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四季  作者: 佐方仁優
1/8

winter

4つの季節を一緒に過ごす一組の男女を書いてみたくなりました。なのでは春夏秋冬の4回で連載は終わります。連載中の『揺れた時間』の設定が春なのでどうしても季節感がずれてしまって・・・無性に冬が書いてみたくなりました。




窓の外を眺めていたら、彼が道の向こうから歩いてくるのが見えた。

雪の積もった真っ白な世界の中でわずかに動く姿

最初は気づかないくらい、でも段々と近づいてくるのがわかる。

最初は点でしかなかったら彼だってわからなかったけど、目をこらしていると

見覚えのあるこげ茶色のコート

私がプレゼントした赤と白の2色使いのマフラー

なんのデザインも感じさせないストレートのジーンズが識別できるようになってきて・・・

きっと彼からは見えないだろうけど嬉しくなって窓から手を振る


ほら、やっぱり気づかない


彼の吐く息が見えるくらいまで近づいてきた

冷気を吸い込んで肺を通って彼の体の中をめぐって温められたものは彼の体の奥にある心臓からまた白い息となって口から出される。


雪はもう降っていないけど、きっと外は寒いだろうなぁ

そうだ、何か熱い飲み物でも

キッチンのスペースに移動するとやかんに水を入れて火をつける

おなかは空いているだろうか

もうお昼時間は過ぎているけれど

休みの日の彼の食事時間は不規則だから

何か食べさせて欲しいと思っているかもしれない。

昨日の晩御飯に食べたお味噌汁ののこりと

冷凍ご飯と

干物を焼くか、しょうが焼きでも作るか、

実は野菜がいっぱい入ったラーメンしたほうが、

時間も短縮できるし、体が温まるかもしれない・・・


ごはんじゃなかったら、なにがいい?


頭の中はいろんなことを考えたが

手足は部屋の中を片付けだす

窓辺においてある机の上のテキストや鉛筆はそのままで

コタツの上に出しっぱなしにしてあった雑誌や化粧品やベッドの上に広げていたパジャマをそれぞれもともと収納してあった棚の中に戻す。

洗濯機の隣の中に入った洗濯物の上にタオルをかけて中身が見えないようにする。


なんとなく廊下を歩く音がして彼がもうすぐ部屋の前に到着するのがわかる。

沸かしていたやかんの火を止める



玄関のドアを開けて冷たい空気と共に入ってきた彼は

コートとマフラーをとってたたむといつものように下駄箱の上に置いた。

晴れやかな顔をして玄関で立っていて待っているのがわかる


「おかえり」


私が近づくと急に両手を握る


「つめたっ!」


彼は笑いながら私から手を離すと、両手で私の頬を包む

やはり冷たい

私はその頬にあてられた手を自分の両手で上から覆うようにするとその骨ばった指先や手の甲をゆっくりとさすっってく。


にこにこして笑っている彼のとの間に少し間が空く


「ありがとう」


やさしくそう彼は言うと、私の手の中の彼の指が少し動いたから

私は手を離した

くるっとキッチンのほうを向いて彼の視線を外しながらいう。


「何か飲む?」


「あっ・・・いや」


「お腹すいてない?」


「・・・いや・・・眠い」


夜勤明けで、ごはんを外で食べてから帰ってきたってことか。

やかんに火を入れるのをやめようとしたけど、やっぱり自分がコーヒーを飲みたくなった。

インスタントコーヒーのビンを戸棚から出していたら

彼がベットにおいてあった枕を取って、コタツに入りごろんと横になる。



「自分の部屋に帰って寝ればいいのに」


「・・・寒い、誰もいないから」


コーヒーの粉が入ったマグにお湯を注ぐと甘いような苦いような香ばしい匂いがそこから広がる。

牛乳を冷蔵庫から出して少したらすとマグをもってコタツのある方へ移動して、寝室へ毛布を取りにいく。


「ほらっちょっと体だして」


手を組んで横を向いて寝ている大きな背中が動く。

その上に毛布をかけると、音を立てないように自分もこたつに座る。

そしてコーヒーを飲みながら彼の後姿を見ている。

もう眠ったのだろうか、でも体がまだ強ばっているように見える。



彼の姿をみつけて帰ってくるまではあんなにわくわくして楽しかったのに、

帰ってきて五分もたってないのに泣きたくなるほど寂しくなる

彼の手に触れた手が動いた時、避けられた気がした

ショックを受けた顔を見られたくなくてあわてて背中を向けた

そうしたら綱を離れた子犬のように私から離れてまっしぐら

こたつにもぐりこんで、私の手の届かない、眠りの世界へ入ってしまった

眠りに落ちかけているであろう彼に触れて起こしてもいけないし

結局こうやって背中をみているだけ


どうして私の部屋に来るのよ

馬鹿

大嫌い


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