ハウンド
人で溢れていた中央区とは逆に、東区ゲート広場は完全に無人で一切の人影は無かった。
ただマイグレートを目前に控え、整備された石畳の広場には誘導用のラインが引かれ、案内用の電子パネルが数多く設置されていた。
ゲートの間口はかなり巨大で、高さだけでも都市に植樹されている木々がすっぽり入るサイズであり、幅に至っても100メートル以上の規格外の大きさであった。
爆音を奏でていたタンデム式回転翼のローター音は、着陸から数十秒で静かなものとなり、再び閑散とした広場へと戻るが、それも機内からぞろぞろと人影が降り立つと、少しは賑やかなものへと変貌した。
案内用のモニタには何も映っていない。間違いなくカナメ達の放送を流していたであろうここのモニタも今は停止されていた。
「リズ。気づいてるか?」
「当然だカナメ。想像以上に行動が早いな。2人……いや3人か……」
「そうだな。上手く隠れているけど、強い気配を感じる」
ゲート広場の最東に居るカナメ達からすると、敷地の西南北端に1人ずつ、計3人の憲兵がこちらを覗いていた。
「お前らよく分るな」
「あんたと違ってカナメは繊細なのよ」
「じゃあお前はどうなんだよユリ。お前も俺とかわんないだろ?そもそも炎能力者ってやつはどいつもこいつも大雑把なやつばっかりじゃねーか」
「何ですって!もっかい言ってみなさいよこのスカタン」
「スカタンはお前だって言ったんだよ」
売り言葉に買い言葉。
激しく罵りあいを始める2人を置いて、シオリがカナメとリズに話かけた。
「いつ行動を開始する?」
「今すぐにでも始めようか。この分厚い鋼鉄の扉は私達だけでは破壊できないかもしれないが、人が集まるのを待つ余裕は無いからな」
「ということだけど、そこで罵り合っている2人はちゃんと理解出来ているか?」
少しあきれた様子でカナメが問いかけた。
「わかってるよ。俺は誰かと違って慎重に行動するタイプだからな」
「私もどこかのバカと違って知的なタイプだからちゃんと把握してるわよ」
ようやく言い争いは終わったものの、両者は相手の言に不服がある様子で睨み合っているが、状況が状況だけにそれもすぐに落ち着くこととなった。
皆がゲートを見上げる。この壁の先にはプラントが存在しているが、そのプラントとの接続路は当日に繋がれる。そのためこの壁の裏側はすぐ外になっているのだ。
当然この場所を選択したことについても明確な理由があった。それは単純にここが区画都市で一番薄いポイントだということと、人を集めやすい場所という理由からであった。
「あっという間だったな」
壁を前にしたコウタが口を開いた。
「一週間前の自分が知ったら驚くだろうな。まさかこんなに早く区画都市の外に出ることになるとは予想外だよ」
「ここから出たことの無い君達には想像もつかないだろうが、この扉の向こうには遮る壁は無い。広い本当の地球の姿が広がっている」
「あら映像でなら見たことはあるわよ。サバンナを駆ける動物の群れ。広大な森を流れる河川。水平線から昇る太陽。どれも美しかったわ」
「映像と本物とは全然違う。君達には是非とも本物を見て欲しいと思う」
「もうすぐ午前零時。上手くいけば数時間で本物の朝暁けが見れる」
「いいねえ。こうなったら全員で本物の朝暁けってやつを拝もうじゃないか」
「そうだな。コウタ……ユリ……シオリ……そしてリズ。絶対に生きて日の目を見よう」
カナメの呼びかけに皆が声をそろえ応えた。
内心、この場に居る全員が一様に不安を感じていた。
やれることはやったものの、カナメの呼びかけに都市の住民が応じるかどうかが、命運を分けるポイントだったからだ。
「リズ。信じてないわけじゃないんだが、君のほうの準備は大丈夫なのか?」
「不安になるのも理解できるが信じてくれ。機がくれば必ず何とかなる」
