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ミッション 判明

サイリサスのダンジョンを出ると、日が傾き始めている。大岩の周りの屋台も少しづつの灯りが点灯を始める。サイリサスの街へ着く頃には完全な暗やみに包まてしまう。


「5日かけて鉄貨200枚。大赤字よ。まったく!」


カレンは街道をアザレアへ向かい歩いている。その表情は言葉と裏腹に明るい。皆の表情も同様だ。ただミカンちゃんが偶に考え込む仕草を見せている。


カレンは皆を振り返り


「この辺りまで来れば良いかしら?跳ぶわよ。」


みんなの返事を確認するとカレンはアザレア10階層と声に出した。


「おい!ちょっと待っ」

「何よ?」

「サイリサスへ跳んで確認するのかと思ってたぞ。」

「どうしてよ。」

「8パーティの合同だっただろ?俺たち単独じゃなかったけど大丈夫だったかなって。」

「アンタそれ、いま言うわけ?跳んじゃったじゃない。」

「えい。えい。」

「タリリソード」

「ストーン…。」

「すまん、ちょっと気になっただけだ。」


オークが目の前に倒れている。ここは確かにアザレアダンジョン 10階層のボス部屋だ。俺たち以外だれもいなくて良かった。転移の瞬間に鉢合わせたら大事になるのは確実だ。転移魔法なんてものは知られてない上、自由に使えると知られたら最悪な結末が想像できる。簡単な例では兵や物資の輸送手段として国の管理下に置かれ戦争の道具として自由の無い一生が待っている。なおアザリアの腕輪の事もコイン使用による10階層魔法陣から1階層への転移の事も秘密にしてある。これは我がリーダー様が他のダンジョンもきっと知られてないはずだから、我がパーティで独占すると言い切ったからだ。よって我がパーティの秘密と自由な生活を守る為にサイリサスへの転移はサイリサスが落ち着いたら確かめる事になった。


(ミッション 猫さんを助け出せ! 制限時間 6日)


アザレアのダンジョンから教会の宿舎へと戻った俺は疲れの為か昼過ぎまで寝ていた。なお、マリリさんは朝早くから教会の業務についている。カレンとミカンちゃんは今俺と食事を共にしている。おれが食べているのは朝食だ、お代わりして昼飯分も食べるつもりだ。


