006 授業風景
魔法や科学の考察回
「先生、先日の同じ魔方陣を複数展開していたのは…?」
マールがノートを取りながら聞いてくる。
「アレは同魔法を同時展開することによってリンクー相乗効果を得ていたのだよ」
「リンク?」
「例えば…A地点に『業火』を発動すると10のエネルギーができるとした場合、B地点に『業火』の2リンクを発動したとすると25のエネルギーができることになる」
「純粋に2倍ではなく2.5倍の威力になる…と?」
「それが相乗効果と呼ばれるものだ」
マールはだんだんと眉間にしわを寄せている。
「私はコレを魔法と科学の両立であると判断している」
「科学ですか?」
「そう、例えば…、このペンを離すとどうなる?」
「下に落ちます」
私はペンを下に落とし説明する。
「コレは科学的な重力の法則」
次は『浮力』の魔法を展開して…。
「コレは魔法による『浮力』」
ペンを目の高さまで浮かばせる。
「魔法を解除すると重力によってまた落ちる」
落ちるペンを右手で掴みながら…。
「科学の場合、自然的な法則であることが多い。が、魔法は因果を捻じ曲げ何もない空間に炎や雷の様なエネルギーを生み出す…」
さらにマールは悩みだしたので…。
「そろそろお茶にしようか?」
「はい!ありがとうございました。直ぐに準備します」
この調子では、電子と陽電子による『対消滅』の話はしばらくはしない方がいいだろう…。
この世界は魔法研究は進んでいるが、科学研究が進んでいない。
しかしどちらも存在し干渉するのだ。これを無視することは出来ない。
「昨日作ったケーキと紅茶です」
マールが奥の部屋からトレイを持って来た。
「うみゅ、授業の後の甘いものは脳の糖分補給になると言う。コレも科学だよっ!」
「先生の場合、いつもじゃ無いですか?」
うるさい弟子である。
美味しいは正義なのだっ!
ちなみにウチのキッチンには『氷結』と『冷風』の魔法が永久に発動する開き戸があり夏でも食材には困らないのだ!
「こういった物も各家庭に渡せればいいのですが…」
「うーん、商品化するにはエネルギーの永続化が課題だな。魔石代用では高くなるし…」
魔力備蓄する石や通しやすい金属では価値がありすぎる。もっと身近な物があると良いのだが…。
「まぁ、今後の課題だね。マールもアイデアが浮かんだら言う様に」
「ハイ!」
こうしてマールの授業は続いていくのであった。
もちろん科学は自然だけでは無いのですが、現時点ではマールの理解に合わせています。