「機がくれば……か……」
どちらにしてもその機を作るのはこの都市の住民達である。やはり全ては説得の結果次第という状況だった。
あの放送が終わってから経過した時間は約10分。
早ければ、近くに居る人達が来てもおかしくない頃合だが、それらしい人影はまだ無かった。
ユリの身体が溢れる程のアイテールに包まれる。
それに呼応するかのようにリズ、シオリ、コウタの身体もアイテールが充実する。
「悪いが俺は……」
「わかってるよカナメ。お前の能力じゃ、傷つけることも出来ないからな。その分、憲兵が来たら教えてくれよな」
「任せてくれ」
カナメはそう応えると、この広場全域に向けて感応を展開した。少なくとも人が増えるまではこれで憲兵の接近を感知することができる。
理想を言えば、憲兵達もこの都市の住民である。争いたくは無いし、元より彼らも説得対象者だ。心が動かされる者は多いだろうが、鎮圧任務が下されればそれに従事する者も居るだろう。敵対するのは必至であるが、ギリギリまでそうならないよう願わずには居られなかった。
熱風を帯びた衝撃波と共に爆発音が響き渡る。
シオリの増幅を得たユリが能力を開放したのだ。
間髪入れずコウタが爆発の中心点へ向けて多角甲盾を弾き出す。
また同時にリズから疾風三槍が繰り出された。
灼熱の炎に包まれた壁を叩く音が連続して上がる。
ユリは濃縮された炎を持続させ、コウタとリズが苛烈に壁を攻め続けた。
そして再び静寂が訪れる。
それぞれが肩で息をするほど消耗していたが、リズに至っては片膝をついている。治安維持局本部での攻防で苦戦を強いられた為であった。
鋼鉄の壁は熱によって赤みをおび、幾多の衝撃から大きくえぐれているが、分厚い壁に穴は空いていない。
正確な厚みは不明であるが、まだ先が長いことは明らかだった。
「なんつーか……めちゃくちゃかてーじゃねえか」
「覚悟はしてたけど、こんなに頑丈なんて流石に参るわね」
「想像以上」
「ま、そのほうがやり甲斐があるってもんじゃねーか。次は本気でやってやるぜ」
コウタの笑い声が高らかに上がる。
彼なりに場を沈ませないようにしているのだろう。少なくともカナメはそう受け取ったし、他のメンバーも同様に受け取っていた。
「ところでリズ、お前は大丈夫なのか?かなり疲れてるみたいだが」
「大丈夫と言いたいところだが、この姿じゃ無理があるか……。でも心配はいらないぞ。これでもまだ少しは余裕があるんだ」
そう告げるリズの言葉は力強い意志が込められているようだった。
「さーて一息ついたところで二回戦といくか。俺様のフルパワーをみせてやるぜ」
「はいはい。期待してるわよ」
コウタの掛け声で再び皆が構えをとったその時だった。
違和感を感じたカナメが声を張り上げた。
「みんな散れえええ!」
考える間もなく一同が反応する。
その瞬間、至近で何かが弾け眩い光が辺りを覆った。
同時に先ほどまで居た位置を貫く形で、鉛の礫が空を切る。当たれば致命傷は避けられない。
連続して襲い掛かる鉛玉を一同は器用にかわしているが、体勢を整える余裕は与えてはくれなかった。
西、南、北と三方向から駆け寄って来る影が複数。今の閃光を合図に飛び出してきた。
「ハウンドだっ! 気をつけろ」
リズが叫ぶ。
遠方からの牽制、統率された動きで距離を詰める働き、これは間違いなく特殊部隊ハウンドのそれであった。
真っ先に動いたのはコウタだった。
得意の多角甲盾を前面に展開し、北から襲い掛かるハウンドを迎え受ける。
数は3人、少数とはいえランカーになってもおかしくない実力は備えている。
先頭を走る男がコウタに向けて拳を繰り出した。
その瞬間離れているはずのコウタのバリアを衝撃が襲い、バランスが崩れるが何とか踏みとどまる。
