表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/110

その73 リーリオの教会へ行け

本日3本目です。


よろしくお願いします。


第72 コピペミスをしていました。

この文章をお読みになっていない方は

すみませんが再度72話をお読み下さい。



「誠に申し訳ありません、多大なる遅れによりご迷惑をお掛けしました事、重ねてお詫び申し上げます。ただ今アザリアよりシスターマリリ到着致しました。」


俺たちは教会に入るなり、打ち合わせ通りに頭を下げて謝罪をしている。


教会は王都のフロースダンジョンのカウンターと同じぐらいのシスターさんが並んでいた。もちろんそれの何倍もの採掘者も朝からコインを持って並んでいる。


リーリオのダンジョンにはセーフポイントが無い為に3つのダンジョンの対応をこの教会1つで処理している。


カウンター奥の神父が1人立ち上がると、手招きをしてきた。案内されたのはカウンターの中央に座るシスターだ。


年は50前位だろうか。黒髪少し白い物が混じってきる。首には金のペンダントが掛かっており、ペンダントトップは教会のマークが入っている。


「ようこそ、シスターマリリ。初めての後輩ですね。わたくしはこの教会を纏めております、シスターメッサリナと申します。」


「ゴホッゴホ。」


案内してくれた神父さんがわざとらしく咳をしている。


「あら、いいじゃない。それにしてもお1人聞いていたよりも多いわね。ベッド足りるかしら。」


その目は確実にフランシスカさんを捉えている。フランシスカさんはそっと頭を下げている。


「良し、休憩にしましょう。部屋で話を聞くから付いて来て。」


シスターメッサリナは神父を従えて、奥の廊下を歩いていく。すれ違う人々がお辞儀をしていく。それにシスターメッサリナは軽く手を振って応えている。


案内された部屋は重厚な造りの机が窓際に置かれている。部屋の中央には木のデーブルとソファが置かれている。壁には作り付けの本棚が並んでおり、分厚い本が整然としている。印象は校長室か社長室といった感じだ。


「こちらの方は本教会の最高責任者で聖女 メッサリナ様です。」


神父様の説明で初めての聞く役職にみんなが息を飲むのが分かった。


「ほら、シスターって男性みたいに司祭とかいろいろな役職無いから、仕方なく上が作った名誉職なの。」


それではこの女性は何か大きな功績を挙げたと言う事だろう。


「あら、そこの男の人は気付いていらっしゃらないようだから説明しますね。わたくしも10年前にそこの奈落のダンジョンを発見して、その功績から聖女の職を頂きましたのよ。」


「もちろん、そのダンジョンは皆さん奈落と呼んでますが、正式にはカトリーヌのダンジョンと言いますのよ。結構な値段で売れましたね。」


ゴホンと神父様がまた咳をする。


俺は聖女様の言葉で思わずマリリさんを見る。シスターマリリから聖女マリリにジョブチェンジか?


「さて、わたくしの話はここまでです。シスターマリリはダンジョン発見をされましたが、あくまでもこの教会への転勤は罰則であります。」


聖女メッサリナは姿勢を正すと、淡々と話しだした。


「しばらくは通常のシスターとしての業務に加えて、罰としてわたくしから特別な任務を与えます。

浮かれている様には見えませんが、より一層気を引き締めて取り組まれる事を期待しております。」


「はい。期待に添えるよう精進致します。」



重い扉を抜け、神父に従い案内された部屋に入っていく。マリリさんとタリリが同室。カレンとミカンちゃんが同室。フランシスカさんは個室だ。もちろん俺も1人。ジェシカさんはミカンちゃんのベッドを借りる予定だ。


「やっぱり、伯爵アイツの所為ね。」


「お父様に連絡しますわ。」


「カレンさん、フランシスカさん、お気持ちだけで十分です。聖女なんて事になったら、皆さんとご一緒出来なくなるかも知れませんから。」


「そうだ。ダンジョンに入れなくなったら死んでしまうぞ。」



そんな会話に俺は加われない。何故なら俺の部屋は彼女らの建物とは離れている。しかも2人部屋だ。

同室は見習いのゼルギウス君13才だ。名前だけ聞くと凄く強そうだが、まだ彼はダンジョン未経験者だそうだ。


しかし茶髪で狼族の獣人である彼の頭には、狼族のミミが付いている。狼らしく切れ長の目はもう少ししたらシスターさん達がコロッと行きそうだ。いやもういってるかも知れない。


