アクション 19
リィリィは買い出しにショッピングモール・ドームに来ていた。
そこには署名運動をする女の子が友達二人を連れ、必死に声を上げていた。
彼女たちの懸命さに引き寄せられるリィリィ。
汗びっしょりになっった女の子が、リィリィに署名用の透明プレートを差し出す。
「お願いします!」
戸惑いながら、リィリィは女の子に質問をした。
「あなた達はなぜそんなに彼らを応援するの?」
「プラス君たちの事、大好きだから」
「そう……」
当たり前の事を聞いてしまったと、そそくさとその場を立ち去ろうとするリィリィ。
その時、女の子がリィリィを引き止めた。
「あなた、一人ぼっち?」
突然の問いかけに、リィリィは反論する。
「一人じゃないよ。おっしょう様、いるし」
「友達は?」
「……」
「私も友達いなかった。アカデミー(学校)でもずっとイジメられてたの。そんな時プラス君のファンになった。彼、すごく素敵な舞を踊るの。その時からどんどん好きになって、いっぱい情報を集めたの。周りの人に彼の事話してたら、いつの間にかたくさん友達ができてた。プラス君はわたしの恩人。恩返しがしたいの」
「……。私にもプラス君の事、教えてくれる」
「いいよ。彼の舞、見た事ある?」
首を小さく横に振るリィリィ。
女の子は前のめりで話をしだす。
「無重力の舞台で、色んな光の水を操って踊るの。だけど半年前、大きな事故があって」
「事故?」
「舞の途中でムラサキ色の水がプラス君に巻き付いたの。マネージャーのチャーリーさんが飛びついたんだけど消えなくて、病院に運ばれるまで燃え続けた。炎は体の中にまで入って、神経を焼き切ってしまったの。だから彼の体は二度と動かない」
初めて聞いたプラスの重い症状に、リィリィは言葉を失う。
女の子はうつむきがちに話を続けた。
「事故の原因はタンク内の液体交換ミスだって。古い液と新しいのが混ざって化学反応が起きたそう。ジャッキー君のスタント・リハーサルの立ち合いで時間が無かったチャーリーさんは、交換を業者に任せて確認をしなかったんだって。……プラス君は決して恨んだりしなかった。だけどチャーリーさんは責任を感じて自殺を」
「えっ」
「その後、プラス君の髪はムラサキ色になった。ジャッキー君に励まされてエアロ・チェアーを作って復帰したの。やっとここまで立ち直ったのに、いきなり映画制作中止だなんて。わたし、居ても立っても居られなくて、署名運動を始めたの。あなたにも、チカラを貸してほしい」
「……」
「うさぎ乃屋の、リィリィさんだよね」
はっとするリィリィ。
女の子が真っ直ぐな瞳で見つめる。
「あなたならきっと、わたし達よりプラス君のチカラになれる」
祈る様な女の子の言葉に、リィリィは動けなくなった……。
続く




