プロローグ
「なんだよ・・・これ・・・」
地下室から這い出てきた俺が最初に見た景色は瓦礫の山と焦土と化した街だった。
15年前、突如現れ人類を襲い始めた魔神。
俺の住む街は魔神の襲撃により壊滅させられた。
「父さん・・・母さん・・・」
俺はおもむろに歩き出した。
「防衛隊が全滅してる・・・」
周りには多くの死体の山があった。
「みんな・・・死んじまったのか」
よく見ると顔見知りの死体が所々にあった。
街の広場に着いた俺はそこで父さんを見つけた。
「父さんっ!!」
急いで駆け寄ると父さんの怪我を見た。
「血が・・・」
父さんの腹は大きく抉られていた。
「透・・・か?」
「そうだよ、俺だよ!!」
「無事・・・だったんだな」
「俺のことはいい!父さん、ひどい怪我じゃないか!」
「ああ・・・街一番、の術者が・・・聞いてあきれるな」
「もうしゃべっちゃダメだ!」
「透、よく聞くんだ」
父さんは話し出した。
「ここから・・・すぐに南に行くと・・・第七防衛都市がある。そこにいけば・・・助かる」
「何言ってんだよ!父さんも行こう!」
「俺は・・・もうダメだ・・・これを持っていけ・・・」
そう言うと父さんは右手にはめていた三つ巴の紋様が刻まれた指輪を渡してくれた。
「俺の・・・ガジェットだ・・・持っていろ」
そう言うと父さんはガクッとうなだれた。
「父さん?父さん?」
俺は何度も父さんの体を揺すった。
「父さん!!父さん!!」
父さんが返事をすることは・・・無かった。
「くっそぉぉぉぉおおお!!!」
俺は声が枯れるまで泣いた。
そして俺はみんなを丁寧に埋葬した。途中で母さんの死体や友達の死体を見た。
一通り埋葬を終えた俺は第七防衛都市へ向かうことにした。
「父さん、母さん、みんな・・・行ってくるよ」
俺は振り向かないで南を目指した。