コント 『クリーニング店』
店員:ボケ
お客:ツッコミ
ボケ「いらっしゃいませ」
ツッコミ「外の看板に、どんな汚れでも落とせるって書いてあったけど本当?」
ボケ「あ、すみません。お客様の口の周りに付いているその汚れは落とせません」
ツッコミ「は?」
ボケ「弊社のルールで、人間は洗濯機に入れることはできないので、お客様の口の周りの汚れは落とすことはできません」
ツッコミ「汚れって、この無精髭のこと? これ汚れじゃねーから」
ボケ「それは良かった。仕事柄、汚いものに敏感なもので」
ツッコミ「失礼だぞ。それと、なんだそのルール。洗濯機に人間を入れないなんて、当たり前過ぎていらないだろ」
ボケ「以前、右も左もわからない新入社員の子が、人間を洗濯機に入れてしまったことがあり、弊社のルールになりました」
ツッコミ「右も左もどころか、もっと大切なことがわかってないだろ、そいつ」
ボケ「ところで今日は、なにか私にご用ですか?」
ツッコミ「あんたに用じゃなくて、このクリーニング店に用があってきたんだよ。このトレーナーをお願いしたいんだけど。この前さ、お気に入りのこのトレーナーにうっかりケチャップこぼしちゃって。この汚れ落ちる?」
ボケ「もちろんです。あ、ついでにこのロゴも落としておきますね」
ツッコミ「落とすな! そのブランドのロゴが気に入って買ったんだよ」
ボケ「了解しました。ロゴ落としは無し、と(店員メモをとる)」
ツッコミ「それメモいる?」
ボケ「以前に、ロゴ落としを忘れて怒られたことがありまして」
ツッコミ「いるのかよ、ロゴ落とす奴(独り事のように)。そうだ、こういうトレーナーも洗ったら縮んだりするの?」
ボケ「はい。昨日のお客さまのトレーナーはかなり縮んでしまいまして、ペットのチワワに着せると言っていました」
ツッコミ「どんだけ縮むんだよ。縮み過ぎだろ」
ボケ「恐れ入ります」
ツッコミ「違う、べつに感心したわけじゃないから」
ボケ「そうそう、只今キャンペーンをやっておりまして、無料で香り付けサービスができますが、いかがなさいます?」
ツッコミ「へぇ。そんなサービスがあるんだ。香りって、なんの香りなの?」
ボケ「2パターンありまして、一つが大きな鳥が集まってくる香りと、もう一つが面識の無いおじさんが話しかけてくる香りです」
ツッコミ「気持ち悪っ。なんだよその香り。いい、いい、香り付けしない」
ボケ「香り付け無し、と。(店員、メモをとる)」
ツッコミ「えーっと、そうだ。これって明後日の午後中に取りに来ても大丈夫?」
ボケ「問題ありません」
ツッコミ「良かった。実はこのトレーナーを着て初デートに行きたくてさ」
ボケ「あの、明後日に取りに来ていただくのは問題ないのですが、弊社は明後日が定休日となっております。そこだけご了承ください」
ツッコミ「ダメじゃん、問題あるじゃん。それって、受け取りができないってことでしょ?」
ボケ「いえ、お渡しはできます。店は閉まっていますが、店の裏に案山子がいっぱい置いてありまして、定休日はその案山子に着せてのお渡しになります」
ツッコミ「なんなのその受け渡しシステム。聞いたことないんだけど」
ボケ「ただ一つ問題がありまして、案山子の周りに大きな鳥がいっぱい集まっていますので、そこだけ気をつけてください」
ツッコミ「香り付けサービスのせいだろ。つーか、香り付けした奴がいるのかよ」
ボケ「あと、面識の無いおじさんもうろついていますので」
ツッコミ「そっちの香り付けした奴もいるのかよ」
ボケ「そうだ、良いこと思いつきました。弊社の隣がコインランドリーになっていますので、ご案内いたします」
ツッコミ「もういいよ」
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