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ミッション ゴブリン退治

「やっぱり暗いな。」

「ダンジョンと違って、光苔なんてないわよ。」

「ランタンは俺とタリリとマリリさんでいいか?」

「そうね。それでいいわ。」


自然の洞穴は暗く少しの先も見えない。深い緑色のゴブリンは闇に溶け込み発見が難しくなりそうだった。


一応隊列は先頭がタリリ、続いてミカンちゃん、カレン、マリリさん、ジェシカさん、俺となっている。


足音や装備の音が歩く度に洞窟内に響いている。いまのところはゴブリンの姿は見えない。


「もう、暗いわね。ファイアボール、ファイアボール。」


位置的にタリリの前と俺の後ろに炎の虎が出現した。その炎によって壁面まで見て取れる様に明るくなった。


「きゃあ!虎?!え?囲まれてる!」


ジェシカさんがただ1人だけ、驚き慌てている。


「これは、ただのファイアボールよ。大丈夫だから。」

「採掘者さんて凄いんですね。こんなの見た事有りません。」

「いやいや、これカレンのオリジナルだから。普通できないから。」


ジェシカさんが採掘者を勘違いするといけないから

すぐ様、カレンがおかしいと訂正しておいた。


洞窟は直ぐに直角に曲がっており、その先の行き止まりは広場になっていた。そこでは6匹のゴブリンが羊の様な家畜を食べていた。そのゴブリンらは炎の虎に辺りが照らされると食事を中断してこちらを威嚇しだした。


「ギギッギ?!」


「どうやら、他の人はいない様ね。燃えなさい。」


カレンの声が終わらない内に先頭の炎の虎が走りだして、ゴブリンの中心で弾ける。


炎に包まれたゴブリンが四方に吹っ飛び、奥の3匹は壁にぶつかるとそれ以上動くことは無かった。

また、残る3匹は床に転がりタリリとミカンちゃんの手前まで来るが立ち上がる前にタリリとミカンちゃんにそれぞれ1撃でトドメをさされていた。


「タリリソード」

「えいとぉーーえいです。」


「わぁ!凄いです。スゴイスゴイ!こんなに簡単に!」

「こんなもんね。さぁ帰りましょ。」


カレンが入口を振り返ると俺と目が合う。


「カレン、その食べ残しを燃やしてくれないか?」

「え、そうね。また別のモンスターが匂いによってくるかもしれないわね。」


「ファイア!」


炎の柱が洞窟を眩しいくらいに、光で満たしている。羊らしき動物は見ている間に骨も残さず、跡形も無く綺麗サッパリと亡くなった。


「あれ?コインだ。」


俺の視線の先にはゴブリンの身体から金色の糸が湧き上がってきているのが見える。それは徐々に集まり金色に光る雲を作り出す。


「これがコインになるんですねー。初めて見ます!綺麗ですねー!」


ジェシカは横たわるゴブリンの周りを回りながら、コインの出来上がっていく様子を見守っている。俺は頭の潰れたゴブリンの死体の方が気になって、これも早く燃やして欲しいと思っている。


