商店街攻防戦
「このっ!」
俺は魔神に向かって斬りつけた。
しかし、飛び退いて距離をとられた。
「速いな」
こちらの斬撃を見切っているかのようにかわされる。
「脚を狙って!」
燐が鎌を降り下ろしながら言った。
「分かってる!」
俺は姿勢を低くして無明構えた。
突進しながら無明を振り抜く。
ガシッと骨格に無明の刃が食い込む感触がした。
だが骨は完全には断ててなかった。
「ちっ」
無明が食い込んだまま抜けない。
魔神が独特のけたたましい笑い声を上げて俺の右腕に噛み付いてきた。
「うわっ」
無明から手を離して距離をとる。
ぎりぎりでかわす。
「どうするか」
無明は魔神の脚に食い込んだままだ。
このままじゃあ無駄に魔力と血液を消費するだけだ。
「そうだ」
俺は指輪の装飾を一度押した。
すると無明は消失した。
要するに引き抜けないなら再起動すればいいと言うことだ。
魔神の攻撃をかわして無明を起動させる。
キュィィン。
俺の手には無明が握られていた。
「さあ来い!」
魔神が多いから魔力と血液を消費したくないが俺は“術式”を使うことにした。
俺は抜刀し無明の刃を横に寝かせ水平に構えた。
魔力を一気に高める。
魔神が走って突っ込んでくる。
その頭に向かって突きを放った。
「突術式・断絶牙!」
無明の刃が魔神の頭に突き刺さった。
その瞬間、魔力を解放する。
魔神の内部から魔力が爆発的に膨らみ衝撃波を産み出した。
魔神の頭は吹き飛んだ。
「これであと5体!」
「術式を使えるなんてすごいじゃない」
燐が駆け寄ってきて言った。
術式とは簡単に言えば魔法の呪文のようなもので、術式名を唱え魔力を消費することで技を発動させることができる。
もちろんゲームやフィクションのように術式を唱えてはい終わりとはいかない。
術式を使うもの、“術者”の技術や戦闘能力、魔力に依存する。
燐も魔神を倒したようだ。これであと4体。
少し息を整えたかったが2体の魔神に囲まれてしまった。
「くっ・・・」
「まずいわね」
俺たちは背中合わせになった。
「こんなところでやられてたまるか」
「ええ、そうね」
俺たちはガジェットを構えた。
「来るぞ!」
2体は同時に飛びかかってきた。
「うぉぉぉおおお!!」
俺は魔神の首を下から斬り上げた。
「やあっ!!」
燐も魔神を大鎌で切り裂いた。
ドサッと地面に倒れ骨格を残して蒸発する。
男たちの方も片が着いたようだった。
こうして商店街での戦闘は幕を閉じた。