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ミッション アザレアダンジョン4階層

「どうするのよ! 絶対にアイツはアンタの事睨んでたわよ。」

「それよりも、魔法を当てそうになった事に対して、謝らないどころかゴブリンかと思ったって言い放ったぞ。おかしいんじゃないか。」

「カケル、あれは騎士を我が物顏で連れているから、ある程度は力のある貴族の子息だわ。そんな奴に目を付けられたら大変よ。」

「じゃあカレン事故に見せかけて燃やしてくれ。ダンジョン内なら、モンスターの仕業に出来るから。」

「嫌よ、アンタがしなさいよ。」

「何だ、燃やすことには反対しないんだな。」

「そりゃね。私だって頭には来てるわよ。だけどね、相手は貴族なのよ。私達なんて気分次第で好きに出来るのよ。合法的に。」

「まあ、権力をもってるのは分かったよ。だけど俺のいた国では貴族なんていないんだ。俺が産まれる前にはあったらしいが。一応、法の下の平等って事になってる。だから、よく分からないな。」

「貴族でもいい人はいますわ。ただあの方はそうでは無いようですわね。だからより一層気をつける必要がありますわ。」

「親が貴族でも基本的に子供はまだ、貴族じゃないからな。奴が爵位を継いで無ければだが。」


親のすねかじりに、気を使わないと行けないのか。何故俺には一国を相手取れるチートな力が無いのか。無いのは仕方ないが少し不安になって来た。

不安だか、このパーティにこれ以上手を出して来たら現代日本人の知識チートを駆使して叩き潰してやる。現代日本人舐めんなよ。


「アンタの気持ちも分かるわ。だけど次は我慢してよね。ミカンちゃんもいるんだし、アンタも心配だから。」


この間の司祭の時にも言われたのに、また皆を危険に晒してしまったのか。反省しても足りない。


「次は気をつける。すみませんでした。」

「それなら、いいわ。ただアンタやみんなが何かされたら貴族だって燃やすわ。」

「ミカンも燃やす。」

「あら、私も皆さんを害する様な方なら、全力で戦いますわ。」

「私はマリリに手を出す様な輩なら、即切る。」


ミカンちゃんは燃やせないと思うが、そんな野暮な事は言わない。それからはボス部屋の扉が開くまで皆が皆を大事にしてる事について話していた。


カレンがボス部屋の扉に手をかけて少し力を加えた。


「開く様ね。クリアしたのか、死んだのかは知らないけど部屋にはいないようね。行くわよ。」


カレンは言うなり片側の扉を全開にした。タリリはラウンドシールドを構えてカレンの横から先に入った行った。次いでミカンちゃん、マリリさん、カレン、俺の順にボス部屋に入った。4階層のボスはゴブリン4匹だ、ゴブリンナイト、ゴブリンメイジ、ゴブリンヒーラー、ゴブリンファイターのパーティだ。ヒーラーの補助を受けたナイトは厄介だ。できればヒーラーとメイジを先に叩きたいとゲームの知識は主張しているが、こっちのセオリーはどうなのか。


「カレン?先ずはヒーラーとメイジを叩くのか?どうするんだ?」

「アンタ聞いてなかったの?普通のファイアボールではゴブリンナイトが邪魔するから無理ね。だけど今の私達なら直接ダメージを与えられるわ。だからタリリがゴブリンファイターをミカンちゃんがナイトを抑えている間に私とマリリがヒーラーとメイジを叩くのよ。」


セオリーは合ってた様だ。タリリとミカンちゃんはゴブリンファイターとゴブリンナイトにそれぞれ接敵する。タリリがゴブリンファイターのショートソードをラウンドシールドでいなす、カレンちゃんはゴブリンナイトへメイスを時間差で左右から叩きつけるが、シールドとショートソードで防がれている。


「ファイア!」

「ストーン。」


カレンとマリリさんの声が重なる。ゴブリンメイジもこちらに杖を向けていたが、一歩遅く魔法を発動

する前にマリリさんのストーンの合図でゴブリンメイジの頭上に発生した巨岩がゴブリンメイジを押し潰す。またファイアの魔法はその熱量でゴブリンヒーラーを一瞬で消滅させた。ゴブリンナイトとゴブリンファイターはその熱量と巨岩の衝撃音に目の前の敵の事を忘れて振り向いた。モチロン我がパーティの前衛は動じずにその隙を物にした。タリリのショートソードはゴブリンファイターの肩口へ、ミカンちゃんのメイスはゴブリンナイトの頭部と脇腹へとその質量と衝撃を与えた。うわ、ゴブリンナイトの兜と鎧が凹んでいる。ミカンちゃん強し!まあタリリも隙を逃さなかった事を褒めてやろう。