「カレン、どうせ今起きたんだろ?それは朝食だよな?」

「アンタと一緒にしないで、昼食よ。」

「ミカンもカレンちゃんも朝ごはん食べてないから、ぺこぺこです。」

「おい?」

「何?」

「まぁ、いいや。食べようか。」


カレンが皿のパスタをフォークで口に運びながら、視線を僅か上方に向ける。


「残りは6日なのよね。猫ちゃん大丈夫かしら?」

「サイリサスでも、手掛かり無かったしな。」

「そうね、猫ちゃんじゃなくて、ネズミだったわね。」

「俺たちが猫だったか。」

「猫ちゃんじやなくて、猫さんです。」


俺たちはミッションの文字を見て軽く確認する。


「ああ、ごめん。猫さんだったか。」

「猫さん。」

「カレンちゃんも。」

「はい、ごめんね。猫さんだったね。」


ミカンちゃんは頷いているとても満足そうだ。ゆっくりと食事をしているとそろそろシスターさん達の休憩時間になる。俺たちは食器を片付けてテーブルを開ける事にする。


「おい、カレン。アザレアの10階層で新しいモンスターが捕獲されたそうだぞ!」


慌てた様子のタリリが食堂に駆け込んで来る。その後ろにはマリリさんが歩いて来ている。


「私達も昨日10階層にいたのに、実に残念だ!」

「タリリ、落ち着いて下さいね。」

「そうだ、落ち着け。」

「これが落ち着いていられるか!騎士として名を売るチャンスだったのに!」


俺たちは片付けた席に逆戻りし、6人でテーブルを囲んでいる。タリリの話を聞かされるために。


「タリリ、どこの情報だ?」

「ん?教会のカウンター待ちの採掘者の会話を聞いたが。」

「何名かの、採掘者も10階層で見た事の無いモンスターを見たと仰っていました。」

「不味いな、又ダンジョン閉鎖じゃないだろうな。」

「いや、採掘者には危害を加えなかったそうだから、大丈夫じゃないか?」

「なんだそれ?弱いのか?10階層なのに。」

「いや、コバルトは巻き込まれて倒されるのがいたらしい。」


ん?何かが引っかかる。


「猫さんです。ハーちゃんじゃないです。」


「「あー!」」

「あら?!」

「ゴーレムか?」


ミカンちゃんの一言でみんなが叫ぶ。一気に食堂の視線を集めてしまう。


「カレン?ゴーレムって魔力が切れたら土に還ったりしないのか?」

「だから、魔力なんて知らないけど。ミカンちゃんが土に還れって言わない限り、最初の命令を繰り返すんじゃない?」

「壊れたりしないのか?」

「知らないわよ。」


ミカンちゃんもうんうんと頷いている。本人も知らないらしい。


「要するに、今回のミッションはミカンちゃんの猫さんゴーレムを採掘者から助け出す事だったんだな。」

「だから、猫さんだったのね。」

「今になれば、答えが書いてあったと分かりますわね。」

「で、助け出すとはどうすれば良いんだ、カケル?」

「覆面被って、襲うか?」

「アンタね。」

「じゃあ、正直に俺たちのゴーレムだって言うしかないだろ。」

「それもイヤ。色々聞かれるじゃない。怪我をしたから治療費よこせってタカってくる奴も出て来るわ、きっと。」

「実際に怪我をされた方はいらっしゃらないと聞いていますが、悪い事を考える方は少なからずいらっしゃいます。残念な事ですが。」


カレンそこは俺を見る必要は無いぞ。


「なら、助けた事にならないかも知れないが土に還すしか無いな。」

「それで良いわ。ミッション失敗したところで大した事ないわよ。だって助けるゴーレムは既に土になってるのよ。それ以下は無いわ。」

「それもそうだな。」

「ミカンちゃん、猫さん元に戻せる?」


みんながミカンちゃんを見つめる。ミカンちゃんは足元を見ている。


「あらあら、妖精さん首を横に振ってますわね。」

「本当ね。だめなんだ。」

「やっぱり戻せないです。前から妖精に言われていたです。」


足元の妖精は俺には見えないのか。


「ミカンちゃん?戻せない理由を聞いてみて。」


ミカンちゃんは頷き妖精に尋ねている。しかし答えは良くないようでミカンちゃんは首を傾げている。

カレンもマリリさんも難しい顔をしている。


「妖精は契約が終わってないから、戻せないないって言ってるらしいわ。」

「はい、契約は2つの様です。1つ目は大きな音を鳴らす事。これは完了しました。2つ目がコボルトを倒す事です。この契約時にコボルトの数を指定しなかった為に、コボルトがいなくなるまで戦う契約となっているそうです。」

