99話 フラジア
温泉回です。
私達は氷河の国フラジアに来ている。
先日の世界会議でフラジアからムスターファに直接依頼されたのだとか。フラジアの代表は妙齢の女王だとか…。ヤツも男ということか。
って、メッチャ寒いし!
早々に王宮に入る。この国は居住区が地下にある珍しい国である。寒さを凌ぐのは地下の方がいいとか…。確かに外よりもかなり暖かい。マールもようやく落ち着いたようだ。
「スっごく寒かったですね!」
「この国には永久凍土があるそうですよ?」
最近のフランの知識は百科事典並みである。しかし、永久凍土か…。寒いわけである。
で、謁見の間に着くと玉座の前で待たされる。
「女王陛下のおなーりー!」
奥から美女が現れると、玉座に座る。
「お初にお目にかかります。フラジアの女王カリンと申します。このような席からのご挨拶申し訳ございません」
「うむ、気にするな。それでムスターファ…
「貴様!女王陛下に無礼であろう!」
近衛兵であろうか、いきなり口を挟む。
「控えよ!天魔の魔女様はどの国の王よりも上に立つお方です。わきまえなさい!」
「しかし…」
「誰か!この者を下がらせなさい!」
周りの近衛兵に連れてかれる兵士であった。
「部下の教育の不行き届き申し訳ございません!」
女王は玉座を降りて土下座する。いやいや、勘弁してくれ。
「いいから!玉座に戻って!話を進めて!」
「温情感謝いたします!」
うみゅ、どうやら私の機嫌を損ねると依頼を聞いてもらえないと思っているのか…。土下座とかあり得ないし。
「実は…、天魔様はお噂の中で、『ユキ様の湯』なる温泉を作っているとか…。我が国はこのように、暖をとるのもままなりません。どうか天魔様のお知恵と技術をお貸しいただいてもよろしいでしょうか?」
「あー、そういう事か!」
確かにこの国は地下であっても他に比べれば寒い。おそらく2℃くらいか?私も帰ったら直ぐ入るだろう。まぁ、それくらいのお願いならきいてもいいか。
「わかった。そういう事なら力を貸そう!」
「本当でしょうか!」
「うむ、少し時間をもらうが」
「よろしくお願い申し上げます!」
私はマールとフランに指示を出す。フランには直径20cmくらいの鉄パイプをフラジアから用意してもらい1mくらいに長さを揃えさせる。マールにはミクと一緒にパイプの前後に門を付与させる。
私はというと…寒い!
風の結界を張り、フラジアの山間部を飛空しているがメッチャ寒い!っと、山肌が一部露出している。ココだけ雪がないという事は…。探査を使うとドンピシャであった。爆破して間欠泉を作り間欠泉に直接パイプを嵌める。
さて、フラジアに建物は地上部にレンガ造りの建物を作り家畜や物資をそこに置き、地下に居住区を作っている。
私は女王に住民の居住区にフランとマールが作ったパイプを埋めるように指示を出す。
また、王宮のスペースと街の空き家を貰って温泉を作る。トリアイナの時と同じくゴーレムを作り基礎工事をさせる。トリアイナに比べれば人口が多いので、少し大きめに作る。同じく王宮内にも男女別の湯殿を作る。
街用には大浴場は30人くらい収容できる大きさで、露天風呂は10人くらい入れるようにした。当然排水等もトリアイナ同様である。
王宮の方はセンチュリー用の世界樹温泉をと同じように中央に噴水のように湯が出るようにした。
そして極め付けは…、間欠泉から直接のお湯はかなり熱い!それを各家の地下を通す事で排熱する。そうすると湯は冷やされ、各家は暖かくなる。熱伝導の良い鉄パイプなのでかなり効果がある。
マールのゲートも問題なく稼働しているし各パイプも魔力充填はしてある。
「こんなのでどうだ!」
「物凄く心地いいです!」
私はカリンと一緒に王宮風呂に入っている。今回は視察という事で、侍女達は入っていない。通常侍女が周りのお世話をするのだとか…。女王も大変である。
「コレで各家も暖かくなるし、温泉を享受できるかな?因みに夏とかはどうする?」
「我が国は夏でも15℃位なのでそのままでも大丈夫だと思います」
「さすが氷河の国だな!」
その後、マールやフランがカリンにフラジアについて色々質問している。
私は街の温泉には『カリンの湯』と命名して看板も作った置いた。勝手にユキ様の湯とか付けられたくないし…。
女王の功績にしておけば内政にもいいだろう。
後日意趣返しか、王宮の温泉ユキ様の湯になっていた。…ぬかった!
因みに近衛兵は国家滅亡の危機を招いたとして厳罰になるところ、ユキの意見で寒空の下での見回り業務に配置換えになったとか…。




