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ミッション 洞窟を探検せよ

サブタイトルをミッション風に変更しました。

朝だ。スマホの電源は常にOFFにしてあるので、目覚ましは鳴らない。しかしそカーテンが薄く、朝日が眩しくて目が覚めた。昨夜脱いでいたトレーナーを着て中庭の井戸まで歩く、上半身裸のマッチョがいる。軽く挨拶して顔を洗うとマッチョに話しかける。


「井戸までくるの面倒くさいですよね。こう魔法で出来たら楽ですよね?バシャバシャって」


マッチョはこっちには目も合わせず


「そんな事、精霊に頼む奴いるかよ。魔法使えなくなるぞ。まあほとんどの奴は精霊なんて見えねーか。変な事考えてると、精霊にとって喰われるぞ。なーネーチャン!」


マッチョはガハハハと笑いながら後から来たカレンを見ながら中庭から出て行った。何が面白いのだろう?


「と言うわけで、精霊には火、水、風、地と光と闇の6種がいるわ。私は火の精霊、マリリは地の精霊。タリリは風の精霊、ミカンは水と地と闇の精霊。ミカンは3属性なのよ!宮廷魔術師にも中々いないわよ!凄いんだから!」


そんなミカンちゃんは俺の前で1メートルはありそうな巨大な芋虫を両手に1本づつ持ったメイスで撲殺している。棒の先に着いた鉄球のトゲが凶悪だか、殴る度に眉間に皺を寄せるミカンちゃんは可愛い。

ただ3属性はどうしたのかとツッコミたくなる。


ここはアザレアのダンジョン。街から2時間程歩いた場所にあり、初心者向けの最下層が10階のダンジョンである。なお、カレン率いるこのパーティの到達階層は4階層である。


通路は広く壁も床も石の様な材質で出来ている。壁は仄かに光っているが、光苔が発光しているとの説明を受けた。


また、コイン採掘量のほぼ全てをダンジョン産が占める為、ダンジョンは国からは非常に重要な施設として、教会からは神からのギフトを授かる聖地として厳重に管理されている。よって国や教会に認められた者しか入る事は出来ない。


「どうですか?初めてのダンジョンは?荷物重かったら言って下さいね?」


色々気を使ってくれているのは、正統派シスターのマリリさんだ、金髪ショートの綺麗な髪と優しい性格でタリリとは本気で双子を疑うぐらいにお淑やかだ。


そのタリリはさっからマリリには一歩たりとも近付けさせないと張り切っている。俺じゃなく、芋虫の事だと思う。


俺は息絶えた芋虫の側でコインを回収する為に待っている。これもポーターの仕事の1つだ。しばらくすると芋虫から金色の湯気が立ち昇ってくる。だんだんと湯気が増え集まり、光る雲となっていく。


やがて雲の密度が高くなると中心部にコインが形成されるので、コインを回収していく。今回は湯気の量が少なく雲の中のコインは3枚だけだった。

俺は3枚だった事をコインを見せながら、皆に告げた後で鞄に仕舞う。


他のポーターの仕事と言えば、食料、水、薬、毛布、食器、予備の装備を持ち他の4人のサポートをするのが仕事だ。正直重い、走れる気がしない。マジックバックやイベントリはどこ行った。もったいぶらずに出てこい。


「そう言えばあんたは何の精霊なの?そういえば見えないわね。」


「あら、確かに私にも見えないわ。この世に生を受けた瞬間に精霊がつくはずだからオカシイわね。」


カレンとマリリが俺の周りを回りながら全身を見回してくる。ヤバイ変な汗が出てくる。誤魔化さないと。


「そういや、勇者とかいるの?光属性のバリバリの!召喚魔法で召喚されたチートな勇者様。」


アカン、これは完全に不審者を見る眼だ。


「あんたね、光属性の勇者なんているわけないでしょ。そんな奴雑魚よ!」


カレンが手にしたランタンを動かしながら


「考えてみなさいよ。ダンジョンってランタンがなくっちゃ危なくて進めないのよ。多少壁が発光しているから、真っ暗闇って事はないけど」


「そんな所で光の精霊が全力を出せると思う?」


光を見せる為かランタンを俺の顔に近づけてくる。


「地水風火の4属性は火は水に弱く、風に強いっていう相性があるし、光は明るい所で、闇は暗い所で力が増すわ。」


「だからダンジョンで光属性だけなんて、雑魚よ!雑魚!」


ミカンちゃんはその話を受けてニコニコと説明してくれる。


「そうです。お伽話の勇者は全ての精霊をお供に虹色に輝いてるんです。キラキラです。」


「わかった? でアンタの精霊は?」


ぐっ!まだ、忘れてなかったか。


「近い!近いってランタン!」


大袈裟な身振りで後退りカレンから遠ざかる。


「ぴろりろーん!」


頭の上の方で音がなる。

今回は頭上以外の複数の場所からも聞こえた。


(ミッション 左手の行き止まりで全ての光を消せ 制限時間 300)


「え?何よこれ!」


「ぴろりろーん!って音がしました。」


「あらあら。何でしょうね。読めない文字ですわね。」


「数字だけは読めるぞ290、289、288減っていってるぞ。」


今回は全員に出たのか。前回を顧みればミッション達成でカレンが助かったとするならば、失敗時には大怪我、最悪死の可能性がある。時間が無い。

ミッションを読み上げる。


「ミッション 左手の行き止まりで全ての光を消せ。制限時間 280!!」


「時間が無い。ミッションの通りにしないと最悪 死ぬ!頼むこっちだ、来てくれ!」


左手の通路の奥は行き止まりだった。


「何よ!ミッションって。何!」


「カケルさんは文字が読めるようですわね。」


「今死ぬって言わなかったか?」


色々言いながらも走って付いてきてくれた。


「説明は後でするから、奥の壁際に集まったらランタンを消して。」


とカレンに指示しながら自らのランタンの灯りも消した。


「残りカウントは200、間に合ったか。」


皆の顔をみながら呟くと、真剣な表情をしたカレンと目が合う。


「さあ、説明して。」


「初めては馬車の時、手を伸ばせってミッションが出た。指示に従ったらその結果、カレンを引き倒す事になり、カレンがいた場所に馬車が横転して来た。」


「指示に従わないとどうなるかは、正直分からない。何も起きないかもしれないし、最悪な事が起きるかもしれない。」


「今回が2回目で、あんたには文字が見えてる訳ね。前回はその指示に従ったお陰で私は事故に巻き込まれなかったかもしれないと。」


カレンは胸の前で腕を組み思案する。


「前回の数字は何だったの?」


「え?確か3秒だった。」


「今回は指示通りにしてもまだ140残っているわね。しかもまだ減り続けているわ。」


確かに何かが引っ掛かる。カレンを見ても同じなのか考え込んでいる。


「カレンちゃん、カケル指示通りじゃないです。全ての光を消してないです。2人のうーん、うーんって顔ハッキリです。」


ミカンちゃんの言葉を聞いた全員は一斉に周りを見回し壁が仄かに発光しているのを認識した。


タイムリミットまで、残り100。




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