059 簒奪
58話の続きです。
「ヤダ!」
「ユキちゃん、そんなこと言わないでさー」
なんでもアオが発見した新たな使徒はカッツネラ教国にある聖剣らしい。確か勇者認定の選定の剣でもあるヤツだ。そんな物を手にしたらメンドくさいことになるのは間違いない!
「そもそもカッツネラ教国と私は最悪の関係だ。先日のフラウの件でもやってしまったし…。そんな国の最重要アイテムを手にするとかありえないぞ?」
「そっちはなんとかするからさー。ぶっちゃけコレは神様の意思でもあると思うのよね」
さらりと恐ろしいことを抜かすアオである。
…、…、いや、しかし…。
「そういえばアオは自由に形状を変えられるよな?聖剣はどうなんだ?」
「多分、使命的に剣である事は不変だけど多少の形は変えられるはずよ?」
「うーむ、それなら…、ちなみに聖剣を手にして何かしないといけないとかあるのか?」
「あくまでユキちゃんのために用意された剣だから何も無いわよ」
うみゅ、それなら仕方ない…か?使徒を放置するのもヤバい気がするし…。
その翌日…
ドーーン‼︎
カッツネラ教国の第2聖堂から爆発音がした!
キーーーーーーーン!
甲高い音がして聖堂の中から聖剣が光り輝きながら浮遊して聖堂前へと移動している。
広場には聖剣を囲むように人集りができている。
司祭や大司教は勿論民衆もいる中、燦然と輝く聖剣は突如鞘から抜け上空へ飛び出す。200mくらい飛び上がると一際輝き北北西へと飛び去った。気がつくと鞘がカランと音を立てて地面に落ちた。金の装飾に宝石が散りばめられた豪奢な金属製の鞘である。
その場に残された人々は祈る者、追いかける者がそれぞれいるが既に聖剣は目視できなくなっていた。
聖剣はある程度飛ぶと世界樹へと転移する。
「ユキ様!聖剣のサクセサリーと言います!これからお願いします!」
「うーむ、とりあえず形状を変えてもらえるか?」
「へいっ!どんな剣がいいっすか?」
「剣はあまり使わないが…、あっ!そうだ!前にアオが見せてくれた空中庭園の画像にあったビームサーベル?アレはカッコ良さそうだった!なれる?」
「ビームサーベルっすか?どんな形状をしてます?」
「それなら私のデータを転送するわ!こんなのよ」
「…!スッゲーカッコイイっす!ユキ様!コレで行きましょう!」
サクセサリーは眩く光ると機械の筒のような30cm程の形状に変化した。スイッチが3つ『スタン』、『キル』、『ビーム』って書いてある。
とりあえずスタンにすると90cm程の紅いレーザーが出てきた。とりあえず5mくらい下がって軽く振るってみる。ボォォォンって音が鳴る。
「うん、カッコよくて使いやすそう!それにこの大きさなら目立たないし、いつでも身につけていられそう!」
「ありがとうございます!長さや威力はいつでも変えられるっす!これからよろしくっす!」
ボタンを戻すとシュッとレーザーが消える。
「あと、人前ではあまり喋らない事と…、名前はサクセスに変えていい?」
「もちろんっす!もともとそっちの方が最初の名前に近いっす!」
なんか体育会系だけど、まぁいっか。
「じゃあ、よろしくな。サクセス」
「ハイ!」
聖剣を手に入れてしまった。まぁ、元の姿と全然違うしいいかな?
この先勇者は現れないのでしょうか?っていうかライトセ○バー?




