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アクション 35

 記者の質問は容赦なく続く。異次元の竜巻より凄い。


「ズバリ、事件の主犯はあなたですか!?」

「惑星マーズナーの水銀を太陽のガンマ線できんに変える発想はどこからっ?」

「太陽下りの老舗を廃業に追い込んでいる事件について、コメントお願いしますっ!」

「独占禁止法に触れる刑事事件にっ!」

「ドクター、何かコメントをっ!!」


 サラダ野郎が体に刺したスティックを引き抜いた。

 部屋のライトが点灯する。


 リィリィが入ったカプセルに、マスコミがすぐに気付いた。

 惨い姿で水中に漂うリィリィに、フラッシュがたかれている。


 サラダ野郎が演説を始めた。

「私の錬金術の理論を勝手に使い、その怪獣を実験して太陽独占を企てたのは、後ろで亡くなっているZan支社長だ。そして殺したのはそこにいる2人!」


 なに?俺らが誰を殺したって?

 ずぶ濡れの鎧で床に這う僕にフラッシュが瞬く。


 サラダ野郎の演説が続く。

「次々にここへ乱入してきて、目の前で支社長を殺した。私は自己防衛しただけだ!いいですかマスコミの皆さん。私の研究を御存じでしょう。『物質を光に近い速さで動かす原理』を応用して、宇宙エレベータの超高速移動を可能にし、『光を物質化する理論』でフォトン・ウェポンを開発した。続く発明こそ、惑星マーズナーの水銀を使った莫大な金の製造だ。装飾品だけでなく、あらゆる工業、家電製品への供給が安価になる。全世界の生活レベルを一気に上げる事ができる。私の科学に差別は無い。万人が恩恵を得るのです!」


今まで以上のもの凄いフラッシュが、満面の笑みの野郎を照らす。


 ドアからポリスたちが入って来た。フォトン警棒を構え、僕とハイエナンに近づく。

 リィリィのカプセルにもポリスが行く。


 良かった。彼女を早くカプセルから出して……。頼む。


 ポリスは血だらけで倒れているZan支社長の所にも。

 そこでポリスたちから声があがる。


 Zan支社長が背中に大きな穴を開けたまま、ムクりと起き上がった。


「わしを撃ったのはドクターだ!そいつを逮捕しろっ!!」


死体が、動きだした!

 僕を含め、皆の時間が止まった。

 一番驚いているのは、サラダ野郎だ。

「心臓を撃ち抜かれて、なぜ生きている!?……お前、この次元の生き物じゃないな!」


 皆動けない。2人の会話を黙って聞くしかなかった。

 Zan支社長は余裕の表情だ。

「お前こそ、この次元の者ではなかろう」


 Zanが僕を指さす。

「鎧小僧。コンピュータにアクセスしてみぃ。情報コードVX/1、社員認証IJ0001、文書ナンバー100×100-1。こ奴の履歴書だ」


 僕はピコメカ・サインを空間に描き、Ver.2に貼り付けた。


 Ver.2が光ってボディ全体が投影機になり、研究室の中央を灯した。

 データ文字が空間に流れていく。


『本名 ロンダエパルシー・モゼノ・トッロフィーパ。グヴェン医療食品C.L.D. 所属 製品開発技術本部 総括本部長 異次元出身』


 異次元出身者!?リィリィと同じ!!

 こっちの世界に住んだ異次元人は、リィリィが最初じゃなかった!!!

 数年も早くこちらの世界に来て、社会に大きな影響を及ぼす職業に就いていた!!!!


 絶句している僕をZanが指さす。

「異次元でのこいつの履歴を映せ。何をやってきたか、バラしてやる!」


 野郎が何をしたのか、僕は科学者としてとても興味を持った。


『農作物の株価を操る為、大気圧変換機を設計、製造。しかし、コントロールに失敗。嵐により異次元大陸の4分の1を水没させる』


 僕は次々に履歴をクリックした。ニュース記事も発見。


『農作面積の減少により食糧危機発生。人口抑制計画としてドクター・トッロフィーパは【赤い雨プロジェクト】を提唱』


『赤い雨プロジェクト。雨の成分・人工粒子ガスが体内に入ると赤血球が徐々に変形。酸素を運べなくなる。この雨をランダムに降雨させ生命力の弱い者を淘汰する計画。しかし異次元界国連総会にて、この案は全会一致で否決された』


 Zanは座った目でサラダ野郎を見つめた。

「こいつはその雨を降らせたんだよ。否決される前日に」


 驚きの事実!僕は愕然とした。

「じゃリィリィのママの病気は、こいつが原因……!」


 Zanが続ける。

「小僧。とっておきだ。履歴書の写真をクリックして見ろ。こいつの本当の姿が映ってる!」


 僕はグローブの右手を伸ばし、投影されている冊子状の履歴書ページをめくった。そこには……。


「これは、なんだっ!?」

 驚きの写真が大きく浮かび上がった。


 続く 

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