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ミッション エイミーさんと修行しろ

申し訳ありません1話飛びましたので、前回の前に1話追加しています。



今日はドールのダンジョンの1階層に来ている。勿論正規の料金を支払っている。


「今日はエイミーさんの実力を確かめるのが、目的だからヨナーちゃんはコイン拾いをお願いね。」


「私、荷物持たなくていいの?」


「うん、アイツが持つから大丈夫よ。」


そう言う俺の背中には、ポーター用の大きな背負い袋が久しぶりに乗っている。


「カレン準備はいいか?」


「アンタ、駄目だと思うわよ。ヨナーちゃんもエイミーさんも経験済みよ。」


「このパーティ構成は初めてだろ?」


そんな事を言いながらダンジョンに入ったが、残念ながらドールの挨拶は無かった。


「そんな旨い話は無いか、あれ?」


「ダンジョンのモンスターってワープ出来るのか?」


俺がそんな事をいうと意見が二分した。先攻は不可能派だった。


「ワープって何よ。」


「腕輪だよ。」


「出来る訳ないじゃ無い、そんな事されたらいきなり背後に現れてグサって事もあるわけじゃない。嫌よそんなの。」


「ボスモンスターの様にあの瞬間に、産まれ出てると考えた方が自然では無いのかと思いますわ。」


「イヴァン様にフロースのダンジョンの事もお聞きしていますが、ゴースト系でもわたくし達の目には見えなくなるだけと伺っています。」


「俺は有る派だ。そう考えないと消えた事に説明がつかないからな。」


先攻の不可能は1人を除いて知性派チームだ。後攻は感覚派だ。勿論ミカンちゃんは知性に裏付けられた感覚派だ。他の雑魚とは違う。


「えー、腕輪が出来るなら、出来るんじゃないですかー。」


「あの、ボワンって音が怪しぞ。いや、ボフンだったか?あれがきっとそうだ。」


この2人は無視するとして、ミカンちゃんの考えは流石ミカンちゃんだった。


「ボスが出る時には時間と魔法陣がいるです。」


「そうね、そんな時間も魔法陣も無かったわ。」


「消える時にも煙が出たです。腕輪なら煙は要らないです。」


「けどいなくなったです。」


「えっと、ミカンちゃんどう言う事なの?」


「腕輪じゃないです。偽物の腕輪です。」


「うーん、カケルさん分かります?」


「少し時間をくれ。ここまで出ているから。」


ジェシカさんに俺は自分の喉を指差して、分かって来てるフリをする。


「ミカン、エアリアルスマッシュです。」


「ここもです。」


ミカンちゃんはドールの立っていた床と背面の壁をメイスで強打するが、僅かに傷を付けただけに終わる。


「隠し扉か?煙で見えなくしている間に、そこから出入りしてるって事か。」


手品かよ。


「はいです。」


ミカンちゃんは、はっきりと肯定した。


「エイミーとヨナーは早く寝るです。2人が寝たらカケルです。」


ミカンちゃんの言いたい事は良く分かった。しかし、こんな朝早くに、しかもダンジョン1階層の入口で寝ろと言われても無理かも知れない。


「え?ミカンちゃんさん、私寝るんですか。」


「寝ろと言われたら寝る。ここでいい?」


エイミーさんはイキナリ寝ろと言われてどうしたら良いか迷っているが、ヨナーちゃんは直ぐに俺の横で床に寝転がっている。


「ミカンちゃん、ヘンタイさん、今回はエイミーさんの実力を確かめるのが先決ですから、先に進みましょうか。」


フランシスカさんはヨナーちゃんを起こしながら、俺たちに先を促して来た。もちろん俺には異存は無い。ミカンちゃんも一瞬俺の方を見たが、従ってくれる様だ。


「また、後でね。」


カレンはミカンちゃんにそっと囁くと、手を引いて進んで行った。


「エイミーさん、あの操り人形に全力で攻撃してもらえる?」


カレンの指差す先には、木製の操り人形がまるで天井から吊るされているかの様に浮いていた。


「はい。」


エイミーさんは頷くと左手に身体が隠れてしまいそうな楕円形のオーバルシールドを構えて、右手には短めの槍を持っている。


ジリジリと盾に隠れたまま操り人形に近づいていく。するとエイミーさんに気付いた人形が頭を先にして飛んでくる。


「うわぁ?」


慌てて槍を横殴りに振るが間に合わずに、操り人形の体当たりを盾で受け止めている。


操り人形は30センチ位、ふわっと後退すると再び体当たりを繰り返して来た。


「ああっ。」


盾の重さと人形の体当たりで身体が少しづつ開いている。再び操り人形は体当たりをすべく、ふわりと後退した。


「やっ!」


そこを目掛けて、槍を振るが距離が近過ぎる為に人形の体当たりのが早く、槍を振って体勢が崩れたのもありオーバルシールドの重さと体当たりの衝撃が合わさって盾を持つ左手を中心にして、身体が流されてしまった。


