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寒い冬に備えて








私は他人とはどこか違うと思っていた

特別だと思っていた

確かに特別だった。祝福の儀で授かった精霊は子供

就ける職業は「ちびっこ剣士」


特別制のオンパレードだ


おまけにこの子供の精霊、喋るのだ

今も私に話しかけてくる


「おい、この家にはペットを飼っていないのか

 俺様は猫が好きだ」


今のところありがたいご神託を言う系統ではないことが分かった

まあ、ご神託を受けたとしても私が言うことを聞くかは

だいぶ怪しいところだが


さて、この「ちびっこ剣士」という職業が

どんな性能なのかを確かめなければならないところだけれども

生憎私は冬を越すためのセーター作りに忙しかった


「こんな部屋に閉じこもってないでスライム狩りに行こうぜ」


半透明の子供が話しかけてくる

何故そんな野蛮なことをしなければならないのか

そもそも私は剣士にはなりたくないのだ

ヒーラーや補助魔導士のほうが私の中では花形だ


なにより前衛職は死ぬ確率が高いと聞く

死ぬのは嫌だ。しかも無駄死にが一番いやだ


別に歴史に名を残したいわけじゃない

毎日食事にありつける

そんなささやかな繰り返しが欲しいのだ


気がつけばセーターは4着目になっていた


しまった。いつものように没頭してしまった

この高い集中力はいつも私を悩ませる

しかもお金を稼ぐのに一切役に立たないから困る


この出来上がったセーターを売ろうと考えた

こともあったが、胸の部分に大きな「クマさん」が描かれている

だれがこのダサいセンスのセーターを買うというのか


この胸の部分に動物をあしらうのをやめればいいだけなのだが

気がつくと私はその日の一番かわいいと思っている

動物さんを胸にあしらってしまうのだ


「俺様には猫さんのセーター作ってくれよな」


こいつ・・・実体ないから着れないだろ・・・!

と、多少怒りを覚えたが他人から何かものを頼まれるのは

悪い気がしなくて7着目のセーター作りに取り掛かった


・・・おかしい。ふつうセーターは私のペースでは

一日一着作るのが精一杯だった

今日はやけに筆が乗る


・・・いや!そういうレベルではない気がする

これはまさか・・・!何らかのスキルが発動している・・・?


私は夢中になって猫さんのセーターを3着こしらえた。


・・・もう冬を越せるだけのセーターは出来上がってしまった

そう、実のところ正直なことを言えば私はギルドに行きたくなかったのだ

むさ苦しい冒険者たちと酔っ払った蛮族


特に私は酔っ払いが大嫌いだ

大昔に酔っ払いからミートボールを投げつけられたことがある

お気に入りの服が肉まみれになった

あの時の恨みは未だに消えず恨みの炎は年々大きくなっている



「とにかくレベルを上げないとな!服職人にでもなるつもりか?」


剣士などにはなりたくないけれども言い分はごもっともだった


「そうね・・・、レベルを上げないことには始まらないわよね・・・」


私はギルドという危険地帯に踏み入れる覚悟を決めた

母にもらったペンダントが怪しく光っていたことに

私は気づきもしなかった










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