本番前2
最後の瓦礫を稲妻で爆砕し屋上へ到達したのはカナメたちがハチドリで脱出した直後のことだった。
治安維持局本部の被害は甚大で、エントランスの天井は落ち瓦礫にまみれ、エレベーターは使用不能、階段も所々が破壊され通行が困難な状態になっていた。
リズを追って階段を登っていた憲兵たちは見事にその足止めに嵌り立ち往生していたのだが、タツミの到着により現場は即座に落ち着きを取り戻した。
怪我人は即収容、破壊された施設は復旧指示を手配した。
そしてタツミは垂れ流されている映像を停止する為に、テロリストを捕まえる為に、先頭に立ち階段を駆け上がった。
当然その歩みを止める障害物は全て粉砕した。
その結果、カナメ達の想像以上の速さで屋上へ到着したのだ。
「これは……」
タツミの後に続いてきた憲兵から思わず言葉が漏れる。
彼らが目にしたのは、大きく開かれもぬけの殻となった格納庫の姿だった。
呆気にとられる憲兵達。
大胆にも治安維持局本部を襲撃し、逃走まで見事に成功させた手口はシリウスにとって前代未聞。
稀に見る犯罪行為であったからだ。
「バショウ。状況はどうなっている」
タツミが空となった格納庫を眺めながら、至って冷静な口調で問いかけると、後ろで控えていた女が口を開いた。
「まず局長及び副局長はなぜか現在所在不明となっております。そのため治安維持局員も含めた多くの都市住民が混乱しており、事態の収拾が付かない状態です。また一部の人間が東区エリアへ向かっているという情報も入っております」
タツミは報告を聞くと、少し考えるように間を置き再び問いかけた。
「ハウンドの配備はどうなっている」
「すでに東区ゲート広場を監視するように指示しております。なんの問題もありません」
「お前はあの放送についてどう思う?」
「特には……ただ敢えて言うならば、議論は後々でも出来るかと」
少しの沈黙が流れるとタツミから笑い声が漏れた。
「確かにその通りだ。よく分ってるじゃないかバショウ」
「私はただ思ったことを言ったまでです」
「なぜか行方不明となっている局長達はどこに行ったのだろうな」
白々しい口調でタツミが問いかけた。
「恐らくはテロリスト一味に捕縛されたのでしょう。死人に口なしと申しますし、如何様にもなるかと」
「よろしい。では都合よく行方不明となった局長らに代わり本件の全指揮を私がとる。現在使える憲兵の再編はバショウ、お前がやれ。使えない者は人員整理に当たらせろ」
「了解しました」
「それともうひとつ。あいつだ、首謀者であるカナメは生かして捕らえろ、私が手を下す。それだけは徹底しておけ」
「仰せのままに」
「それでは行動開始といこうじゃないか。頭をたれて許しを請おうが容赦はするな。ゲートに集まったものは全てテロリストだ」
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