鉄貨を収集した後、カレンのファイアでゴブリンの焼却処分を済ませたが、俺たちはまだ洞穴にいた。


「この付近にダンジョンは確認されていません。1番近いのはアザリアのダンジョンでしょうか。」


マリリさんは今回で2度目になるゴブリンの襲来の原因がダンジョンからの流出と考えているようだ。


「後は王都のダンジョンですが、24時間体制で兵士が監視しているはずです。アザリアよりもより厳重に。」


皆マリリさんの考えには賛同し頷いている。


「じゃあ、更に遠くの監視の甘いダンジョンから偶然に2回もこの洞穴に逃げ出して来たって事?」

「それは出来過ぎた話だぞ、カレン。」

「それじゃあ、何なのよ?」


カレンは俺とミカンちゃんが話に加わっていない事に気づくと辺りを見回した。


「アンタとミカンちゃん、何してるの?」

「魔方陣と秘密の凹み探しです。」

「ああ、話を聞くと残りの可能性はここがダンジョンって事ぐらいだろ?」


「カケルさん、それは未発見のダンジョンと言う事をですか?!」

「それは凄いぞ!」


俺たちは床に這い蹲り、指先で床の凹凸を確認していく。


「アザリアの時はアレでも、ずいぶんと分かりやすかったのね。」

「ああこれはキツイな、自然な洞穴だからどこも凸凹で見分けがつかないな。」

「もう、指先がぼろぼろよ。」


しかも入口も解放されており、距離も離れていない事から結構の土砂が所々積もっている。俺たちはその積もった土砂を指先で払いながらの作業を強いられていた。


「あの、皆さん何をされているんですか?」


ジェシカさんはポツンと1人立っている。


「コインと同じ大きさの凹みか魔方陣を探しているんだ。それがあれば、ここがダンジョンと証明出来るんだ。」

「そうなんですね。私も探しますね。」


そう言うとジェシカさんも四つん這いになり、俺たちと同じように手探りでの探索を始めた。丁度俺の目の前辺りで。


「あ、ジェシカさん。ソイツの前には行かないで。」

「え、どうしてですか?」

「ソイツは胸だけじゃなくて、お尻とか下着も好きなのよ。すぐに覗いてくるから。」


ジェシカさんはワンピースの裾を抑えると、俺の前からスススといなくなった。


「覗かねーし!」


俺は反論するが擁護してくれる人はいないようだ。


「今だって、ジェシカさんのお尻見てたわよね。」

「たまたまだって。暗くて良く見えなかったし。」

「ほら、見てたんじゃない!ヘンタイ!」

「ぐ、嵌めたな!」

「フフフ、仲がいいんですね。」

「あら分かりますか?いつもなんですから。ふふふ」


俺が何度目かのヘンタイのレッテルを貼られながらも、そのあとも口と手を止めずに作業は続けられた。


「カケル、この部屋がボス部屋じゃない事は無いのか?」

「ん?どう言う事だ?タリリ。」


タリリは飽きてきたのか、立ち上がると腰に手を当てストレッチを始めた。


「イテテ、これだけ探しても無いならボス部屋が出来る前のダンジョンかもしれないぞ。」

「タリリ、ダンジョンってそうやって出来るのか?」

「いや、知らないぞ。」

「今まではボス部屋の無いダンジョンは発見されていませんね。ただタリリの考えも無視は出来ませんわ。」


みんな四つん這いの姿勢が長く、腰が痛いのか立ち上がりストレッチや腰を叩き始めた。


そんな中ジェシカさんに俺が目をやると、ワンピースの裾が捲れ、下着が見えそうになっていた。


「お?!」


しまった、つい声が出てしまった。その声にカレンが反応すると俺に飛びかかってきた。


「ジェシカさん、下着!下着が見えそう!」

「え?!」


ジェシカさんが慌てて裾を直そうとする所までは目視できたが、それ以上はカレンがぶつかる衝撃でフォーカスを合わせる事が出来なかった。


ジェシカさんに気を取られていたのもあり、カレンを受け止める事が出来ずに、よろけながらも2人して壁に向かっていく。


カレンを抱きとめる形で、壁に背中が当たり衝撃が来たのに続いてカレンの腕輪と壁が当たる音がする。


「え?」


するとカレンの腕輪と背面の壁が光り出している。徐々に強くなる光に目を開けられないでいると、不意に背中の支えが無くなり俺たちはそのままの姿勢で倒れ込んだ。


「痛っー!カレン大丈夫か?」

「い、痛たたアンタも大丈夫?」


マリリさんたちが駆けつけてくるが、俺たちの脇を通り過ぎると、そのまま走り抜けた。


「ストーン!ストーン!ストーンウォール!」

「ハーちゃんです。えいです。」

「タリリソードクロス!」


その声に俺たちはすぐ様、起き上がると20メートルぐらいはありそうな大きな空間に無数のゴブリンがひしめき合いっているのが見えた。


「魔方陣があるな。ボス部屋か。」

「そんな事より行くわよ。」


俺はショートソードを鞘から引き抜くと、ゴブリンへと叩きつけるが、ゴブリンは軽く躱すと奇声を上げながら飛び掛かってくる。


「バンバンバン」


レーザーの魔法で勢いを削ぐことができ、辛うじてゴブリンを避ける事が出来たが、3発のレーザーを受けたゴブリンは自分の身体を見ると特に怪我もない事から、その場で威嚇を始めた。その口元はなんだか嘲笑っているかのようだ。