「カケルさんは採掘者なんですよね。」


ゼルギウス君が恐る恐ると言った感じで聞いてくる。さっき自己紹介で荷物持ちと言ったが伝わらなかったようだ。


「いやポーターだ。採掘者の資格は持って無いな。」


「え、なんだポーターか。だから同室か。」


いかにも舌打ちした様な喋り方に変わった。さっきのオドオドした感じではどこへいった。


「チッ、役に立たねぇな。」


今度こそ舌打ちをして、俺に背を向けてベッドに横になっている。カチンと来たが俺はお子ちゃまとは違うのだ我慢出来る大人だ。


俺も横になって光の精霊の真名を考えていく。この前なんて言うのが近かったのか、思い付きだった為にまた最初からだ。


「おいオッサン。俺これから仕事だから、ベッド片付けとけよ。」


そんな事を言ってオオカミ少年は出て行った。残念ながらポーターはそんな事はしないのだよ少年。


俺も午後からはフランシスカさんと御山の天辺まで行かなくてはならないので、そろそろ準備を始めるとしょう。


軽く身なりを整えるとそのまま部屋を出る。目指すはカウンター前だ。時間が許す限りシスターさん達を見学をしよう。


カウンターにはシスターさん達が並んで、採掘者の対応をしている。狸の獣人のお姉さんは可愛いな。

あの背の高いシスターさんはモデルみたいだ。並んでいる採掘者も少し多い。巨人族のシスターさんは修道服が小さく見えるが対応はとても親切だ。俺ならあそこに並ぶ。きっと分かりやすい。


視線をズラすとマリリさんの隣に緑髪のシスターさんが立っている。何処かで見た顔だ。俺の視線に気付くと手を振って来た。ジェシカさん何してるんだ。


溜息をつき部屋の隅を見ると、部屋を掃除しているオオカミ少年がいた。真面目にしていないのがここからでも分かる。ほら余所見をしてるから、採掘者の足に箒が当たったのか肩を押されて尻餅をついている。


