後悔しないための戦い
相変わらず血液の消費が半端ない。
「うぐぅ・・・」
中指どころか右手全体がズキズキと痛む。
「無茶よ!」
燐は走りながら言った。
「残念だけどもう・・・」
しかし俺の頭には今朝の出来事がこびりついていた。
「今助けなきゃ後悔する!!」
そうだ、今助けなきゃ。今やらなきゃ。
「後悔してからじゃ遅いんだ」
俺は無明を構えた。
敵の数は8体。
「・・・仕方無いわね」
燐は右手を前に突き出した。
「行くわよ、業」
隣からキュィィンと起動音がした。
「そうね、後悔はしたくないものね」
そう言った燐の右手には大きな鎌型ガジェットが握られていた。
その横顔は少し寂しそうだった。
「来るぞ!!」
「ええ!」
俺は先頭の一匹を斬り飛ばした。
「おい、数が違いすぎる!」
男の一人が止めに入ろうとした。
「止める暇があったら戦え!」
俺の斬り飛ばした魔神はまた立ち上がりかけていた。
「頭を潰せば魔神は死ぬ、戦うんだ!」
俺はもう一度、今度は首を斬りつけた。
「死にたくなければ戦うしかないんだ!」
俺は必死に叫んだ。
「お、おう」
「わかった!」
4人いた男たちは全員ガジェットを起動させた。
「6対8ね。勝てるかしら」
燐が隣で呟いた。
「勝つしかないんだ」
「そう、ね」
言いながら燐は魔神の首に斬りつけた。
しかし首は飛ばず皮一枚で繋がって垂れ下がっていた。
魔神はけたたましい笑い声をあげた。
俺はすかさずさらに斬りつけた。
首は笑ったまま胴から離れた。
すると胴体は蒸発して骨格のみが残った。
「まずは1体」
「ええ」
向こうの方では男たちが1体仕留めたようだった。
「あと6体!」
「正面に2体いるわ」
「わかった、俺は右へ行く」
「私は反対側を」
こうして商店街での戦闘が始まった。