034 プロデュース
16話の続きです。
久しぶりに100年王国に来ている。
出現から約半年、順調に暮らしているようだ。
今回は流浪の民の長老から相談があるとのことだが…。
「天魔様、わざわざのお越しありがとうございます」
「長老、畏まった挨拶はいい。で、どうした?」
「はい、実は先の話なんですが、来年の復活の日に合わせ祭りを毎年開催するのですが、今回も目玉は巫女のコンサートをやろうと思っています」
…、半年前復活祭のフィナーレで巫女のコンサートは大盛況だった。流浪の民の魂の叫びがそこにはあった…、気がする。
「うん、いいんじゃない?」
「しかし、巫女の負担が多く先日巫女が過労で倒れてしまったのです。幸い大したコトはなかったのですが…」
やはり12歳の子供に巫女の仕事とアイドル業は負担が大きかったらしい。
「ふむ、それで私にどうしろと?」
「それなんですが…、巫女の体力を強化したりはできないでしょうか?天魔様やマール様は『不老』であると聞いております。そこまでは望みませんがなんとかならないでしょうか?」
うむ、通常の人間なら乞い願う欲望か…。わからなくもないが…。
「長老よ、『不老不死』や『肉体強化』が必ずしもその者を幸福にするとは限らないのだぞ?確かに出来なくもない。が、その者の人生に責任は持てないがいいのか?」
「っ!」
「例えば、巫女を『不老』にしたとしよう。周りの親しい人は歳をとるが自身は変わらない。50年もすれば相手の死を見送ることしかできなくなり永遠の孤独を過ごすことになる。その枷を巫女に与えるのか?」
そう、『不老』が必ずしも人生の幸福となり得ないのである。なので私も麓の村の住人を『不老』にさせないのだ。まぁ、世界樹の影響で多少長生きだったりするが…。
「愚か者の浅知恵、お許しください!」
まぁ、自身の欲というわけでなし、やむを得まい。
「まぁ、気にするな。ところで巫女の件だが、巫女とアイドルの両立が問題なのでは無いか?」
「しかし、…、」
うみゅ、私はプロデューサーぢゃ無いんだが?
「例えば…、アイドルの方をユニットにすることで巫女の負担を減らすとかは出来んのか?」
「ユニット、ですか?」
「ああ、巫女1人だと大変だが、複数人のグループにすれば少しは楽になるんじゃ無いか?また、巫女の仕事も増員して巫女の仕事の方も軽減すればかなり楽になると思うが…」
「しかし…、どうすれば…?」
そこまで面倒みるのか?
うーん…。
「…!例えばオーディションをして巫女に近い年齢の娘を集め容姿、踊り、歌を審査して残った娘を採用すればいいのでは?」
「おおっ」
「審査には巫女の他に歌や踊りを見る目のある者にすればいいんじゃ無いか?」
「…、それなら公開オーディションにすればイベントにもなりますね!」
「おおっ、さすがマール様!」
「それならば、いっそファン投票にしてもいいんじゃ無いか!」
「確かに…!こうしてはおれん!天魔様、マール様失礼いたしますぞ!」
…、相変わらず落ち着きのない長老である。
「…、私も出ちゃ…、ダメですよね」
「マール、流石に無理だろう…」
この間のコンサートが気に入ったのか興味深深のマールであった。
長老、商魂たくましい…。