「クソ、やるなゴブリン。だか俺様はこのパーティで!」


ゴブリンは俺の口上が終わる前に、再び飛び掛かってきた。俺はそれにカウンターを合わせる様にショートソードを突き出した。


「ギャ!」


ショートソードはゴブリンの左肩を少し掠めたが、仕留めきれずにゴブリンの歯が俺の首筋を掠めた。

抱きついたままのゴブリンは再度口を大きく開けて、俺の首を噛み付こうとしてきた。


「クソ!」


俺は突き出していた右手をそのまま、引き戻して剣の持ち手をゴブリンの背中に力一杯打ち付けた。


「ゴホ。」

「ガア!」


ゴブリンは突然の背中への衝撃に体を反らせると、力無くその場に滑り落ちて行った。


その様子を見え、トドメを刺したいが呼吸がままならずゴブリンと見つめ合っていた。


「ファイア!」


目の前のゴブリンが突然炎に包まれる。しかし俺は反応できずにいると、左腕を引かれ炎の柱から遠ざけられた。


「大丈夫ですか?」

「アンタ、大丈夫!」


俺の手を引くジェシカさんと数メートル先から顔だけをこちらに向けたカレンの声が重なる。


「ああ、大丈夫だ。助かった…。ハアハア」


俺が1匹のゴブリンに手間取っている内に、残りは4匹になっている。横たわるゴブリンからは金色の糸が登り始めているのもある。


残りの4匹もタリリとミカンちゃんが難なく倒すと魔方陣が赤く輝きだす。


「階層のボスか?」

「みんな、注意して!早くこっちに!」


タリリとミカンちゃんは武器を構えていたが、カレンの指示を受けみんなが入口に集まってきた。


「無理そうなら、逃げるわよ。いいわね。」

「ああ、了解だ。」

「はいです。」

「ゴブリンの上位種でしょうか?」

「カレン、敵が動く前に先制を頼んだぞ!」

「もちろんよ、当たり前でしょ。」


ひときわ光が大きくなると、その中からマントを着たゴブリンが現れた。その口には大きな2本の歯が生えている。両手の爪は長く伸び、細く尖っている。


「ファイア、ファイア、ファイア!」


ゴウっという音と共に3本の火柱があがると天井まで焦がす。


出現と同時に炎に包まれたボスは、声を上げる事も無く消え去った。そう塵1つも残さずに。


「マリリ、あれはヴァンパイアだろ?上位アンデットの?吸血鬼の?」

「ええ、ゴブリンのヴァンパイアでしたね。」

「マリリ、ヴァンパイアは殺しても復活するんだろ?」

「ええ、塵になっても復活すると言われていますね。」

「マリリ、復活しないぞ。」

「ええ、塵も残ってませんから。」


マリリさんたちは放心状態で会話を繰り返している。


「カレン、ナイス!」

「でしょ! でしょ!」

「偉いぞ、最高だ。」


カレンが満面の笑みでニコニコしている横でジェシカさんが若干引きつつ、ミカンちゃんに話し掛けている。


「ミカンちゃん、あれヴァンパイアだったの?カレンちゃんって実は凄いの?!」

「レンちゃんは最近凄いです。えっへんです。」

「そう、そうなの。凄いね。」


するとゴブリンヴァンパイアから金色のコインが1枚精製され、床に落ちる。


「おー?! 金貨か?」


俺の言葉に反応した皆の視線が床に集まる。俺とカレンはその場まで歩くと、金貨を拾おうと手を伸ばす。


「アンタ、それ!」


カレンの指差すコインの脇にには、金貨のサイズの浅い凹みがあった。


「最下層のボス部屋だったか。強い訳だ。」

「その様ね、きっと私達ショートカットしたのよ。ほらあそこ。」


カレンの再び指差す先には、俺たちが入って来たのと別の暗く先の見えない通路が口を開けていた。


「なるほどな。それでこれどうする?」


金貨を指先で挟みながら、ジェシカさんをみる。ジェシカさんは俺たちの視線に気づくと何故か手を振り返してきた。


「内緒にしてもらえば、いいんじゃない?」

「そんなもんか。」


カレンはジェシカさんの所に行くと、今から見る事は内緒にして欲しい事を伝える。


「はい、内緒ですね。分かりました。これで私も仲間ですか!嬉しいです!」


本人はやったーとかジャンプして喜んでいるが、ジェシカさんは俺たち以外に話すことが出来たんだろうか?死んでるんだよな。


「それじゃあ、みんな魔方陣の中に入ったわね。」

「ああ」

「ハイです。」

「はい。」

「ジェシカ入りましたー。」


カレンはそれを確認すると俺に頷き


「アンタ、やっちゃって!」

「行くぞ。」


俺は鉄貨を嵌め込むが反応がない、仕方なく銅貨、銀貨と進めていく。


「どうしたのよ?」

「いや、金貨だろ?勿体無くて。」

「いいから、早くしなさい!」

「ふう。」


俺は溜息をつくと、ゴブリンヴァンパイアのドロップした金貨を窪みにはめ込んだ。


「お?」

「アンタ、早く来なさいよ。」

「ああ」


魔方陣は金色の光を帯び、明るくなって来る。その金色の輝きが天井まで到達するぐらいに輝きが増すと俺たちの姿はそこには無かった。

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