088 死の湖
ミクさん大活躍です。
死者の湖…。約500年前から封印の地に指定した死の湖である。
もともとは獣や魔獣しかいない静かな湖だったのだが…。
「他の封印の地に比べると最近にできた次元の狭間ですね」
「うん、それは…」
私はマールとミクとで死者の湖を空中から見下ろす。
この次元の狭間は…私が原因なのだ。
あれは高位存在に接触して知識ばかり溢れていた頃、色々な実験をしていた。
特に時間の感覚を覚えたてでいた時に、釣った魚を成長させようとして失敗したのだ。
様々な未来を確定することができず、虚数空間が実数化して波動に干渉してしまった。その時にできた次元の歪みがコレである。
幸い波は小さく拡大したり、他次元の存在を『降臨』させることはないが、念のため監視している。
「もっとも、歪みがあることで周りに瘴気や魔素を呼び寄せ、アンデットの住まう地になってしまったけど…」
「ダメじゃないですか…」
「だからマールも時間操作には気をつけてね!」
うみゅ、反面教師である。
「ユキサマ、コレナラトジラレルノ!」
「っ‼︎マジかっ!」
さすがミク!アオやサクセスはこの世界に直接干渉しないけど、ミクの場合は別だ。
「アオ、ミクの力を使っていいか?」
「うん、もともとユキちゃんの失敗を拭うだけだし…、いいんじゃない」
「よし!…と、ちなみにどうやって次元の狭間を消すんだ?」
「コレナラキョスウヲジジョウニスルコトデジッスウニシテハドウヲナクスノガイイトオモウ」
つまり偶然生み出した虚数空間を2乗にすることで虚数を実数に直し、虚数の波を根本から存在させないということか…。
「そうね。ユキちゃんの考えで間違って無いわよ。それにこの方法なら特に被害はないし」
よし、アオのお墨付きが出たので、
「それではミク、お願いする。マール、よく見ておくといい!」
「ハイ!」
ミクは次元の狭間に近づき、触れる。
と、歪みが回転?する様に小さくなっていき…消失した!
…つまり空間の歪みに対し同量同質の歪みを重ねることで歪みを無くしたということか?
あの時は慌てていたのでどれ位の歪みを作ったか覚えていないので私にはできない。アオやミクの様に歪みを見てどれくらいの力が働いているか観測出来なければ出来ない芸当だ。少しでも違えば歪み拡大していた。
流石高位の存在である。
「それじゃあ、せっかくミクが頑張ってくれたんだからマールと私でアンデット退治をするか!」
「ハイ!」
サクセスは瘴気すら切り裂くので瘴気溜まりも解消するだろう。
コレからは以前の湖戻るだろう。
虚数空間を否定する考えもありますが、数学的以外にも物理的にも存在すると考えられています。




