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ミッション ドールのダンジョン2階層を攻略せよ

今度のパペットは指人形だった。兎に角小さい人形だった。それが6体でパーティを組んでいるのだ。


「よっ!」


試しに俺がショートソードで床を叩く勢いで、切りつけたが先頭のナイト人形の盾で受け止められた。


その後、後衛から放たれた小さな火の玉を左手の掌で防ごうと思ったら左腕が火に包まれた。


「熱っつー!!」

「ウオーターです。」

「ヒール。」


小さいながらも本物だ。カレンに聞くと守りの護符も駄目になったらしい。ヤバイ。コイツら強いぞ。

一寸法師の鬼になった気分だ。


「タリリ、口は開けるなよ。中に入られたら厄介だ。」


タリリは必死技を叫ぼうとしていたのを、辞めて口を閉じた。


「バカバカバカー。アンタが変な事言うから!」


指人形達は俺の言葉を理解したのか、魔法を唱えようとしたカレンの口目掛けて飛び掛かってきた。


それを大袈裟なリアクションでカレンは避けている。


マリリさんもフランシスカさんも左手で口を押さえながら魔法を行使している。


たった6体の雑魚モンスターの癖に、ボスよりも遥かに苦戦した。だれの責任かは問わないでおこう。


次の部屋は1階層と同じ操り人形だ。タリリは活き活きと技名を叫んでいた。指人形の部屋を3回ほど抜けると2階層 ボス部屋と書いてあるトビラを見つけた。


「指人形の部屋だ。30人のセットが2隊いるらしいぞ。前衛と後衛の部隊らしい。」


「攻略法とか無いの?」


「ここには書いてないぞ。」


「アンタが考えた奴でいいわよ。」


俺が他のページをめくっていると、そんな事を言われた。動かれる前にファイアでまとめて焼き払えば良いとは思うが、どうして聞いてくるのかと尋ねると予想外の反応が返ってきた。


「だって、嫌よ口開けたくないわよ。」


「いやいやいや、開けなくても良いだろう?声に出してるのはパーティ用だろ?精霊だけなら要らないよな。」


「「「あ!」」」


カレンだけでは無くマリリさんやフランシスカさんも今気付いたみたいだ。それなら許そう。


「じゃあ、私がやるわね。開けて。」


(ファイア、ファイア!、ファイア!!ファイアー!!!なんてねー。)


唱える毎に音階も声量も上がっていき、最後はオペラのフィナーレの様だ。


「ブッ?!」

「え?」

「「カレンさん?」」

「レンちゃん上手です。」


ボス部屋の指人形、フィンガーパペット達が4本の炎の柱で燃えていってるが誰も見ていない。その目はカレンを見ている。


「え、どうしたの?」

「お、お前声に出さないって言った癖に、なんだあのノリノリは!」


するとカレンは俯いて真っ赤になって震えている。


「どこ、どこから口に出てたの?」

「その、ファイアの1つ目からです。低いトーンのところですー。」


ジェシカさんが申し訳無さそうに申告すると、カレンは頭を抱えて蹲る。


「こんにちはー!それはコネクトだよー。」


「あ、精霊さんこんにちはー。」

「こんにちはです、コネクトです?」


「そうだよー、仲良しさん達の言葉を繋げたのー。指輪を触るか、強く伝えたいと思ったら伝えるからー。」


「お話しなくてもいいです?」


「そうだよー。思うだけでいいよー。遠くてもいいよー。」


「テレパシーか、すごいな。」


「凄くないよ、普通だよー。」


精霊からしたら普通かも知れないが、トランシーバーや携帯電話の代わりになるから便利だな。


よしテストだ。


「(カレン、聞こえますか?あーテステス。)」


(プッ、バカじゃないの声に出てたわよ。)


(何が、よしテストだですか、かっこ悪ー。)


(けど、これ全員に聞こえるんですね。少し不便かも知れませんね。)


(むー、そんな事無いよー。その人の事だけを思えばできるよー。)


(それはそれで、恥ずかしいですわ。)