「だから、方法は2つね。まずは皆の見てる前でファイアの魔法で強制的に破壊する。これはゴーレムもかわいそうだけど、私も確実に犯罪者ね。」


破壊のところでミカンちゃんの表情が硬くなる。


「もう1つは10階層のコボルトを私達の手で全滅させる事。その瞬間に契約は完了すると精霊も言っていたわ。」

「全滅?アイツらは倒しても時間が経てば湧いてくるよな?」

「そうよ。しかもコボルトは数が非常に多いわ。全滅させる前にきっとリポップするわね。」


普通にやって全滅させられるだろうか。あと6日やって出来ないときは破壊するしかないか。


「全滅させるわよ。絶対に!」


「ほら、アンタは今日から行くわよ。マリリさんは出来れば明日からお願いできますか?」

「はい、そのように調整します。タリリ手伝って下さいね。少し急ぎますからいいですね。」

「ああ、了解した。」

「ミカンちゃん、準備に行くわよ。アンタはポーターの荷物は置いて来ていいから、タリリの予備の剣を持って来なさいよ。」

「了解だ。後で部屋の前に行くから。」


マリリさんとタリリはそのまま、食事をとり午後の業務に入る。準備が終わった俺たち3人はコボルト退治へと出発した。


「タリリソード、ぐわー!」

「バカ、何言ってるのよ、ふふふ」

「タリリソード!タリリソード!」

「ミカンちゃんもやめて!アハハハ!」

「ミカンちゃん、タリリソードの時にはソの時にまゆ毛とまゆ毛を寄せて、眉間に皺を寄せる感じでやると完璧だ。」

「アンタ何を教えているのよ。ブフォッ!」


ミカンちゃんが少し明るくなった気がする。俺の分からないところで精霊と話して悩んでいたのかも知れない。コボルトには悪いがミカンちゃんの為に全滅してもらおう。


「フッ」

「フッフッです。」

「アンタたちー!やめて、お腹痛いから。」


俺たち3人の笑い声が10階層に響いている。この日のは全滅には程遠い結果だったが、ミカンちゃんもカレンもいい笑顔をしているからOKとしよう。明日から頑張るから。


制限時間はあと5日と残り半分を切っている。本日は朝早くから、5人でコボルトを狩り続けている。

タリリの案で5人がバラバラに行動し、コボルトと戦う事も検討したが、1人だと危険だった為に中止となった。試しにタリリがボス部屋の前でソロ戦を始めたが、倒す速度よりコボルトの仲間が合流する速度が速く、徐々にコボルトの数が増えていった。


「私でも単独は危険だ。カケルは1人だと不味いな。」

「当たり前だ、俺をなんだと思っている?ポーターだぞ。光しか使えないポーターなんだぞ。」


タリリにはきちんと、教えて置かないととんでもない事を言い出しかねない。何故か惨めな気分になるが仕方ない。


「アンタはよく、そんなに偉そうに言えるわね。」

「いや、きちんとそこは言わないと俺死んじゃうじゃん。」

「アンタは死なないわよ。」

「ん?どうしてだ?」

「アンタ、ずるいから死なないわ。」

「え?カレンが守ってくれるんじゃないのかよ。」

「イヤよ、私が危なくなるじゃない。アンタなら放って置いてもきっと大丈夫よ。」

「いや、司祭の時マリリさんいなかったら死んでたし。」


俺はマリリさんに向かいお辞儀をすると、マリリさんもお辞儀を返してくれる。


「そうだったかしら?覚えてないわね。」

「ほら、ここをザクッと」


俺はズボンの裾を捲り、ふくらはぎをカレンに見せる。


「何も無いじゃない。どこよ?」

「あれ?傷跡無いな。やっぱり、本職シスターのマリリさんの治癒魔法は凄いな。へー。」


俺は自分の右脚を何度も繰り返し見て、傷跡が無い事に感心していた。


タリリの案が却下された今、5人固まってコボルトと戦っている。しかし全く俺とカレンは使い物になってない。俺たちの目の前でタリリがコボルトにショートソードを振り下ろす。


「フッ」

「「ぷっ」」


別のコボルトにタリリが掛け声と共に剣を叩きつける。


「タリリソード!」

「「ブフォッ」」


マリリさんの冷たい視線が刺さるが、昨日の件もありどうしても我慢が出来ない。


「ア、アンタ 笑わないでよ。」

「ああ、カレンも笑うなよ。」

「タリリソード、タリリソードです!」

「「えっ!?」」

「「アハハハ!やめて、ミカンちゃん」」

「ふふふふ。」


突然なミカンちゃんのタリリソードにタリリ本人は驚き戸惑っている。マリリさんは少し、驚いた顔をしたがミカンちゃんの眉を寄せた表情がタリリに似ているのに気付いてからは、タリリに申し訳無さそうにしながらも笑いを堪えられないようだった。


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