忘れたくない
忘れないよ
忘れないよ
と
こどもが泣いた
忘れないよ
忘れないよ
今日も昨日も
おとといも
その前もその前も
忘れないよ
忘れたくないよ
小さな目を真っ赤にして
涙を手でふきながら
忘れたくない
と、泣きつかれて
うとうとしながら
大人になったら
忘れちゃうのかな
意外と忘れないものだよ
つまらないことは
特に
慰めのつもりが
慰めになっていない
忘れたいことが
増えていく
大人になるほど
忘れたくて
泣いてしまう
眠ったこどもの
頭をやさしく撫でると
忘れたかったことが
ゆっくり顔をあげて
私の心を引っ掻いた