表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法世界とイレギュラー  作者: 樫吾春樹
桜の咲く頃
2/5

月桂樹

 朝、目覚ましの音で目をました私は、まだ数回しか袖を通してない制服を着る。

「まさか、この歳になって着ることになるとは……」

 学園には十五歳で通してあるが、実際には私は成人している。これも、仕事のための潜入調査になる。他の世界の人物は、そう簡単にこの学園には入れない。だけど、私と母とで記録を書き換えた。この世界は魔法が発達している分、機械があまり進んでいない。なので、書き換えは簡単だった。しかし、それも私が仕事を終わらせるまでの間のこと。仕事が終われば、私たち家族のことはこの世界の記録、人の記憶から抹消される。そして、私たちが来る前の世界に戻るだろう。

「カノン、起きてるの?」

「起きてるよ、今行く」

 ドアの向こうの母の声にそう答え、私は部屋を出た。リビングでは父と母が座って待っていて、母の隣に私も座って朝食を食べ始めた。

「カノンの制服姿を見るの久しぶりね」

「そんなこと言っても、昨日も見たでしょ」

「そうだけど、いつも私服か仕事の上着を着てるじゃない」

「仕方ないでしょう。学校は何年も前に卒業しましたし。それより、聞くことがあるんじゃなくて?」

「わかってたんだね。それじゃあ聞くけど、早く終わりそう?」

 母の問いに対して私は首を横に振る。

「そう……」

「まあ、焦らなくていいからな。カノン」

「わかってるよ、父さん。そろそろ時間だから行ってくるね」

 席を立ち、仕事の藍色の上着を鞄に入れて靴を履く。

「いってらっしゃい」

 両親に見送られて、学園への道を歩く。昼間は、学園の一人の生徒として。夜は代々受け継がれている役目、十六代目の死神として私は今日もこの道を歩く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