身体には直接届いては無いが、バリアごとコウタを吹飛ばそうとしたのだ。
「衝撃波!?かなりつえーじゃねーか」
3対1。
通常なら怯みそうな状況ではあるが、コウタの勇んだ足は走ることを辞めない。これはコウタが打てる最善の対応でもあった。
三方から迫るハウンドは合計9人。
もとより連携力で分のある相手を前に混戦は圧倒的に不利。どんなに見える範囲を注意しても死角からの攻撃を防ぐことは出来ない。
なればこそコウタは前に進んだのだ。混戦となり、仲間が1人また1人と倒される前に全力で敵を迎撃する為に。
同様の考えでリズも迎撃を開始していた。
彼女は戸惑うことなく西へ駆けていた。
西側に狙撃手が居ることを考えれば自殺行為とも思えるが、あの狙撃手は存在しているという事実だけで、戦術的に厄介な相手。早々に手を打たなければならない相手だった。
それを裏付けるように遠距離からの狙撃が激しく彼女を襲う。
しかしリズも後ろへ引くことは無かった。
無数の見えない槍がその全てを打ち落としていく。
「残念だが君はまだ速度が足りない。本当のスナイパーはその3倍の速さで、自らの槍を撃ちだすものだ」
機を見たリズが狙撃の合間を計り、舞うように回転した。
その瞬間放たれた槍は、たった1本ではあるが、彼女の渾身が込められた一撃だった。正に雷のような速度で地を這い、レンガ造りの植え込みを破壊し狙撃手を昏倒させた。
「疾風一番槍。これで安心して君達を相手にできるな」
リズの攻撃を目の当たりにし、警戒したハウンドが急接近を停止している。
恐らく気づいたのだろう。
自分達の相手があのラッキーパイルのリズであるということを。そしてそのリズはアリーナにおいて接近戦を得意としていた事実に。
目配せをしたハウンド3人が散開し距離をとる。
先ほどの疾風一番槍はリズの挙動を観察することで容易く回避することができると判断し、近中距離用の疾風三槍を3人による三点攻めで攻略することを選択したのだ。
「さすがハウンドだ。連携も良いし判断力もある。だが慎重すぎることが仇になったな」
そうつぶやくリズの恐れていたことは、リズ自身の残りのスタミナであり、勢いに任せた3対1による超接近戦であった。
共感を発動させながら、至近距離で戦うことは、通常であれば望むような展開であるのだが、今は勝手が違う。
疲労と消耗により、正確な読みと回避が出来ないのだ。
だからこそ彼女はこの状況を好機と見て、爆ぜる様にハウンドの1人へと飛び出した。
コウタとリズの飛び出しを見たユリが、残された南側のハウンドを視認すると即座にシオリへ視線を送る。
「実戦実技!」
ユリが叫ぶとシオリは有無を言わさずハウンドへと駆け出して行く。
迷いは無い。
ハウンドも急接近するシオリを前に迎撃の体勢をとった瞬間、彼らとシオリの間を隔てるように炎が出現した。
そのままシオリが炎の中へと突入する。対するハウンドは出現した炎を前に急停止を行っていた。
先ほどのユリの叫びは彼女らが始めて戦った時を連想させる言葉だった。
それはつまり初めて争ったあの実践実技の授業でシオリがとった戦法で攻めるという合図であった。当然ながら炎は派手に燃え盛っているが、実は見せ掛けだけである。
一瞬の戸惑いを見せるハウンドを、突如衝撃が襲う。
これは炎を掻き分け高速で駆け抜けた人間であり、必殺の意志を持つ。
炎を操るわけでも、水や大気を操るわけではない。自らの身体能力を極限までに強化しただけの女の子であった。
自己の勢いを加えた掌ていが見事、先頭の男に直撃した。
不意打ちは成功、声を発することさえ出来ずに噴き飛ばされる。
しかし流石特殊部隊と呼ばれるだけあり、即座に残りの2人がシオリを襲う。
左右から繰り出される無数の打撃。初撃から五手目までは辛うじて躱していたが、対処できなかった鋭い拳がシオリの右頬を強く揺さぶった。
