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アクション 15

 うさぎ乃屋は午後の仕事が始まるところだ。連日の忙しさにジャッキーのボヤキが止まらない。

「こんだけ働いても、ぜんっぜんポイント(お金)貯まらない!」


 ムツゴロウが優しくたしなめる。

「まだちょっとしか働いとらんぞい」


 僕はバカにしてたしなめる。

「今ぐらいの活躍じゃ、リィリィにファンの数、追い越される」

「あんだとっ!?」


 僕はジャッキーのリアクションを見ずに、店の扉を開いた。

 男たちの野太い歓声が上がる。みんなリィリィのファンだ。女の子もかなりの数いる。ファンクラブと書かれた旗まで振られている。更に熱心なファンは自作のうさぎ乃屋の法被まで着こんでいた。


「ほらジャッキー。お前のファンはもういない」

「あ~そうかい。じゃお前のファン、半分くれ」

「いいよぉ。あそこの『リィリィ・LOVE❤』ってTシャツ着てる筋肉ヒゲたち、みんなあげる」

「おげえ~」


 その時ハイエナンのサイドカーが、うさぎ乃屋上空を横切った。


 自分の店先に降下しようと、部下の誘導に合わせて降りて行く。


 うさぎ乃屋と対立している事を知っているファンたちが、ハイエナ軍団にブーイングを浴びせる。マシンに乗るハイエナンがイライラしているのが遠くからも見えた。


 店の中から慌てて出てきたリィリィが、ファンに叫ぶ。

「みんなやめて。私たち頑張るから。彼らにもひどい事言わないで」


 目の前のファンたちが静まる中、彼女の声が届かなかったハイエナンの店に近いファンたちがハプニングを起こす。彼の着陸を邪魔しようと、サイドカーの真下に転がり込んだのだ。


 とっさに翻るハイエナン。しかし更にファンたちの悪ふざけはエスカレートし、着陸ポイント塞ぎ続けた。


 キレたハイエナンが空で方向転換。フルスロットルの低空飛行で、こちらに向かって来た。

 ジェット噴射の炎がファンたちの頭上に降り注ぐ。

 大きな悲鳴が轟く中、マシンがリィリィに迫った。

 

 サイドカーの圧が彼女を押し倒す!そして激しい火炎がうつ伏せに倒れる彼女の体に降り注いだ!

 フワフワの白い毛が燃えあがる。悲鳴を上げるリィリィ!


 ジャッキーが彼女の体に飛びつき、覆いかぶさった。

 僕も直ぐにチェアーを動かし二人の所に。急いでゴーグルパソコンで彼女の状態をスキャンした。


 幸い炎は皮膚まで達していない。ジャッキーのおかげだ。しかし心のショックが!


 うさぎ乃屋に着陸したハイエナンが、サイドカーを降りる。

 掴みかかるリィリィのファンたち10数人を、フォトンセイバーで弾き飛ばす。先日話した時とはまるで別人だ。冷静さは無く蓄積されたフラストレーションを吐き出すかの様に、僕らに罵声を浴びせて来た。

「このクソアイドルが!お前らに実力が無い事を見抜けないバカがいるから、勝ち組ヅラ出来る事を忘れるなよ!」


 その言葉を聞き、怒りの声を上げたのは僕らではなくリィリィだった。

「最低!最低だよ!」


 思わぬ敵からの反撃に、ハイエナンが困惑する。

「だ、黙れ、キサマ!」


 リィリィは全く引かない。

「二人は私に夢を見させてくれた。女の子で良かったって思わせてくれた!」

「この化け物がぁ。教えてやる良く聞け。みんなはな、お前の醜さを珍しがってるんだよ。マスコミもファンも、そしてその二人もだ!」


 リィリィがピタリと止まった。


 ジャッキーが2本の棒を振りかざしハイエナンに飛び掛かる!

「貴っ様ァ―!!」

 ハイエナンはフォトンセイバーの黒色光の剣を構える。


 激突!!!


 リィリィが走り出す。

 ラビッターⅡに乗り込むと、すぐにエンジンをかけ急浮上。そして急発進した。

 ムツゴロウが慌ててうさぎ船に飛び乗る。


 ジャッキーが再びハイエナンの頭上に飛び上がった。

 ハイエナンの柄・上下2個並ぶ照射口の上側から、もう1本の黒い光が伸びる。


 僕はピコメカをハイエナンのサイドカーに放った。

 エンジンが掛かり、マシンが全速でハイエナンに飛ぶ。

 ジャッキーと僕のダブル攻撃!よける間は与えない!


 しかしハイエナンは少しも慌てる様子を見せず、まずジャッキーの顔を蹴り上げた。

 チカラを失った体が、プロペラの様に宙で回転する。

 更にハイエナンの2本目の黒い光がムチとなり、サイドカーに巻き付いた。

 

 けたたましい摩擦音。

 サイドカーは輪切りになって落下した。


 躊躇せず自らの愛車を切り裂いた彼を見て、僕は悟った。たとえ首から下が動かなくても、僕も戦わなければならない事を。


 うさぎ乃屋の入り口ドアに激突していたジャッキーが、膝をつき立ち上がろうとする。僕はエアロ・チェアーで彼に近づいた。

「気を付けろ。奴の主力はムチだ。剣はそれを操る道具にすぎない」

 

 ハイエナンのムチが弾け合う音を立て、剣に巻き付く。


 アゴの激痛で苦悶の表情のジャッキーが、ハイエナンを睨みつける。


 僕は焦った。

 ダメージを受けたジャッキーを助け、且つハイエナンの攻撃を攻略する方法を考えねばならなかった。しかし頭に浮かぶのは、心に深い傷を負ったリィリィのことばかり。

 

 絶体絶命。

 ハイエナンが暗黒の殺気を放ち、フォトンウェポンを見せつけながら近づいて来る。

 ムチが未知なる動きで攻撃して来る事は必至!

 

 どうするっ? どうすればいいっ!?


 続く 

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