第二話
クイナ様クイナ様、どうか私の運命の人を教えて下さい。
クイナ様クイナ様、どうか私の命運を穿つ大罪人を罰してください。
クイナ様クイナ様………………………
「あああ!もう!うるさぁぁぁーい!!」
少女はそう言うと鬱陶しそうに髪を掻き揚げた。
「運命の人!?私だって知りたいよ!命運をうがつってなに!?難しい言葉わかんないよ!」
もぉー!!と続けて叫び、それを見ていた少年に気が付くと顔を赤面させた。
「見てた?」
問いかけに少年は
「見ちゃいました」
正直に答えた。
「まぁ、いいや。こんばんわ、いや、おはようかな。この場合何が適切なんだろう?」
ああ、そうだ、と
「違った違った。はじめましてハルトくん」
そう、満面の笑みで言葉を発した。
「あの、どうしてもオレの名前を?」
少年の至極真っ当な質問に少女は
「うーん」と人差し指を顎に当てわざとらしく可愛い子振るように唸る。
「超能力………的な?ほら、私こんなんだし、使えそうでしょ、超能力」
そう言われ少年は少女をまじまじと見る。
透き通るような薄青色の髪に翡翠色の瞳
陶磁器のように白い肌に端正な顔立ち。
身に付けた衣服は服の役割を放棄したように肌け少女の白い肌が見え隠れする。
そして何よりも特徴的なのは───
少女の右脚、足の甲を貫く巨大な錆びた杭その杭の頭には鎖が繋がれ何処かへと続いている。
「痛そうでしょー?めっちゃ痛いよ」
そう言ってあっけからんと少女は笑う。
「でも、もう慣れちゃった。ああ、触らない方が良いよ。私ならともかく人間のキミが触れると魂を抜き取られる」
「そうだそうだ、キミの話を聞かせてよ」
少女は脚を引き摺り這うようにして少年に近づき鼻が届きそうな距離にまで顔を近づけた。
「今日はカミシロサイ?だったんでしょ?」
神代祭、少年の通う高校で今日と明日行われる文化祭である。
どうして少女はその事を知っているのだろうか?
少年の脳内は疑問だらけだった。
「いいから、教えてよ。それにほら、気になってる女の子と回ったんでしょ?」
ごふっと少年その言葉に咳き込んでしまう。
「ほら、教えて教えて。他のことでもいいよ、今日あったこと、外の世界の事」
「ふーん、そんなことがあったんだ。それで手繋いで?きゃー!いいじゃんいいじゃん!」
少女が心底楽しそうに笑う。
その時、
リーン──────
リーン──────
リーン─────と、音が鳴り響いた。
「おっと時間みたいだ。それじゃね。また明日。と言ってもキミは今日のことを覚えてないけどまた明日!はじめましてから!」
そう口早に少女が言いながら少年の肩を押した。
ぐわん、と吸い込まれるように少年は後ろに倒れそのまま意識を失った。
少年が居なくなった空間で───
「なんだろう、なんかグワグワする。心が苦しいな、いつもの事なのに。こういう時は夢を見に行こう、それが良い───」
少女はそう言うと、何もない空間から現れた巨木にもたれ掛かり、落ちてくる花びらの1枚を手に取った。