続いて左脇腹を抉るような衝撃が走る。思わず屈もうとすると髪を掴まれ頭を無理やり上げさせられた。
『やられるっ』
そう思った瞬間だった。
シオリを掴んでいた男の背中が爆炎を上げた。
シオリを巻き込みながら男が地面を転がる。意識はあり果敢に立ち上がろうとするが、シオリはそれを許さなかった。
「髪を掴んだのは許されない行為」
そう告げるや否や、シオリから繰り出された拳は男を深い眠りへと導いた。
ユリが残り1人となったハウンドへ駆け寄る。
シオリも即座に行動を開始した。
2対1。
2人がハウンドを挟むように位置取っている。
「大丈夫? 鼻血出てるわよ」
「問題ない。それより他が心配」
「それもそうね。それじゃ急いで駆けつけてあげないと」
相手のハウンド達は決して弱かったわけではない。
ただ彼女達の閃きと連携が、彼らの実力を上回ったのだ。
残されたハウンドが自らを鼓舞するように雄たけびを上げる。しかしそれは正に最後の足掻きであり、ユリとシオリの猛攻を凌ぐことは出来なかった。
ここに南側の攻防の幕は閉じることとなった。
単身北側のハウンドへ向けて飛び出したコウタは、予想以上の苦戦を強いられていた。
突っ込んだ先で多角甲盾を攻撃に転用させてはみたものの、有効な打撃を与えることは出来なかった。
そればかりか圧倒的に不利な状況へと追い詰められていく。
もとより各上の相手であるため当然であるが、能力の特性上、防御に比重があるコウタは同時に多人数を相手をするのは、無理があるのだ。
今は全方位、自分をすっぽり覆うように多角甲盾を展開し攻撃を防いでいるが、それが破られるのも時間の問題である。
「おらおらてめーら、そろいもそろって俺一人も倒せねーのか」
「雑魚が吼えるな」
ハウンドの1人が地面に拳をたてた。
その瞬間、足元へ向けて地面を裂くように亀裂が走る。
「うおっなんだこりゃあ」
勢いよく盛り上がった地面が、コウタを空中へ運ぶ。
舞い上がる最中、さらに追撃が襲った。
衝撃波。
全身を覆う盾が魚の鱗を剥ぐように削り取られ、ついにはコウタの肉体を捉えた。
苦悶と共に、鈍い音を響かせコウタは地面へと落下した。
「こいつは私が処理する。お前達は首謀者を狙え」
衝撃波使いのハウンドが指示を出すと、2人のハウンドがカナメへと疾走する。
「ま、待ちやがれ……」
「残念だがお前達テロリストはこれまでだ」
殺意が込められた衝撃波がコウタに発せられる。
「情けねえ」
横たわる身体に鞭を打ち、なんとか四つん這いの体勢をとるが、今はダメージの影響からこれが限界だった。
「たかだかハウンド三人も相手に出来ねえなんて情けねえぜえええええ」
再びコウタの前面に多角甲盾が展開される。
「馬鹿の一つ憶えとはこのことだ。貴様のバリアなど紙切れと変らんっ」
風を切る音が通り過ぎる。
しかし今まで耐え凌いできた強い衝撃は無い。
「手負いだと思って仲間を先に行かせたのが運の尽きだったな」
軋む身体を奮い立たすと、コウタは立ち上がった。
コウタが生み出した多角甲盾は鋭く、刀のように相手に突き出した形を取っている。
「サシなら負けねえ」
「死にぞこないがあああ」
激昂したハウンドから幾重もの衝撃波が迫る。
しかしコウタに焦りは無い。
ハウンドに向け、かなり鋭角な円錐状の多角甲盾が、衝撃を四散させる。
「てめえ一人ならこういう使い方もあるんだよ」
コウタが力を振り絞りハウンドへと駆ける。
対するハウンドもさらに苛烈に衝撃波を繰り出した。
「きかねえええ」
コウタの叫びと共に、円錐状の盾がまっすぐハウンドへと弾き出された。
それは相手の衝撃波を切り裂き、見事ハウンドの身体を捕えた。
ハウンドの絶叫が響く。
「くそがあああああああああああ」
「そのままくたばれえええええ」
