002 世界樹
連続投稿
うみゅ、ヒマである。
といっても特段変化があるわけもなく…。
というのも我が家は人里離れた場所にある。
こればかりは仕方がない。昔は王都に住んでいたが、ある事件をきっかけにこの地に引っ越したのだし…。
「まぁ、年中適温でいいんだけどね。」
ウチはチョット変わっていて木のウロを改築している。
木といっても特別なもので、いわゆる『世界樹』ってヤツだ。
昔、エルフに苗木を譲り受け、地脈の通るこの地に植えた『世界樹の若木』である。流石に放置もできないので管理ついでに住居としている。
もちろんフロックもある。有名なのは『葉』で、調合次第では『完治』や『復活』同等の効果がある。
またあまり知られていないが『樹液』には『不老』の効果があり、私やマールは歳をとらない。
マールは250年前から見た目13歳のままである。
「へクチっ」
階下からクシャミが聞こえてくる。
「先生、また失礼なこと考えていませんか?」
「気のせいだよ。それよりもヒマなんだが何か無いか?」
勘のいい弟子である。
「それでしたら保留の依頼をこなしますか?」
「なんかあったけ?」
「カンゼ皇国からは『静寂山脈の守護竜』の調査。ミッド王国からは『時計塔の特別講義』。エルフの里からはそろそろ『空中庭園』の出現時期なので共同調査の依頼が来ています。」
「ああ、そんな時期かー。」
…どれも緊急性が無く、メンドくさい。
「影からの報告は?」
「今は『火焔山』の視察中かと…」
『影』…私子飼いの『封印の地』の調査隊である。
「とりあえず世はなべて事もなし…って感じ?」
「なら、先日発見した古代魔法の解読をなさいますか?」
「…?ああっ、この間倒したバンパイアの戦利品か。」
うみゅ、面倒な…。
「マール、できるとこまで解読してみなさい。わからなければ聞くように。」
「よろしいのですか?ありがとうございます!」
いそいそと階下へ降りて行くマール。
解読は時間がかかるからなー。地味だし…。
というわけで今日もヒマである。
しばらくは不定期投稿となります。