069 喧嘩
人に迷惑をかけてはいけません。
シリュウの大瀑布…。
コスン大陸の東、清龍国にある元観光地。
世界7不思議の1つでこの大瀑布を見たものは失明する事故に行き当たるという。
もちろん、普通にみることもできるし失明もしない。が、そういう事故が多いのは事実なので、呪われた大瀑布と言われている。もちろん奇跡や魔法の治療で治すことも可能だ。
都市伝説的な話なので今まで気にしたことは無かったのだが…。
「実際に失明する者もいるのだな」
「なんせ世界7不思議ですから!」
肉まん屋のオヤジがご当地名物を売りながら話してくる。
「俺の兄貴も昔失明したんだが、治療師のおかげで今でも視力は2.0って言ってますよ!」
「へー」
呪われた大瀑布と言ってもすぐに治るので観光地にしたみたいだが風評被害もあり結構廃れている。
「うん、美味しかった。また来るね」
「ありがとう!こんな美人さんならいつでも歓迎だよ!」
お決まりのお世辞を言い合って肉まん屋を離れる。
「マール、大瀑布行ってみる?」
「せっかくだし見てみたいですね!」
「イインジャナイ?」
この国の西には『熱砂の砂漠』があるので視察を兼ねて観光をしている。やはり大陸が違うと文化もかなり違う。この国では武器を使うものより自分の拳を鍛える武闘家が多い。
さっきのオヤジも。太ってる割に筋肉が付いていたので結構な戦士のようだった。
「それにしても、脂っこいけど美味しい物も多いな」
「先生、食べ過ぎちゃダメですよ?」
「アノギョウザモオイシソウ!」
ミクも大喜びのようだ。
…コレでもう少し食べ歩きできそうだな!
とりあえず大瀑布へ足を向けると…。
ガッシャーン!窓が割れて男が投げ飛ばされてくる。私達のすぐ隣から。私はマールの腕を掴んでガードしたが、その勢いでマールが肉まんを落としてしまった。許せん‼︎
男を投げ飛ばしたであろう相手に『重力』を放つ。家というか食堂か?中では5人の男達が乱戦状態のようだ。いきなり1人が倒れたので動きが止まったようだけど。
私は入り口から入り…。
「この国では観光客に人を投げつけるのが礼儀なのか?」
「なんだ貴様は!」
「すっこんでろ!」
暴言を吐いた2人に『重力』を放つ。
「うぎゃ」
「へぶっ」
うわ、顔面からモロだったけど気にしちゃいかん。
「っていうか、お前ら全員ぶっ倒すけどね!」
サクセスを抜きスタンで残りを倒す。財布を抜き半分を店に残して男6人は『拘束』してから『浮遊』をかける。
「マール、ちょっと待ってて!」
私は大瀑布へ向かい瀑布の上流からロープで6人を縛ると川に投げ込む。丁度大瀑布の真ん中あたりに吊るされた状態だ。まあ死にはしないだろう。
街へ戻ると注目を浴びたので状況を説明した。
「文句があるならこの天魔の魔女が受けて立つ!」
そう宣言して私達は街を後にした。
ちゃんと奪った金で肉まんは買い直した。お金は余っていたので麓の村のお土産も含めて多く買ったら、オヤジは大喜びだった。
喧嘩の理由?そんなものは知らん。
観光が台無しだ。
ユキ様のお仕置きにしては、ユルイ方ですね。