多角甲盾をその身に受け、ハウンドは遠くゲート北端へと飛ばされる。
同時にゲートを囲う植え込みに衝突すると、深い眠りへ落ちていった。
コウタを差し置き、駆け出した2人のハウンドがカナメに迫る。
実力でいうと間違いなくカナメに勝機は無い。
攻撃を躱し続けるだけでは勝つことは出来ないし、そもそもアビリティを多用した戦闘で躱し続けるのは単純なことでは無いからである。
だからと言ってみすみすやられるわけにも行かない。皆が全力で戦っているのだ。
近づく2人のハウンドへ意識を集中し、相手の思考を探る。
勢いよく流れ込んでくるハウンドの感情はむき出しの敵意を含んでいた。
即座にその場を飛び跳ねる。
すると地面が何かに押しつぶされたように大きく凹んだ。
超重力場。
力場有効範囲は2メートルと小範囲ながら、使用範囲は能力者を中心に30メートルと中距離戦闘を得意とする。
直撃すれば唯ではすまない。
ジグザクに回避を繰り返すカナメを追うように、地面が抉られる中、もう1人のハウンドがアビリティを解放した。
ズシリとした感覚。
身体だけでなく手足や頭までもが、重く圧し掛かる。
「しまった。捕らわれたかっ」
思わずカナメが言葉を漏らす中、2人のハウンドが細く笑んだ。
もう1人のハウンドも同様に重力を扱う能力者だ。
ただし効果範囲は加重量に反比例しており、広大であればあるほど低加重となる。今回の場合距離は40メートル弱、カナメに掛かった重力は三倍程度であった。
アビリティの特性上、攻撃系能力者というよりは相手の動きを封じるための補佐系能力者であった。
当然ながら、この攻撃は予期できていたものであったが、展開された加重域圏が広大であったため回避が追いつかなかったのである。
同時に何とか躱せていた超重力場がカナメに襲い掛かる。
巨大なハンマーで殴られたかのような衝撃が背中に走ると、そのまま地面に押し付けられた。
身動きが取れないばかりか、肋骨ごと身体が拉げてしまうほどの重力。
抜け出す術はない。
すでにアイテールは全身を守るために展開しており、少しでも気を抜くと虫のようにつぶされてしまうからだ。
「ぐっ……があああ」
1秒の経過が苦痛を呼び、次第に気が遠くなる。
それでも耐えに耐えた結果、カナメは九死に一生を得ることとなった。
圧し掛かる重力が嘘のように消失したのだ。
吐き出された酸素を取り戻すように呼吸を繰り返す。
やっとの思いで顔を上げると、そこには頼りになる2人の女子が佇んでいた。
「避けるのは得意だったんじゃなかったの?」
「面目ないな。でも助かったよ、ありがとうユリ。それにシオリも」
「カナメを助けるのは当然。それによく耐えた」
そう言うシオリの視線の先には高速で突撃し、全力で殴り飛ばしたハウンドの姿があった。
十数メートルは飛ばされたのだろう、完全に気を失っている。
また、もう1人のハウンドもユリの手によって倒されていた。
「ま、あんたに夢中だったからね。クリティカルに不意打ちが決まったから楽勝だったわ」
「俺はエサかっ」
「助けてあげたんだから感謝しなさい」
誇らしげにユリが告げる。
しかし戦いはまだ終わっていない。
「コウタも終わったみたいだな」
北側での攻防は終わりを見せ、今や立っているのはコウタだけだった。
残りはリズ。いくら反則的な強さをもっているとはいえ、今は手負い。しかも相当消耗もしている。急いで救援に行く必要があった。
「それじゃあリズを助けに行ってくるから。カナメはここでおとなしくしてなさい」
「悪いが頼む」
「まかせなさい。それじゃユリ行くわよ」
そう告げ2人が駆け出した刹那、巨大な爆発音が轟いた。
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