1.狂気 i
その少年の名前は伏せておこう。あまりにも狂気すぎるし、もし同じ名字の人間がいたとしたら、不適切だ。ある少年は、とても狂気であり、強欲であった。金、ギャンブル、女どんなものさえ好み、富を欲しがった。富に執着した、残念な少年の話である。
「愚かな英雄の語録」
1.狂気 ⅰ
その少年の名前は伏せておこう。あまりにも狂気すぎるし、もし同じ名字の人間がいたとしたら、不適切だ。ある少年は、とても狂気であり、強欲であった。金、ギャンブル、女どんなものさえ好み、富を欲しがった。富に執着した、残念な少年の話である。
英雄とは、名を馳せることで高い名声や尊敬を得ている。たとえ暴力的でも。暴力は、英雄が生み出した正義の信者の冒涜に過ぎない。信じるものは、常に利用されている。では、その英雄は、公平的な存在でなければならない。でも、もし、それが狂気に満ちていたら、どうなるだろうか。
彼が生み出した法に従うことが正義で、その正義の信者によって固くなれば、もう、それはおしまいだ。何が、とは言わない。お終いである。
随分と遠回りしてたわごとになってしまったか。じゃあ、その少年について、そしてゆがんだ正義について、話そうか。よし、「狂気」について話そう。話が多いので、分割する。
少年は、貧乏な町で育った。雨も降らず、農業が盛んにならないわ、泥棒が増えるわ、で、荒れた。結局少年は育ちの影響を受け、殴られたら、百倍に返す、ということを学んだ。
少年は、親が盗みを働き、そのおかげで、(いや、せいというべきだろう。だって、この後、ひどいことをするのだから。)学校に通うようになってしまった。
いじめは当たり前、少年は最初いじめられる側にいたが、体格が熊のように大きくなり、いじめる側についた。結局それが正しかったから、行動したにすぎない。筆者である私もそう思っていた。だが、すぐに私は、それに気づくことになる。少年が化け物であることにーーーー。
少年は、ある日、女子を好きになった。だが、男の子はみんな好きだった。少年は中身が荒れていて、女子にはモテていなかった。だから、モテていた同じクラスの男の子には嫉妬していた。その嫉妬心は、やがて狂気へと変貌し、その頃から少年は頭のねじが数百本飛んでいった。頭のリミッターが解除された。少年は頭の回転を速くし、ある方法を思い付いた。
具体的には話さない。いや、話したくない。単に気持ち悪いだけだからだ。
簡潔に言おうー少年はこれで大勢の命を奪った。
アインは単なる濡れ衣に過ぎなかった。少年は、アインが書いたと見せかけた、その事件に関する怪文書を張り、数多くの人間がなくなった。そして、アインは急に自ら命を絶った、と
――断定された。
真実はわからない。私だってわからない。でも、私は、少年を見つめることはできなかった。いつも片手にカッターを持っていたとしたら、と。
まだまだ、少年に関する、怖い話だったらいくらでもある。だがこれは単なる序章にすぎない。これは狂気に取り付くされた少年が英雄になり、やがてーー
没落し、自ら命を絶つまでの、お話である。