カレンは動かなくなったゴブリンナイトとゴブリンファイターを見て


「倒したのよね?私達4階層クリアしたのよね?」


まだ半信半疑の様で独り言か、誰かへの質問か良く分からない言葉を繰り返していた。


「クリアですわ。疑いようもなく。」

「クリアだ。おめでとう。」

「そうよね、そうよ!うふふふ。」


カレンは軽く目元を拭う素ぶりをしながら、笑っている。


「どうしたんだ?急に笑い出して。」

「アンタね。私達はここまで来るのに1年掛かってるのよ。どれだけ苦労したと思ってるのよ。それなのにこんなに簡単にクリアしたら、笑うしかないでしょ?」

「ミカンは笑いたいです。10階層も簡単にクリアして、カレンちゃんと笑いたいです。」


ミカンちゃんはカレンの手を握って、カレンを見上げながら微笑んでいる。


「うん、そうだね。がんばろ!」


まだ感動の余韻が残っているのが、ボスリポップの危険性が有る為に、ボス部屋には長居出来ないので俺たちは5階層への階段を降りて行った。あの貴族野郎が待ち伏せてたりしないよなと密かに不安になりながらも歩みを進めた。別に貴族だからってビビってないぞ、ビビってない。


5階層始まりの部屋は6畳ぐらいの大きさで、ダンジョン内では少し小さめの部屋だ。作りは変わらず石の様な材質で光苔が生えている。待ち伏せは流石に取り越し苦労だったようで、今この部屋には俺たちのパーティだけだ。


「5階層もゴブリンよ。偶にジャイアントバットって言う蝙蝠が飛んでくるから、上空にも注意ね。4階層よりもゴブリンメイジやゴブリンヒーラーなどの魔法使いも増えるから、それにも注意ね。」


カレンは5階層の要点を皆に説明する。これらの情報は既に皆頭には入っている。既に10階層までクリアをされているダンジョンだから、情報は既に開示されているし、教会では各階層毎のモンスター情報が書かれた資料を配布している。もちろんその資料は俺のポケットにも入っている。だがうちのリーダーは再度説明をするし、俺たちも黙って真面目に聞く。ミスをしない為の確認作業だ。


「あと、5階層のボスはゴブリンジャイアントよ。ゴブリンナイトより硬く、ゴブリンファイターより強いわ。ゴブリンの上位種でデカイわ。」

「大きいんですわね。ミカンちゃん、私達頑張りましょうね。私も沢山ステップ作りますわね。」

「マリリのステップは、もうグラグラしないです。マリリありがとうです。」


軽いミーティングを終え、5階層を進んでいく。通路のど真ん中にゴブリン6匹の死体が放置されている。普通は他のパーティの邪魔にならない様に通路の端に寄せるが、直前のパーティはそんな常識は無いらしい。騎士なら知っているだろうが、そんな時間すら与えられなかったんだろう。万が一自分たちが撤退する時に、必ず障害になるのは知っているはずだから。


「全く邪魔ね。アンタは頭の方ね。私は足を持つわ。」

「マリリ足を頼む。」


カレンと俺、タリリとマリリさんの組合せでゴブリンを通路の端に寄せていく。なかでもゴブリンナイトは鎧も重く結構重労働だ。腰に来る。だか、悪い事ばかりでは無いようだ。


