036 エンリ
ユキ様ピンチです。
カーーン、カーーン、カーーン…
麓の村の鐘が鳴り響く。
この鐘の音は緊急時の音…、何かあったか?
「先生!」
マールが慌てて部屋に来る。
私は窓から様子を伺うと…、しゃがみ込み頭を抱えた!
「アゥゥゥッゥ…」
「どうしたんですか、先生!」
外に見えるのはエルフの方舟。この世界で唯一の空飛ぶ船だ。そしてソレに乗っているのは…。
「ユキ様ァー!湖に着水するから結界を解いてもらえるー?」
とりあえず結界を解くと方舟は世界樹の南の湖に降り立つ。
世界樹の根が桟橋代わりとなっていて舟から降りるものを迎え入れていた。
「ユキ様ーー!」
見た目8歳の少女が走って来る。
べちっ。根に足を取られてコケた…。
あざとい…。おそらくアレは計算してワザとコケたに違いない!が、…、仕方ない。
「大丈夫か、エンリ」
私はエンリを助け起す。
「大丈夫です!ユキ様」
「そうか、久しぶりだなエンリ」
「ハイ!」
マールがこちらを伺っているので、
「マール、こちらはハイエルフの1人エンリだ。エンリ、コッチは我が弟子マールとその守護神ミクだ」
「よろしくお願いします」
「ヨロシクナノ」
「あぁ、あなたがマールさんですの?」
やはり…か!エンリはマールのことを仇のように見ている。マールは縋るようにこちらを見ている。
フっと息を吐いてエンリに言う。
「エンリ、そんな目でマールを見ないでくれ」
「私はこのマールさんがユキ様の弟子なんて認めません!」
「なっ!何を言っているんですか!」
「エンリ、どんなにお前が願っても私の弟子にはできないと何度も言っているだろう?」
「いいえ、今回こそ弟子入りさせていただきます。こんなポッと出の人が弟子でなんで私が500年も待っているのになれないんですっ!」
そう、エンリはハイエルフでありながら休眠の合間に私のもとを訪れては弟子入りを願っている。
ここ300年はムスターファの監視もありおとなしかったのだが…、ムスターファめ!
エンリは今のところ幼体であるので休眠は少ない。成人すれば100年単位の休眠になるが、まだ体が幼いので出来るだけ覚醒している。ってか、500年経つのに見た目幼児とはいくらなんでも…、コイツ世界樹の樹液飲んでいるんじゃ…?
仕方ない…、あまり使いたくは無かったが、ココは必殺技を使うしか無いか…。
私は『強制召喚』を発動する。
「ん?ココは…、ユキ様⁈」
「久しぶりだなムスターファ!なぜエンリがココにいるんだ?」
「なっ、エンリ?」
「む、ムスターファのオジ様⁉︎」
エンリは慌てて逃げようとするがムスターファの『捕縛』に捕まる。
「状況は理解しました。ユキ様にはご迷惑をおかけししました。この詫びはいずれ…」
と転移で帰っていったが…人の住処に方舟置いていくな!
「先生?説明して貰えるんですよね?」
マール、目が怖いです。てか、なんだこの浮気がバレた旦那の気分は?納得いかーん!
この後マールさんがが納得するまでに3時間かかりました。




