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アクション 38

 胃形カプセルから引き上げられたリィリィが、床に横にされ女性ポリスに介抱されている。


 僕は鎧姿のまま、急いで彼女に近づいた。

 

 彼女はずぶ濡れで、気を失ったまま。

 指先は裂け、突き刺されたコードの付け根から血が滲んでいる。


 僕はグローブの指先で宙にサインを描き、ピコメカにコードの分離を指示した。


 サインを優しくリィリィの手の甲に乗せる。


 吸収されたメカは困った様に点滅を繰り返し、取り外しに苦労している。


 くそったれサラダ野郎が……。


 僕は追加のサインを何度も描き、繰り返し貼り続けた。

 

 コードが、ポトッ、ポトッと、一本ずつ離れていく。

 みんなの安どの表情が広がっていく。

 しかし、彼女の意識は戻らない……。


 連行されて行くハイエナン。

 ここに来るまでに、ポリスマンを相当ブチのめして来たはず。 


 ごめんな。ホントに助かった。


 ポリスマンが僕の肩を叩き、一緒に来る様にと合図した。


 ゆっくり立ち上がると、Zan支社長を調べていたポリスマンが騒ぎ出した。


「なんだこりゃ!?人形だぞ、これ」

「赤いのは血じゃない。ただの絵の具だ」


 そのZanの左腕が無い。

 僕は慌てて周りを見渡した。

 

 左腕が指を動かし、ドアの隙間から出て行く。


 なんだアレ!?

「まさか!太陽のデータを持ち逃げしたんじゃ!?」


 僕はポリスマンの腕を振り払い、腕を追って廊下に出た。


 先に見える荷物運搬用の小型エレベータに腕が逃げ込むのが見えた。


 僕はバーニアで飛ぶ。


 腕に遅れて数秒、そこに辿り着いた。

 隣の小型エレベータに体を曲げて乗り込む。


 扉が閉まった。

 狭い!小さい!息が……。


 エレベータが上昇していく。

 更に前後に動くのを感じる。


 気持ち悪い。……どこまで行くんだ!? 


 ストップ、アンド、ムーブを延々と繰り返される。


 まだ続く。まだまだ……。


 酸素が薄い。もう、息が続かない……。そう思った瞬間、扉が開いた。

 人が溢れている。目の前は空港ロビーの様な所。


 ここは?宇宙エレベータの乗降場所か。


 巨大すぎて気付くのが遅れたが、目の前には宇宙エレベータのゴンドラビルがそびえ立っている。

 間近で見るとやはりデカい。圧倒的だ!


 Zanの腕が見えた!ビルの入り口!

 指の力で這うだけで、なんて速さだ。


 バーニア全開で寄って行く僕に、奴が気付いた様だ。

 

 腕は人の頭の高さまで跳ね上がった。

 そして掛け軸をほどく様に回転し、紙の様な姿を現した!

 正面から見るとZanの姿。しかし、厚みが全く無い。


「何だ、あいつ!?」

 まっ平の人間。しかし生きている。


 僕は鎧のコンピュータに映像を撮り込み、検索した。

 ……。

 情報は無い。


 じゃ、グヴェン医療食品の情報を検索!

 ……。

 ……。

 何かヒントは無いのか!?


 平面のZanがビルに逃げ込んで行く。


 皆が驚いている。

 奴はフニャ、フニャっと曲がりながらも、すごいスピードで逃げて行く。


 僕は追いながら、画面に映った文字に注目した。

『グヴェン医療食品C.L.D.新部門。2次元支社』……


 2次元支社!?

 リィリィとサラダ野郎は異次元の怪獣。じゃあのデブは、2次元、人……??


 2次元Zanはビルの中にあるガラス張りのエレベータに乗り込んだ。

 

 一気に上昇して行く。


 僕は追いつこうとジャンプし、バーニアを全開で吹かした。

 しかし飛べない!音だけが空回りして、噴射しない。


 エネルギー切れか!?いや、故障!?


 Zanのエレベータがドンドン昇っていく。


 ちくしょう!!

 僕は辺りを見渡した。ロビーの一番奥に螺旋階段を発見。それに向かって全力疾走した。

 

 ビル内にアナウンスが流れる。

『宇宙エレベータへの御搭乗、誠にありがとうございます。只今より上昇を再開致します。次の停止フロアは【2次元への玄関】となっております。お降りのお客様は館内エレベータをご利用頂き、57階への御移動をお願い致します。なお館内は約10秒後に無重力状態になります。お体を固定されていないお客様は、お近くのシートにお座り頂き吸気固定システムをご利用下さい。それでは素敵な御移動をお楽しみ下さい』


 僕は手すりを掴み階段を駆け上がる。

 アナウンスの57階と無重力になるというフレーズだけが耳に入った。


 眼下に見えるフロアの巨大噴水が止まる。

 それを見た僕にアイデアが閃いた。

 ピコメカのサインを描く。うっすらと文字が浮かんだ。やはりエネルギーの残量不足!


 薄文字のサインを遠くの噴水に向かって投げた。


 消えそうなサインが、ゆっくりと噴水に届いた。

 「頼む、動いてくれっ!」

 反応は遅いが、装置が始動。水が噴き出した。


 館内に無重力状態が発生。噴水の屹立する水が変化し、無数の水玉となって舞い上がる!

 止めどなく量産される水の玉。


 僕はもう一度ピコメカサインを描いた。

 しかし光は出ない。 

「頼むピコメカ!もう少しだけ、僕に力を貸してくれっ!!頼む!!!」


 念を込め、もう一度同じサインをゆっくりと描いた。

 先程より更に薄いサインが浮かび上がる。


 僕は消えそうなサインをゆっくりグローブで下に押し、足元の階段プレートにあてがった。


 プレートがゆっくりサインを吸収、そして変化していく。それはサーフィンボードの形に変わった。


 僕はボードを階段から剥がし、胸に抱いた。

 手すりに飛び乗る。そして噴水へ向かって思い切り飛んだ!


 無数に吹き上がる水玉群の中へ飛び込んだ。

 腹のボードに水圧を受ける。その力は思いも寄らぬ勢いで、僕を上昇させた。


 らせん状に旋回しながら上がって行く。まさにボディボード。


 僕の体があっという間にZanのエレベータを追い抜いた。

 奴の姿が見える。


 2次元Zanは、エレベータの中でデータスティックを取り出し、データシートにコピーを試みていた。


 奴のニヤケ顔を見て、僕は確信した。

「まちがいない。太陽のデータだ!」


 宇宙エレベータのエンピツ型・巨大ゴンドラビルが筒の中を上昇して行く。

 天上の窓を見上げると、上方にトローチ型の光のフロアが見えてきた。


 あれが、2次元への玄関フロアか!?


 ゆっくり回転する僕は『57F』と書かれた廊下の手すりを掴んだ。

 2次元Zanの乗るエレベータも、57階にすぐ到着しそうだ。


 廊下に降り立った僕は、Zanが乗るエレベータの扉の前に立った。

 息が切れる。しかし臨戦体制を整えなきゃ!

 

 扉上の57のランプがパッと点灯した。奴が来る。

 ドアが低い音のベルを鳴らし開いた。

 僕はそれが開ききるのを待たず、中へ飛び込んだ!


 続く

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