気付けばエイミーさんは操り人形に無防備な背中を完全に向けていた。


「ファイア。」


エイミーさんの背中をガラスの目ので、捉えていた操り人形は再度、体当たりをしようとしたところで炎の柱に包まれていた。


「今度は攻撃しなくていいから。その盾でどこまで凌げるか見せてもらうわ。」


「はい。分かりました。」


エイミーさんは短槍を背中に掛けると、盾を両手で保持した。


「来たわよ。」


「はい。」


ガンと操り人形が盾にぶち当たるが、踏ん張ってなんとか留まっている。


操り人形はふわりと距離を空けて、突進してくる。


「くっ。」


それが何回か繰り返されているが、エイミーの防御は健在だ。しかしここて操り人形はパターンを変えてきた。


ふわりと距離を開けるところを、後退する素ぶりを見せエイミーさんが弛緩した瞬間、全く後退せずに盾の上を回ってエイミーさんに手を伸ばして来た。


「ああっ?!」


盾を持ち上げるのも、角度を変える事も出来ずにいると、操り人形は盾を手で押し下げる様にして勢いをつけるとエイミーさんの首にしがみついた。


「きゃああ、あぐ?」


ギリギリと締め付けていく。


「アンタ、早く助けなさいよ!急いで!」


「バンバンバンバン」


慌ててレーザーを連打するが、表面に焦げ跡をつけるだけだ。不味い、不味い。


「エアリアルプレス。」


フランシスカさんの声が聞こえると、操り人形の腰辺りを中心に圧縮されはじめるが、エイミーさんがそれに引っ張られ前のめりになる。


「あっ?!キャンセルですわ!!」


「フッ。」


ピンと伸びた人形の背中をタリリのショートソードが叩く。その切っ先はエイミーさんにギリギリだった、危ない奴だ。


しかし人形は切れずに、腕を支点に回転しエイミーさんの腹部を強打している。


「カケルさん、そっちを!」


マリリさんが操り人形の左腕を持って、エイミーさんの首にから剥がそうとしているのを見ると、右腕側に回ると手を絡めて体重を掛けた。


「がはっ。」


少し首が緩み呼吸が回復したエイミーさんの、息遣いが聞こえる。


「せーのっ!!」


掛け声でマリリさんとタイミングを合わせて、腕をを開く。布団を干すときに挟む巨大な洗濯バサミを2人で開いている感じになっている。


「カレンさん!」


フランシスカさんが腕の広さが広がったのを確認すると、カレンに指示を飛ばす。


「ん!!」


カレンとミカンちゃんがエイミーさんの体を両脇から掴んでおり、一気に後ろへ自分の体ごと後ろへ倒れ込む。


「良し!」


「離れて下さい。」


俺は床へ操り人形を投げ捨てると、エイミーさんの方に退がる。


「エアリアルプレス。」


ゴガガガと鈍い音を立てながら木の塊が出来上がると、俺たちはため息をついて床に腰を下ろした。


「エイミーさん、大丈夫?」


「ごめんなさい、怖かったでしょう。」


「は、はい。びっくりしました。」


ケガに関してはマリリさんがヒールの魔法をかけていたから大丈夫だと思うが、やはり初心者にいきなり中級者向けのダンジョンはキツかったかと反省している。


「盾か槍かどちらかといったところだな。どっちが好みだ?」


タリリが先輩風を吹かせて、指導しようとしているが考え方は悪くは無いと思う。


「盾です。父はこれを使ってパーティを守っていたと聞いていますから、私も父と同じように護れるようになりたいんです。」


「なら、盾だ。」


「はい!」


「盾には攻撃を防ぐだけでなく、流す、弾く、刺すなど色々な使い方があるのは知ってるな。」


「はい、聞いたことは有ります。」


「やって見せるから、その槍で突いてこい。」


「はい!」


あれ?タリリがカッコよく見えてきた。マリリさんを見ると、目をまん丸くして感動のあまり震えている。口元はなにかを呟いているようだが、手で覆われている為に良く見えない。


盾を俺に預けたエイミーさんが短槍でタリリを突くが、正面に対して角度を付けたラウンドシールドによって、その穂先は左に流されていく。


「わたたった。」


エイミーさんは体重を乗せていたのか、前方に体が泳いでいる。


「次は弾くぞ。さあ来い。」

「やあ!」


タリリは腕を大きく開くと、穂先を盾で横殴りにした。エイミーさんから槍は離れて飛んでいく、そこにタリリが追い討ちをかける。


引き戻したラウンドシールドをエイミーさんのガラ空きの脇腹向けて勢いよく振り、当たる直前に留めてトンと柔らかく接触させた。


エイミーさんが見下ろす視線の先には、タリリのラウンドシールドがある。軽く当てられただけで背中を走る電気のような物を感じ、冷や汗が止まらない。


盾で刺すという物に興味があったが、その実演は無かった。タリリはエイミーさんに盾の縁を撫でて、面では無く側面を叩きつける遣り方を説明していた。


だが当面の課題は見えて来た。エイミーさんは小柄な為に父親のオーバルシールドが重過ぎて扱い切れていないし、体重が軽い為に操り人形の攻撃すら耐え切れていない。


精霊の力を借りて、スマッシュの盾バージョンが出来る様になれば少しは良くなると思うが、何か方法は無いか?


そんな事を話し合いながら、1階層から3階層までを何回か往復してこの日は帰途に就いた。

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