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四季  作者: 佐方仁優
6/8

autumn ③

秋③でなんとか決着をつけました~ああやっと終わりました。でも番外編一つするつもりです

赤いマフラーは彼女と知り合った去年の冬にもらったものだった

それまで俺はマフラーが家になかった

いや、子供の頃は冬になると外出するとき、母親に強制的に巻かれていたものだったが、よく走り回っていた成果、途中からどうも暑苦しくて苦手だった

それで自分で何もかもするようになってからはマフラーを持つということがなかったのだ

ところが、雪も積もった土曜日の午後に彼女と一緒に買い物に出る際、彼女が寒そうだからと俺にマフラーを貸してくれた

それは男物だけれど可愛いから使っているものだ、という

久しぶりにつけけたそれは暖かくて、巻いているといつもよりも寒さが和らぐ

「暖かかった、マフラーっていいもんだな」というと、他にもたくさんあるから、といってくれたんだ


そのマフラーは春になると本来の役目を終え、クリーニングに出されたがその後、他の冬物衣料と同じ様にクローゼットの奥にしまえず、結局ベッドにくくりつけた

目に見えない場所にしまうのが寂しかったからだ


暖かなマフラー暖かなコタツ

ほのぼのした彼女と眠る春の生活

夏の暑さには彼女は引き気味だったけど

有無を言わさずベッドに引き込んだ時の服を通したまま味わう彼女の感触

髪から香る花のようなシャンプーの匂い

そんな彼女の部屋とは程遠い自分の部屋が

マフラーの存在で少しだけ好きになれる



しかしそのマフラーを証拠物件にして悪友は勝手に俺の彼女にたいする気持ちを告白する結果になるとは思ってはいなかった

確かに間違ったことは言ってはいないが・・・これでは今までの彼女との関係はどちらにしても崩壊するじゃないか・・・

俺の心臓をしっかり打ち抜いたことを確認すると悪友は仕事があるから、とさっさと部屋を出て行ってしまった



その悪友は彼女が俺の部屋に来る前にやってきて俺にこういったんだ

「彼女は最初からお前に気があるよ、多分今でもお前だけ特別みたいだ」ってささやいた

それを聞くだけで済めばよかったのに済まなかったのはあいつの悪戯心も半分あったのだろうが、今までの彼女との宙ぶらりんの関係に限界を感じていた俺にはっぱをかけてくれたのもあったのだろう、と後になって思ったが・・・


だが、どうすればいい?今彼女はびっくりした顔で床に座り込んでいる




「大丈夫?」


彼女と向き合うように正面に回ると両膝を床につけて目線を合わせようと下を向いた彼女の顔を覗き込むと

彼女は顔を下に向けて俺の視線を避けた


何故、避けるんだ


そのまま顔を近づけると更に彼女は顔をそむける


どうして顔をそむける


訳がわからなくて手を伸ばして彼女の肩を両手でつかもうとしたら、今度は体をひいてこの場から逃げ出そうとする


彼女にはもう俺の気持ちは知られている、なのにここまでされるっていうことは・・・つまりはそういうことなんだろう・・・


「逃げるのか、俺のこと好きじゃないってことだよな?」


こうなったらもうどうせ後戻りはできないのだから彼女の気持ちをはっきり聞いて終わらせようか・・・

頭では冷静にそう思っている、でもこれでお別れになるかもしれないと思うと、どうしても体はそんな風にはなれない・・・でも・・・そうしなきゃ、このままこれを続けてたら・・・きっと彼女を傷つける



「帰ってくれないか」




さっきの悪友のセリフはなんだったんだ

彼女は気があるってさっき言ってたけど・・・全然ないじゃないか・・・

もう、終わったなと自嘲して立ち上がりかけたとき、

彼女の手が伸びて俺の着ていた服の袖を掴んだ

驚いて彼女の顔を見るとまだ彼女は下を向いていたけれど

顔が真っ赤になっているのがわかる

急に彼女が下を向いたままおでこを俺の体にくっつけた


「・・・ごめん・・・どっ動揺してしまって・・・」


「・・・」


「自分から・・・こっ告白したことないの・・・はあ・・・緊張する・・・うわぁやっぱ無理」


「・・・」


これって


「・・・駄目だぁ・・・無理、絶対無理・・・心臓が止まっちゃう・・・」


・・・これって・・・



思わず腕を回して彼女を抱きしめる

そうしないと彼女が逃げ出しそうな気がして・・・

そのまま彼女の存在を確かめようと、背中を、髪をなでる

掴んでも手にあまるほどの大きさの華奢な肩・・・細い首・・・力を入れたらつぶれてしまいそうだ

しばらくそうしていたら彼女の体が動いて・・・小さく息をはくような気配がした後、くぐもったような声が聞こえてきた


「・・・好き・・・」


「俺も・・・ずっと・・・」


「・・・ほんと?」


少し甘えたような彼女の声が心の中にしみこんでいくのがわかる

ああ・・・もう素直になっていいんだ

重い枷が体から外れたような気がした

自分でも説明がつかないような気持ちがどんどんあふれ出てきて、気持ちが高揚していくのがわかる


唇を彼女の髪に何度もつけた

それから恥ずかしがってなかなか上げようとしない彼女の顔をおでこから順にキスしていく

眉に、鼻に、頬に・・・

小さくて、やわらかい唇までたどりついた後は・・・本能のままに動いたといって良い・・・



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