アクション 24
グヴェン医療食品C.L.D.の薄暗い会議室。
部屋の真ん中に3D映像の赤い惑星・マーズナーが映し出されている。
無重力で空間に浮かぶZan支社長。短い腕と脚をバタつかせ、醜く暴れている。
「ハイエナめ、裏切りやがってぇ!どうすんだ、トッロフィーパ。アイツ病院に隔離されちまったぞ」
「困りました。マシンの航海記録より、船頭の経験データが貴重だった」
「太陽でジジィを焼き殺した後、ハイエナの体から徹底的に搾り取るつもりが……。よし、アイツの子分達を引き裂いて、むしり取れ!」
「全く不十分です。ハイエナが子分どもの安全を考慮して、ごく限られた同じ地点しか航海させていない。未熟な者たちでも独りずつ拉致していたら、ライバル会社に気付かれる。太陽のデータを独占できない」
「畜生!どうすんだ!?」
「支社長。もう一人、太陽をよく知る人物、いや化け物がいるじゃないですか」
トッロフィーパが据わった目つきでZanを見つめる。
「化け物??」
眉間にシワを寄せていたZanの怒りの表情がグニャリと曲がり、目尻が口元まで落ちた。
「ドクタ~。あの怪獣ムスメをここに連れて来い!死ぬまでシミュレーションさせて、太陽の癖をゼェ~ンブ吐き出させろ!」
トッロフィーパの背後の扉が開かれる。
「準備は万端。ゾクゾク興奮するレトロアイテムの出番だ」
高さ2.5m。サビだらけで胃の形をした鉄製カプセルが出現した。
中央のガラス窓から見えるカプセル内には液体が満たされ、その中で電極棒が放電している。スパークするたび水面が波立つ。
ブーンという捻じれた電流音が鳴り響いている。
その胃の機械から、太くて黒いコードが複数、床を伝っている。
醜悪な笑みを浮かべるトッロフィーパ。Ψの形のアゴヒゲを触り、ジョリっと音を立てる。
Zan支社長は大きな耳の尖った上先を前後に動かし、卑俗な笑い顔を作っていた。
振動で痺れるコードの先には大型スクリーンが。
真っ暗な画面が不規則に光る。生贄のデータを待って、うごめいている。
続く




