第二話
「…よっし!こんなもんかな。」
無言で設定を決め始めてかれこれ一時間。悩みまくった結果、高身長で黄色い目、そして漆黒の髪の毛のアバターに設定した。
リアルでの容姿を元に作ったからそんなに違和感はないけど…身長が高いって、こんな感覚なのか…
そんな複雑な感情でしばらくじっとしていると、シュガーになかなか良いセンスなんじゃない?と話しかけられた。
「んー…でも、結構時間を消費したからな。…そう言えば、リアルとこの世界での時間ってどうなってんだ?」
「え、言ってなかったっけ?この世界は、現実世界の三十分の1で過ぎるように設定されてるんだよ。」
そう言うシュガーはさも当然というふうで、俺の感覚がおかしいのか?と思うほどだった。
だって、おかしいだろ!ゲームに詳しくない俺でもわかるぞ!学生の俺でもログインできて三時間くらい、その時間だけで十日過ぎるって事だろ!?そんなの、いくらなんでも面白くないだろ!
「…でもね、運営さんも色々工夫してくれてるからね。ゲーム内では、プレイヤーの体感速度をボク達AIと同じ速さにしてくれてる。…つまり、ゲーム内での十日は、リアルでの十日と同じように感じられるんだ。」