035 センチュリー
34話の続きです。
アイドルユニット選抜委員会。
なぜか私とマールもこの委員会に名を連ねている。
というのも先日この選抜を計画したのは私とマール。本来流浪の民の問題なのだが、長老と何より当事者の巫女の強い要請によるものだった。
巫女と間近で接したのはこの時が初めてだった。
「当代巫女のアスナと申します。天魔の魔女様にはお初にお目にかかります」
12歳とは思えない落ち着いた態度である。
「初めまして。堅苦しいのは好かないので私のコトはユキでいい」
「私はマールとお呼びください!」
年の差はかなりあるが見た目はほとんど一緒である。
「同年代なので仲良くして下さいね!」
「ゲブォっ!」
私は飲もうとしたお茶を吹き出そうとしてしまった。
「そうなんですか?よろしくお願いします!」
「先生?大丈夫ですか?」
コイツ…あくまで13歳で行く気かっ!鼻に入っちゃたじゃないかっ。
気を取り直し…。
「ケホン、さて、もう体調は大丈夫なのか?」
「ハイ!もうすっかりです」
「そういえば、アスナの仕事を詳しく教えてもらってもいいかな?」
アスナは巫女の仕事、アイドルの仕事を説明する。私とマールは目を合わせる。このスケジュール、なんてブラックなっ!これは後で長老をシメねば…!
「私達はこの問題を解決するように長老から相談されたので私の案に意見があればすぐに言うように」
まず、巫女の仕事の朝4時からの祈祷は他の巫女に任せる。舞の練習や儀式の練習も外す。というより巫女の位はそのままにしてアスナにはアイドルとして象徴になってもらう。本来の巫女の仕事は他の巫女にさせることにする。
現在正巫女はアスナだけだが準巫女は他に5人いるらしい。アスナの巫女業は将来的にアイドルを引退してからでもいいだろう。
そしてアイドルユニットだが、私が考えた名前は『センチュリー』。最終的には100人のメンバーにするが、今回作るのはアスナをリーダーに20人のユニット。
コレを5組作って100人アイドルグループとする。
シーズンや場所を変えるコトで各ユニットの負担を抑える。そして年1回の復活祭で全てのユニットが集結するユニットによって年齢層を変えるのもいいかもしれない。
各シーズンで引退、新規の入れ替えも視野に入れる。やはりアイドルは若くないと魅力も落ちて行く可能性がある。
「というのはどうだろう?」
「大規模ですね!」
「はい、壮大な話しでついていけません」
「流浪の民としてアイドルを続けるならばユニットは分散しておかないと。他国に訪問したりも考えておかないとな!」
そう、流浪の民は後99年経てば他国で暮らさねばならない。この100年だけの問題ではないのだ。
こうして面接、歌、ダンスの試験を経て残った19人を『センチュリー花組』として復活祭でデビューさせる。今回はファン投票ではなく委員会で選んだ。残り2月で振り付け、歌の練習をしてもらう。
また、アイドルという特殊な仕事なので恋愛や私生活の諸注意も行なった。過激なファンが出てこないとも限らないし…。
そしてデビュー当日、
「なんじゃこりゃー!!」
壁に貼っているポスターは20人それぞれの個別ポスターに集合ポスター。
そこまではいい。そのキャッチコピーが『大賢者ユキ様プロデュース!センチュリー花組参上!』である!
やはりあの長老とはトコトン話し合わねば!
ちなみにデビューコンサートは大成功だった!
ユキP誕生!