オオカミ少年は採掘者を睨みつけるが、採掘者は気にした素ぶりも無く、カウンターに向かった。


「流石に採掘者も教会関係者には手加減するか。」


俺は伸ばしていた右手を下ろすと、シスターさんの観察を再開した。



マリリさんの休憩時間に合わせて、俺たちは食堂に集まっている。俺はハムの入ったサンドイッチだ。 カレンはうどんみたいなのを食べている。おれもそっちが良かった。


「わたくしたちはこれから、領主様のお屋敷まで伺いお父様の御用件を済ませてきます。」


「申し訳有りません。ご一緒したかったんですが。」


「いえ、もし呼び出しがかかった時には、わたくしから聖女様へお話をさせて頂きますので。その時はお願いします。」


マリリさんとタリリを残して俺たちは、馬車で坂を登っている。既に領主の屋敷の門をくぐっているが、チラホラと家が見える。


「さっき門番いたよな。ここ領主様の土地なんだろ?どうして家があるんだ。」


カレンを見るが、奴はフランシスカさんを見る。


「え、多分ですが、仕えている騎士や従者の家族や使用人の家と思われますわ。」


「そうですか…。」


「はい、使用人の子供は使用人になるのが普通ですから。」


「…。」


フランシスカさんに説明されると、どんな内容でも普通に納得してしまい会話が続かない。


「「あの」」


俺とフランシスカさんの声が被り、つい見つめ合ってしまう。


「ど、どうぞ。」

「では、わたくしから。」


フランシスカさんはコホンと咳をすると話し出した。


「まだヘンタイさんはわたくし達に隠し事していませんか。」


「へっ?」


つい変な声が出てしまう。フランシスカさんは何に気付いたのだろうか。


「昨日の聞いたことの無い道具や空を飛ぶ機械に、極め付けはそのスマホですわ。」


「うっ。」


「昨夜カレンさんにもお伺いしましたが、ご存知無いとのことをでしたわ。どの大陸からいらっしゃったのか御教え願えませんか。」


しかし、俺よりも不安で泣きそうな奴がいる。


「フランシスカさんやっぱり、アンタも無理しなくても…。」


フランシスカさんは溜息を吐き、窓の外を見て告げる。


「残念ながら時間切れです。」


俺とカレンは露骨に安堵した表情を見せる。


「御二方共、ご安心するのは早計です。今夜コテージできちんと説明頂きますわ。」


「「…。」」


領主の屋敷に着くと、燕尾服をきた執事さんが待っていた。フランシスカさんを先頭に案内されていく。俺は木箱を両手で持ち最後尾でついていく。


両開きの扉を執事さんがノックをする。


「お客様がご到着されました。」

「入れ。」


そこには、金髪で緑色の目をした女性が立っていた。黒を基調としたドレスに肩から白地に金の柄が入ったショールを掛けている。


最も特徴的なのは、耳の先端が僅かに尖っていた。もしかしたら、エルフなのかも知れない。


「お招きいただき有難うございます。アーホルン 公爵家 フランシスカです。父、ロドヴィックの使いとして参りました。」


「遠路遥々ご苦労であった。しばらく見ぬ内に大きくなられたな。以前お会いした時は、まだ赤児だったと思うがな。」


「さあ、掛け給え。今日は時間があるのでな、ゆっくりと話を聞かせて貰うとしよう。」


執事さんとメイドさん達により、テーブルにお茶とクッキーとケーキが用意されていく。


「先ずは毎年の恒例のプレゼント交換と行こうかの。こちらからは、ミスリル銀のブレストアーマーじゃ。」


「アヤツが風の精霊が宿ったミスリルで打った、ブレストアーマーを欲しておったからな。きっと御主の為に探しておったのだろう。 先に仕立てやったわ、フフフ。」


「確かにお預かり致しました。」


「頼んだぞ。帰る前までにサイズ調整をさせる故、少し時間をくれぬか。」


「はい。」


「フフフ、これで一泡吹かせられる。」


フランシスカさんが少し席を外して、ブレストアーマーの調整をしている間、俺たちはその部屋に放置されていた。領主様はフランシスカさんの所へ着いて行ってしまっていた。


「ミスリルの鎧だってよ、じゃあこの箱の中の物はどんな高級品なんだよ。持つのが怖くなるな。」


俺が泣き言を言うとカレンが小声で突っ込んでくる。


「ビビって無いで、堂々としてなさいよ。」


フランシスカさんと領主様が戻って来たので、こちらからの攻撃のターンとなった。フランシスカさんは木箱を領主様に手渡している。


封が破かれ木箱の蓋が取られた。そこに見えたのは、赤いシルクの布の中に1本の木剣が入っていた。


「えっ木剣?」


先程のミスリルの鎧に比べて、この差は酷く無いか?フランシスカさんを見てみると、口に手を当て目を見開いている。うんうん、ショックなんだろう。


領主様を見ると同じく驚いていた。あれ?


「プロフィテスの大森林じゃな。しかも風と光の精霊が宿っておる。今年こそはと思ったが、また引き分けじゃな。」


領主様が手に持ち軽く振ると、キラキラと輝きを伴う風がゆっくりと通り過ぎていき、入口の扉に当たると、扉は音を立てて吹き飛んだ。


「ああ、しまった、許せよ。」


領主様はバツの悪そうな表情で執事へと謝っていた。その出来事に驚いていたフランシスカさんは己の手にまだ手紙がある事に気付くと、手渡すべく席を立った。


「別に手紙を預かって参りました。御受け取り下さいませ。」


真っ白な封筒に公爵家の封蝋が押された手紙だ。領主様は手紙を中から取り出して読み始めると目を大きく見開いた。


「フランシスカ嬢、御主の事が書かれておるぞ。」

「え、なんと。父上からは何も聞かされておりませんが。」


領主様は手紙をフランシスカさんに渡すと、俺たちにも聞こえるように説明した。


「そこにおるカレンらは10年振りのダンジョン発見者で初心者ながら、上級者にも引けを取らぬ実力と書かれておる。」


「え。」


カレンは自分の名前が出た事で冷静ではいられないようだ。


「フランシスカ嬢とは旧知の仲故、頼み事は断らぬはず故、しばらくの間、娘ごと貸し出すと書かれておるの。」


「「はい?」」


これはカレンとフランシスカさんの声だ。


この手紙が無ければ、カレン達の主導権を握るのは聖女率いる教会だけとなっていたが、この手紙によって公爵家を経由してリーリオの領主にも主導権を握る事が出来るのだ。


領主様はしばらく天井を眺めていたが、諦めたように笑いだした。


「ロドヴィックめ、今年はウチの負けだ。ブレストアーマーといいヤツの掌の上で踊らされたわ。フハハハハ。」


ここでフランシスカさんが姿勢を正し報告する。


「1点訂正させて頂きます。旧知の仲では有りましたが今ではパーティメンバーの一員とさせて頂いております。」


その言葉で俺たちは自然と頷いていた。だれも文句は無い。


「では、ここからは領主としての仕事だ。フランシスカ嬢もパーティメンバーならば昨夜のジャイアントアリゲーターの件を報告して頂こうか。」


領主はニヤリと口元に笑みを浮かべている。


「はいその件ならば、我がパーティも助力させて頂きました。」


「助力とな。」


「はい、騎士及び兵士の方々と5名の採掘者が先に交戦されていました。」


「我が兵士は手も足も出なかったと聞いておるがな。」


領主の鋭い視線にもフランシスカさんは一歩も引いてない。


「いえ、決定打を欠く状態であっても騎士を先頭に時間を稼いで頂けた為に、我がパーティが全力を出すに十分な時間が得られました。故に我らだけの手柄では有りません。」


領主は力を抜くと息を吐いた。


「そうか、ならば兵士達にも褒美を取らせねば。」


その言葉を最後に領主様との用事は終わり、俺たちは退出を促された。


この屋敷の主人であり辺境伯 ベリス・ベラルーニは椅子に背を預けると大きく溜息を吐いた。


「ランク5のパーティや其奴らを取り締まる騎士ですら、赤児同然だった化け物を一撃で葬るノーランカーパーティーか。」


「公爵家が何か秘密を握っているのか、それともカレン嬢らに秘密があるのか。じっくりと見せて貰うとするか。」


「さて、その為には似たような年格好のお女子を探して、パーティにネジ込むのが確かか。」


ベリス辺境伯は口元に笑みを浮かべ、自分に貸し与えられたチャンスを最大限に利用すべく思案の森に入っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