057 閑話休題2
30話の続きです。
モブ視点です。
カッツネラ教国の宿屋兼酒場は夕方ということもあり、賑わっている。
今日も男達は仕事を終えて1杯やりにきた。
「女将!今日はビール3つに鳥の串役焼き3つだ!」
「枝豆もいいか」
「はいよー!」
テーブルに着くとやってきたジョッキで軽く乾杯をしてビールを飲む。
「プハぁー!やっぱ仕事後のビールはたまらんなー!」
「ようやく街も復興って感じだしなっ!」
「まぁ、光の塔は未だ半壊のままだがな」
大地震から半年、カッツネラ教国は大まかな復興は落ち着いてきた…。が、シンボル的な光の塔は未だ手がつけられない。何やら地盤が関係しているとかで工事もままならないらしい。
「そうそう、バーン帝国の話は聞いたか?」
「知っているぞ!あの天魔の魔女に滅ぼされたらしいじゃないか!」
「確か1人で100万人も殺したそうだ!」
旧バーン帝国の人口は約15万人である。7倍の数だ。
新聞やネットの無い世界では噂や旅芸人くらいしか情報の伝達は無いので話はどんどん大きくなる傾向にある。
「やはり天魔は人類の敵だな!」
「しかも残った国民を恐怖で支配して自らの国を作ったらしい」
「国民は全員奴隷になったのか?」
「よくは知らないが、以前よりも住みやすいとか言ってる奴もいるらしい」
「まさか、国民全員洗脳されているのか?」
「奴ならやりかねないな!」
ひどい被害妄想である。
「100年王国も手中に収め、続いてバーン帝国までもか…、まさか奴は世界征服を狙っているんじゃ…!」
「我が国をこんなにしたのもそれが原因か?」
「確かに!まずは世界征服の障害となる聖女を倒してからの世界征服か!」
「このままでは天魔に従わない者は殺されるのか?」
「この間の天空爆発もこれからの従わない国への脅しだったのか!」
「早く勇者様を見つけないと…!」
自分では何もしない他力本願な平和を願う男達だった。
やはりユキ様はこの国では嫌われているようである。




