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prologue
葉風陸は憂鬱だった。
高校二年になっても一向に伸びる事のない身長と、染めた訳でもないのに茶色い髪の毛。何度も女子に間違えられてきた。そんな生活はもううんざりだ。
…そう言っていた所、一番信用できる友達、秋山宏にあるゲームを勧められた。そのゲームの名は、“new-world”。それは、五感体感型のフルダイブゲーム。いわゆるVRMMOだった。
“new-world”。それは、ゲームに興味のない俺でも聞いたことがあるくらい有名なものだった。なんでも、今まで発売されたVRMMOの中でも最高級の感度を誇り、学生にも手がのばしやすい低価格。そして、何より現実ではありえないファンタジーの世界観がすごいとか…
…まあ、そんなことは俺には関係ない。とにかく俺は、キャラ設定で自分の容姿が変えられる、というところに魅力を感じたのだ。そのためなら、どんなゲームでも良かった、と言ってもいい。
とりあえず俺は、そんな理由からこのゲームを始めることになったのだ。