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オレは魔族でも魔王でもねぇ!  作者: 結城ゆき
1章 金黒眼の少年と魔法少女
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19話 儀式の間




 表側の扉を抜けた先は、サイモンさんが言ってた通り巨大な空間があった。

 檻の部屋よりはまだ明るいが、大き過ぎるため、部屋の奥は暗くてよく見えない。


 いつ敵に出くわすかと不安になるオレは、部屋の端をオドオドしながら歩いている。

 しばらく歩くと、小屋みたいなものが見えてきた。

 ルミナがそこにいないことはサイモンさんの話からわかっていたが、目の前に「ここは重要な場所でござい」と言わんばかりのものが見えたら、行きたくなるのが人情だろう。


 ドア越しに耳を立てて、中の様子をうかがってみた。

 誰もいなさそうだったので、ガチャとドアらしい音を立てて中に入ると、そこは警備室のような部屋だった。

 

 木製の作業デスクとイスが、それぞれ1つ部屋の隅に置かれており、デスクが置かれている前の壁には地図のようなものが張り付けられている。

 他にはイスの後ろの壁に木製のクローゼットがあるくらいで、これと言って変わったところはない。

 誰もいないのをいいことに、クローゼットに近づいたオレは勇者の特権を試行した。

 

 ガサゴソガサゴソ......。

 

「テッテレ~ユウはカギ束×2を手に入れた♪」


 人様の物を勝手に物色するという罪悪感から逃れるために、ドラなクエの効果音を自分で言いながら、自分の罪を正当化しようと試みた。

 先ほどの見張り番から奪った、もとい、拝借したカギ束はすべてあの部屋にあった(おり)手枷足枷(てかせあしかせ)のものだった。

 1つ目のカギ束はそれと全く同じ数で、同じカギの形をしているので必要ないだろう。

 もう1つのカギ束は数も形も全く別の物だ。

 

 2本の形が異なるカギ。

 

 おそらくこれは重要なアイテムだろうと、これまた人様から拝借したジャケットのポッケにしまい込む。

 この場に警察官がいれば、逮捕、起訴、有罪確定は免れないだろう。

 それからオレは、デスク前の壁に貼り付けてある地図のようなものをはがして目を凝らす。


「これは......」


 何かの図とそこによくわからない(・・・・・・・)文字が書かれている。

 オレはB3サイズほどの羊皮紙に釘付けになった。


「こ、これが......」


 異世界物によくある、言葉はわかるけど、文字は読めないというテンプレ設定なのかと、心の中で盛大に感心した。


(誰だよ、オレを召喚したやつは。こういう所もしっかりとしてもらわないと困るんだけど!)


 誰だかわからない人物に訴えてみるが、だからと言って文字が読めるようになるわけでもない。

 仕方がないので、この図から何が書かれているのかを解読するしかない。


「............」


 大きな正方形を小さな正方形でそれぞれ9等分に区切られている。

 一番右下の正方形の右側に小さな正方形が描かれている。

 それを繋ぐように細い線が2本ひかれている。

 その一番小さな正方形からは迷路のように細い線がうねうねと引かれていた。

 

「......うーん」


 一番右下の正方形の中に小さな正方形が描かれていた。

 その正方形の側によくわからない文字が書かれている。

 それを見て、オレはこの部屋を見回してみる。

 よく見ると、この部屋は正方形のように感じた。

 それからもう一度羊皮紙に目を落とす。

 

 一番上の真ん中にある正方形の上側に少し大きめの正方形が描かれている。

 そして、その正方形を結ぶように2本の線が引かれている。

 またしても、その少し大きめの正方形の側によくわからない文字が書かれていた。


 しかし、今回は少し違う所があった。

 その正方形に色が塗られているという点だ。


「もしかして、これは......」


 この地下空間の地図かもしれないと、もう一度羊皮紙に目をやる。

 そう考えると、この色の違う正方形の部分がサイモンさんの言ってた【儀式の間】なのだろうか。


 ズドオオオオオオォォォン!!


