091 収束砲
90話の続きです。
マール視点です。
最近はミクちゃんからも高次元的な知識や感覚を教わっていて、時間の流れとか今まで気づかなかったのが不思議なくらいだ。
おそらく先生や私の場合、ある意味攻略法を知りながらゲームをしている感じである。もっとも先生の場合ルールすら書き換えてしまうが…。
そして私はフランさんとミクちゃんから杖を作ってもらって、もっぱらこのコントロールの精度を上げるのに精を出している。
この杖は形状変化ができるので普段は2cmくらいの赤い宝珠としてネックレスにしている。杖自体にミクちゃんがリンクしているので私かミクちゃんが望めば杖になる優れものだ!
今日はミクちゃんと2人で訓練に向かう。場所は死の都、最近マスターした転移で移動する。
「流石にモンスターが多いですね」
「ドンドンタオシチャウノ!」
「そうですね!」
私は空中から杖を長距離砲撃モードで出す。
「セッカクダカラ『収束砲』ヲタメス?」
「あー、アレですか…。そうですね、1発くらいなら…」
収束砲…。自身の魔力と空気中の魔素を練り上げて魔法弾を撃つ砲撃。収束自体に精密なコントロールを要するので高等技術だが、ミクちゃんからレクチャーされてるので撃つことはできる。疲れるけど。
とりあえず、威力があるので距離を置いて集中する。
魔素を取り込み私の魔力と組み合わせて…。イメージはチョコとバニラのソフトクリーム!螺旋を描いて…。
「イイカンジ!」
…うん?いつもなら大気中の魔素はこんなに無いのだが…まだ取り込める。
…、そうだ!ココは死の都!瘴気が多いから魔素も多かった!
気づくと収束した魔力弾は直径20mくらいになっていた。どうしよう!
「マール!ヤッチャエ!」
「っ‼︎シューート!!」
撃っちゃった!20mの光弾が着弾と同時に炸裂する。
ドドドドオオオォォォォン‼︎
着弾点からドーム状に魔力が広がって行く。大体500mくらいまで覆い尽くし破壊する。
粉塵が収まるとそこに見えるのは広大なクレーター。
…、まぁ、先生はいつもやっているし、モンスター以外被害は無いから…。
「ヤッタネ!」
「…まぁ、訓練は成功ってこと…かな?」
ある程度全開の威力はわかった。今後の課題もあるけど…。
「マール、モウイチド!」
「え?」
「シュウソクホウハコレカラナノ!」
「!」
確か収束砲は自身の放出した魔力を含めリサイクルすることでコントロールは必要だが、少量の魔力で撃つことができる。
つまり、やろうと思えばほぼ無限に撃つことができる。
私はもう一度収束を始める。っと、外からの魔素がものすごい勢いで集まってくる!ものの1分ほどで先程と同量の収束ができた!
「シュート‼︎」
「ツギハミクモ、テツダウ!」
私の魔力弾の前にレンズのような魔力が展開する。先程の20mの大きさの魔力着弾点が今回は1m程に集中する。と今度は着弾点が融解している!先程のように広範囲では無いけど恐ろしい威力になってる。試しに着弾点を少しずらしてみると…地面が一直線に5mくらい抉れてる…。ならば!
「マールウマイノ!コントロールモバッチリナノ!」
「ちょっと疲れましたが、上手く描けました!」
眼下には一筆書きのタマの地上絵ができていた。
「コレは後で先生に見せたいですね!」
クレーターの隣にタマの絵…。よく見るとシュールな気がするが、地上からはわからないし、死の都なので誰にも迷惑はかからないから大丈夫、かな?
ちなみにこの後、先生はタマの絵を見て大爆笑だった。
モンスターもいい迷惑です。




