004 旅路の果て
今回は世界観説明回です。
暇なので書庫を探索していると懐かしい物を発見した。
手のひらに収まる青い水晶で、中には黒い炎が煌めいている。
今は休眠中の様だ。
もう400いや、500年も前の話だ…。
さて、一般論として『私は神と会話しました』という人がいたらどう思うだろう?
熱心な神学者や宗教家なら狂喜乱舞するかもしれない。が、大抵の場合、怪しい者を見る目で話を流すことになるだろう。
しかし、私はしてしまった事がある。
正確には『神の使徒』を通じてだが…。
私がその時に得た知識では、『神』とは『高次』の存在であるらしい。その『高次』が何次元なのかは確認できなかったが…。
昔、世界図書館の古文書を読んだ内容では、この世界は3次元であり、30次元以上高位でないと下位次元の干渉は出来ないとかなんとか…証明できないだろうけど…。
この世界に干渉する為、もしくは創造した時点で神の下僕である『使徒』が在るらしい。
大抵は鏡なりクリスタル、石といったモノで『御社』や『教会』で祀られている様だ。
ウチにある青い水晶も『使徒』としてかつて神との意思疎通に役立ってくれた。
幸いといって良いのかわからないが、この世界は『神に愛されている』らしく、『魔法』や『奇跡』といった行為が人や亜人、モンスターにも多少なり扱う事ができるのはそのせいらしい。
世界によっては『神に見捨てられ』独自の進化、発展が無いと存在ができなくなっている世界も在るらしい。
私が他者より魔法の扱いが優れているのはこの時に『神の思考』に触れたが故なので、普通の天才や聖者、聖女とは違いすぎるのだ…。
もちろん全てを理解してはいないが…。
ぶっちゃけやろうと思えば、世界とまではいかないが『太陽系消滅』くらいはできるかもしれない。
神は『創り』もしたが、『滅び』の手順も残していた…。
故に私の神に対する評価は『善』『悪』で無く『してみたいから創った』というある意味『子供』の様な感じである。
もっとも、『神の価値観』は私が人だからか、『使徒』が伝えるのをしなかったのか全然判らなかった。判っていたら人としての意識を放棄する羽目になっていたかもしれない。
また、知りたくも無かったのは、対存在として『悪魔』もいるらしい。『魔族』ではなく『悪魔』だ。
『魔族』の場合、モンスター上位の者や一部亜人が魔王を名乗って国を作るかわいいモノだが、『悪魔』は神と同じ、あるいは違う『高次』の存在だ。それこそ『世界崩壊』を容易くできてしまう。
それを知ってしまったので『封印の地』、いわゆる『次元の狭間』を監視する羽目になってしまったのだ。
そんな感じで私は『神と会話した人』として他者に譲れない役目の存在になってしまったのだ。
もちろん見放すこともできるが滅ぶだけだし…。
そういえば、接触時に多少意識を引っ張られたのか、チョット性格が悪くなった気がする…。
きっとそのせいである!
「先生、悪い顔してますよ?」
「悪い顔って…、お前ねー」
私は再び水晶を棚の戻しながら、マールへ顔を向ける。
「さて、お茶にでもするか」
「かしこまりました」
マールと話しながら今日の茶受けに想いを馳せ、書庫を後にした。
主人公の一人語りの説明回。難しい…。