「!!!」


 オレの考えが核心に迫ろうとしていた矢先、遠くの方からものすごい音がした。

 慌てて小屋の外に出て確かめるも、辺りは暗がりで何が起こったのかよくわからない。


 しばらくその場にたたずんでいたが、これといった変化はない。

 耳を澄ませてみると、パラパラと何かが崩れる音がする。

 その音の方へと近づいてみるが、ただの壁があるだけだ。

 そしてもう一度、手にある羊皮紙を見る。

 

 もしかしたら、隣の部屋で何かあったのかもしれない。

 そう思い、部屋の隅に見える扉へ向かおうとして足を止めた。

 

(もし、隣の部屋でエリシアかレナが敵と交戦していたら......)

 

 『オレは足手まといになる』

 

 レナに自分で言ったことを思い出し、自然と両手に力が入る。

 オレの今すべきことは、オレが今できることは。


「戦うことじゃ、ない!」


 そう自分に言い聞かせて、ルミナがいるかもしれない儀式の間へと足を進める。

 

 隣の部屋を避けて、最短ルートで目的地へ行くには。

 正面の部屋を2つ抜けた先の部屋から左へ1部屋進む。

 そして、儀式の間へと行くしかない。


 正面に見える扉にはカギが掛かっていたので、手に入れたカギで解除する。

 ゆっくりと扉を開けて中をのぞくが、薄暗い景色が続くだけで、誰かがいるわけではなかった。


「ほっ......よしっ、次の部屋に行くか」


 次の部屋も難なく通過して、儀式の間へとつながる部屋に到着した。


「意外とあっけなかったな」


 ボソッとつぶやきながら、ポリポリと頭をかく。

 後ろの部屋が気になって振り返るが、ブンブンと頭を振って、これから足を踏み入れる部屋へと意識を向けた。

 

 ガチャ...ガチャガチャガチャガチャ。


「あ、あれ?」


 今まで使っていたカギではダメみたいだ。

 だが、オレにはもう1本使っていないカギがある。

 

 ガチャリ。

 

「ビンゴ!」


 やはりこの部屋は特別なのだろう。


 細い通路を少し歩き出すと出口が青白く光っていた。

 通路を抜けた先の光景は「儀式の間」としか表現のしようがなかった。

 

 少し開けた空間の先に巨大な祭壇があり、祭壇の上に人が、まるでキリストのように張り付けにされている。

 遠目でよくわからないが、腰まで伸びた紫水晶(アメジスト)の髪と申し訳程度の衣服を(まと)った女の子が見えた。

 そして、その女の子の手足からそれぞれ2本の鎖が伸びている。

 鎖の先には、祭壇を囲むように8つの巨大な石碑らしきものが立ち並ぶ。

 

「あの子が、ルミナ......?」


「おやおや、こんな所にネズミが迷い込んだようですね」


「ッ!」


 ここまですんなりと事が運んでいたので、気が緩んでいたのだろう。

 よく見ると、祭壇の最上段――女の子の近くに黒装束に身を包んだ人らしきものがいるではないか。


「まったく、ガレイくんは何をやっているんでしょうね」


 黒装束の人影はこちらを向くなり、首を横に振りながら誰だかわからない奴の不満を漏らしている。


「ガレイ、くん?」


 黒装束のフードの中で金の瞳がキラリと光った。


「魔族!?」


 オレの反応など完全無視で、黒いローブから片手を突き出した。

 

「ここまでご苦労だったね。さようなら」


黒の衝撃(ブラックインパクト)


「がっはぁっ!!!!」


 突然体の中からものすごい衝撃を感じて、口から、続いて目、鼻、耳から血が噴き出る。

 オレはそのまま倒れこみ、意識を手放した――。






最後まで読んでいただいてありがとうございます。


儀式の間の見取り図はうまく伝わったでしょうか?

部屋の見た目の説明ってなんだか難しいんですよね(汗


さぁ、ここまで野郎パートでしたが、いかがだったでしょうか?

次回からはお待ちかねのあの娘の様子を見てみましょう!


次話、あの娘の前に立ちふさがる強敵が!


次のページでお会いできることを祈りつつ......。


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