「カレンちゃん、また有ったです。鉄が5枚です。」


ミカンちゃんは辺りを注意深く観察し、コインを、見つけ回収すると、カレンのところまで小走りで見せにくる。うんうん、かわいいな。


貴族様は端金は拾う時間すら勿体無いのか、他の目的があるのか。全くコインの回収をしていない様だ。ある程度の時間を開けてついて行けば、楽にコインを回収できるな。


俺たちは、しばらく道なりをゴブリンを端に退けながらも順調に5階層を進んでいる。この先は大きく右にカーブを描いているようだ。カレンの猫耳が微かな音を捉える。


「衣摺れの音がするわ。数は多い。ヨロイの金属音無し。おそらくゴブリンメイジかゴブリンヒーラーよ。」


「負ける事は無いけど、ゴブリン数次第ではこっちも無傷って訳にはいかなそうね。どうする?」

「私達の守りの護符を抜けるとは、思いませんが用心は必要ですわね。」

「カレン、一本道だから戦わずにやり過ごすのは難しいな。私なら力でねじ伏せる。10階層完全攻略の栄光のため。」

「タリリが良いなら、マリリさんどう?」

「5人同時に魔法による先制攻撃ですかしら、怯んでいる隙に出来るだけ多くの数を減らしたい所ですわ。」

「そうね。それで行きましょう。アンタはダメージ与えなくてもいいから、出来るだけ広い範囲にばら撒いて。アンタなら出来るわよね。」

「分かった威力よりも、広範で連射だな。」


「準備はいい?行くわよ」


俺たちは9匹のゴブリンたちが見える場所まで、コーナーを進み目視と同時に魔法の合図をした。


「ファイア!ファイア!ファイア!」

「ストーン」

「ストーン。」

「ウインド」


「バンバンバンバンバンバン!」


合図と同時にタリリとミカンちゃんが走り出す。


カレンのファイアは先頭列のゴブリンメイジを3匹消滅させる。マリリとミカンちゃんの岩石はゴブリンメイジをそれぞれ1匹づつ押し潰した様だか、倒しているかまでは不明だ。タリリのウインドは最後にゴブリンヒーラーに届き後ろを巻き込んで、吹っ飛ばしていた。一呼吸置いて合図したレーザー連射は残りのゴブリン2匹も纏めて全てのゴブリンメイジとゴブリンヒーラーをフラつかせた。残り6匹。


「カレン?」

「何?」

「後でいいや。」

「気持ち悪いから、今いいなさいよ!」


「ほら、バンバン。バンバン。」

「あーもう!ファイア!ファイア!」


「アースステップ 床板バージョンですわ。」


マリリさんのアースステップがファイアの着弾した3カ所をフタをする様に出現した。アースステップは赤熱する床から僅かに浮いてる為、加熱されにくいとの事らしい。タリリとミカンちゃんが火傷をしない為の安全策だ。マリリさん女神だ。ファイア打ちっ放しの誰かさんとは違うな。


タリリは自らが転ばせたゴブリンヒーラー2匹にショートソードを叩きつけた。ミカンちゃんは残りゴブリンメイジ2匹へと向かう。この2匹はミカンちゃんとマリリさんのストーンで潰されたが、1匹は右脚、もう1匹は下半身にダメージを負いながらも絶命はしていなかった。右脚を負傷したゴブリンメイジはミカンちゃんへファイアボールの魔法を苦し紛れに唱えたが、ミカンちゃんの土壁によって防がれていた。そこから距離を詰めてしまえば、ミカンちゃんの一方的なターンだった。メイスを2発づつ叩き込み終了だった。


「怪我人は無しよね。ミカンちゃん大丈夫?」


ミカンちゃんはメイスを立てて合図している。それはOKのサインなのか。


「良かったわ。9匹もいたからビックリしたわ。」

「ええ、9匹も魔法使いのゴブリンがいても無傷なんて素晴らしいですわ、ヒーラーとしては仕事がありませんけれど。喜ばしいことですわ。」

「マリリ、ミカン助かった。床グツグツ熱くないです。」

「いえいえ、どういたしましてですわ。」


するとカレンが何かに気づいた様で、こっちを見る。


「アンタ、さっき何を言おうとしたの?」

「いや、別に。」

「言いなさいよ、早く!焼くわよ。」


そんなに顔を近づけるな、睨むな。


「分かったよ。どうでもいい事だぞ。」

「それでもいいわよ。」


ミカンちゃんやマリリさんも興味深げに聞いている。


「カレン、お前はさっきファイアを3連と2連で唱えたよな?また、この前の司祭の変異モンスターは何匹も纏めて倒したよな?」

「ええ、そうよ。」

「じゃあ、それだけでいいんじゃないか?」


「「「「?!!」」」」


みんなカレンを見て驚いている。だよな。それが確実と思うよな普通は。


「残念ながら多分無理よ。時間が有り、相手の場所をキチンと把握しないと無理ね。慌てるとイメージが曖昧になってしまうと思うわ。たぶん。」


「そうか?カレンなら出来そうな気がするな。」

「そう?私もアンタなら出来そうな気がするわ。」

「ミカンもカレンちゃんなら出来るです。」

「次は頑張ってみるわ。ただ少数の敵を各個撃破が理想ね。危険だもの。」

「ああ、それが一番だな。」

「安全が最優先ですわね。」


この後はカレンの普段の行いが良かったという訳か、多くとも4匹のグループのゴブリンとしか接敵しなかった。当然ながら俺たちのパーティは無傷だった。


5階層のボス部屋の前に俺たちはいる。例の貴族の姿は見当たらない。まさかまた後ろから誤射なんて事は無かった。


「5階層のボスはゴブリンジャイアントよ。取り巻きはいないから。ボスに集中できるわね。」

「カレン?作戦はファイアでいいのか?」

「カレンさんには、御手数をお掛けしますがそれが一番安全ですわね。」

「じゃあ、ボス単品の時はそれでいくわね。敵がグループを組んだ場合はお願いね。」


その言葉を合図に俺とタリリは5階層のボス部屋の扉に手を掛けたのだった。









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