「次行くわよ、次!」


カレンは俺を蹴りつけると、腕を絡めて階段を降りて行った。


3階層の始まりの部屋には誰もいなかった。その代わりに水が湧き出ている場所があり、手を洗えと書かれていた。


「なんだこれ?」


「アンタ、私に聞かないで本を見なさいよ。」


「ああ、そうか。」


しかし、ガイドブックには飲料可としか書かれていない。


「一応、飲める水らしいな。それ以上の情報は無いぞ。」


「始まりの部屋ですから、危ない事はないとは思いますが敢えて触る必要は無いと思われます。」


「そうね、必要なら書いてあるあずよね。」


そう言ってカレンは通路へと進んでいく。


「あら、手袋かしら」


そう言ってカレンが腰を曲げたので、フードを握って止める。


「待て、そんな考え無しはタリリの役目だろ。」


「え、モンスター?」


「そうだ、あれもハンドパペット型モンスターだ。」


見てると手袋が起き上がりると、その手の部分にはクマのぬいぐるみが付いていた。


「ああ、あれね、手を入れて動かす人形ね。」


「孤児院用にクマのハンドパペットを作ったのを思い出しましたわ。」


「ミカンは戦わないです。」


油断していると、クマが口を開け飛び掛かってきた。その赤い布地の口には、尖った金属の歯がギザギザと並んでいた。


「フッ」


タリリのショートソードが叩き伏せる用に上段からハンドパペットを捉えて、床に叩きつけて切断した。


「油断するな。」


「タリリがするです。ミカンはしないです。」


「タリリ、お願いしますね。」


タリリは納得していないようだが、マリリさんに言われて渋々するみたいだ。


クマの他にはウサギ、猫、虎、ワニなどの動物系のパペットが出てきた。


「3階層 ボス部屋って書いてありますねー。」


屈んで入るぐらいのサイズの扉があり、そう書かれていた。


中に入ると魔方陣があり、その両側に2本の俺の背丈ほどの高さのマネキンの腕があり、その手にはハンドパペットが既に装着されていた。


右手は鎧を着たゴブリンナイトで左手は杖を持ったゴブリンメイジの人形だ。


右手が前に出て左手が後方へ移動する。ナイトがメイジを守る形だ。


「フランシスカさんは後ろをお願い。」

「了解ですわ。」


「ファイア。」

「エアリアルプレス」


その後は説明するまでも無い。ハンドパペット達はそれぞれの役割りを果たそうとしていたんじゃないかと思うが、何もさせて貰えずに燃え尽きた。


ゴブリンメイジは杖を構えた瞬間に腕マネキンごと、バキバキと音を立てながら圧縮されて行くと30センチぐらいになった辺りでコインの生成を始めた。


「流石ね、フランシスカさん。」

「カレンさんも、お見事です。」


そんな2人を横目に俺とジェシカさんはコインが出来上がるのをじっと待っている。


次は4階層だ。5階層で今までのモンスターがオンパレードらしく休憩するなら4階層とガイドブックにも書かれていた。


「下の始まりの部屋で昼食にしないか?」


「そうね、少し休憩にしましょう。」


今日はミカンちゃんのリクエストでナポリタンをコッペパンに挟んだ惣菜パンだ。ミカンちゃんは口の周りを真っ赤にしながら頬張っている。


カレンが甲斐甲斐しく、ミカンちゃんのケチャップを拭いている横で既に食べ終えているジェシカさんが何かゴソゴソと準備をしている。


4階層は木の人形だった。美術のデッサンに使うアイツが等身大にサイズアップしている。デッサン人形が素手で襲い掛かってくるのだが、関節の可動範囲がめちゃくちゃでタリリは戦い難そうにしている。


「この!」

「フッ。」

「まだまだ。」

「うわっ!」

「やあっ」

「留めだー!」

「なんと!」

「クソッ」

「どうだ、ハアハア。」


デッサン人形は口が無い、よってタリリだけの声が聞こえてくる。一方、ミカンちゃんはこんな感じだ。


「えい、えいです。」


右手のメイスで攻撃してきた腕諸共、胴体を粉砕し地面に落下した頭部を左手のメイスで叩き潰した。


タリリが1体倒す間に、ミカンちゃんが残りの3体のデッサン人形を倒している。タリリもっと頑張れ。


等身大の人形が角を曲がった先に、倒れてたり、天井からぶら下がっていたりするとモンスターだと分かっててもドキリとする。


そこにもデッサン人形が倒れていたが、俺もビックリしたが、お隣さんの魔法使いも声にならない悲鳴を上げていた。


「心臓に悪いわね。スケルトン並に嫌ね。」


そのあとも分かっていながらも静かに驚きつづけ、ボス部屋の前に着いた。


「ボスもデッサン人形だ。ただしビックサイズだ。特に注意点も無し。以上!」


結果を言うと確かにビックサイズだった。天井までの高さは3メートルぐらいあるが、デッサン人形は大きすぎて、立つ事ができないサイズだった。


膝立ちでも真っ直ぐに立てずに、ハイハイの状態で襲いかかってきた。デカイだけに圧迫感があり、結構な恐怖だった。


いつも通りに扉を開け、魔法を撃とうとしたらデッサン人形の右手が横殴りで襲いかかってきた。


俺は頭を両手でカバーして、即死は免れたが殴り飛ばされ、壁へと激突した俺は意識はあったが、自分でポーションを飲む事すら出来なかった。


直ぐにマリリさんのヒールが飛び、我に返ったカレンのファイアがデッサン人形の腰を焼いたが、腕で這うようにして迫ってきた。


まだ立てない俺は寝転び、天井ギリギリのデッサン人形の凹凸のない顔を見て恐怖を感じた。


「ファイア、ファイア、ファイア。」

「フランシスカ、エアリアルスマッシュ!」

「ストーン」


盾を構えて俺の前に立つ、タリリの背中越しにデッサン人形が炎に包まれ粉砕されていくのを見ていた。


「ごめんな、こんなにデカイとは…。ガクッ」


まだ立ってはいないが、立てるぐらいには回復した身体でそんな事を言って、倒れて目を閉じた。


「か、カケルさん!!」


予想外にジェシカさんの声が聞こえると、口にポーションのビンを突っ込まれた。2本、3本と次々と3本同時に入れられた。驚いて目を開けると、カレンを始め、フランシスカさんや、マリリさんが両手にポーションを持って順番待ちをしていた。


「ゴボッ?!」


驚いて飛び起きると、冷やかな目が並んでいたので素直に謝り、改めてお礼を言った。


しかし精霊銀を手に入れて、攻撃力が上がっても経験不足が否めないと反省した。


「アンタ、移動する前に守りの護符を新しいのに交換しておきなさい。ほら今すぐに!」


金貨2枚する高級な護符をもう2枚も駄目にしてしまっている。合計で40万円分だ。大赤字なのにカレンもみんなも何も言わずに新しい護符を勧めてくる。


「すまん、気を引き締める。挽回させてくれ。」


「駄目よ、今まで通りでいいわ。無理は厳禁これは命令よ。無理したら全員がピンチになるから。」


カレンは今までに無い真剣な雰囲気でそう告げた。


「いい、命令よ。」


カレンの言葉だけが、ダンジョンに響いていた。


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