラッシュだ!」

 「みぃー!」


 みぃちゃんの爪が再度ケロベロスを切り裂いた。

 そしてそれによってHPがゼロになったケロベロスは光となって消えた。


 「よっしゃ。やったなみぃちゃ……みぃ!」

 「みぃ!」


 俺が手を差し出すとみぃちゃんはその手に肉球でハイタッチをする。

 俺達が喜んでいる横でケロベロスは宝箱へと姿を変えた。


 「これがボス撃破の報酬か、さて中身は……」


 俺は宝箱を開けて中身を取り出した。

 そこにあったのは一つの石だった。


 「かわらずの石か? いや違うな何々進化の石?」


 <進化の石:保持しているとEX種族など特殊な種族に進化しやすくなる>


 「これはレアものなんじゃないか?」

 「みぃ! みぃ! みぃ!」


 俺の後ろで説明を受けていたみぃちゃんもそれに気付いたのか尋常ではない様子で飛び跳ねて喜びを表していた。


 何はともあれ修行の為に訪れたダンジョンだったが得るものは多かった。

 この調子でどんどんやっていこうと思いながら俺達は帰路についた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